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2024年度は報酬改定が2ヶ月後ろ倒し。新スケジュール案と背景をチェック|タカヒラの薬局動向PICK UP(7)



2024年の調剤報酬改定まであと1年を切ったところですが、来年の調剤報酬改定に向けた議論が関係省庁では着々と進んでいます。その議論の背景を紐解くと、来年以降の薬局経営のヒントを「先取り」することができる……!
ということで、KAKEHASHIでは、どこよりもはやく24年の調剤報酬改定について、1年かけてじっくりと、タイムリーな情報をわかりやすくお届けします。

解説する人:タカヒラ


医療経営士。MRで複数社を経験し、現在はKAKEHASHIでマーケティングを担当。猫と娘と関係省庁が出す資料(PDF)を夜な夜な読み込むのが好き。薬局経営者の方々の意思決定のお手伝いができるよう、日々精進しています

来年実施される調剤報酬改定は、議論の開始から今日まで、これまでにないことがいくつも起こっています。初めて立ち上がった「同時改定意見交換会」については、第1回記事から複数回にわたってご紹介しました。そして今回ご紹介する「診療報酬改定時期のタイミング変更」も新たな動きのひとつです。

当記事では、変更後のスケジュール(案)と、その背景について解説します。

目次

目次[非表示]

  1. 1.診療報酬改定が2ヶ月後ろ倒し。2024年6月1日に施行へ
  2. 2.診療報酬改定が後ろ倒しになる背景
  3. 3.診療報酬改定の後ろ倒しの背景にある「大きな流れ」
  4. 4.「医療DX」はどのように進んでいくか~工程表でチェック
  5. 5.報酬改定スケジュールの後ろ倒しは、「大きな流れ」の中で生まれた変化

診療報酬改定が2ヶ月後ろ倒し。2024年6月1日に施行へ

8月、診療報酬改定の時期を2ヶ月後ろ倒しにするスケジュール案が、中医協にて了承されました。具体的には例年より2ヶ月遅い「2024年6月1日」に変更されることになりました。


医療サービスの公定価格を2年ごとに見直す「診療報酬改定」の施行時期が、来年度から今より2カ月遅い6月1日に変更されることになった。厚生労働省が2日の中央社会保険医療協議会(中医協=厚労相の諮問機関)で提案し、了承された。現場の負担軽減が目的で、2026年度以降も継続する方針。


これまで診療報酬の改定は、年末の予算編成で政府が全体の改定率(増減)を決めた後、年明けの2月上旬に中医協が内容を答申。これを受け、4月1日から実施するのが慣例だった。


 いずれも朝日新聞デジタル(令和5年8月2日)より引用

これは今までの報酬改定の慣例を踏まえると初めてのことであり、かつ異例な内容と言えます。

具体的にはどのようなスケジュールへと変わるのでしょうか。以下の表をご覧ください。2024年度診療報酬改定スケジュール案

このスケジュール案と議論された内容から分かることは、次の通りです。

  • 薬価改定は従前どおり4月に実施
  • 報酬改定自体は6月施行となり、保険請求は7月から
  • 一方、中医協の答申は2月上旬で、この内容が判明するタイミングは、例年と大きくは変わらない程度と予想される

診療報酬改定が後ろ倒しになる背景

今回のスケジュール変更の理由について、上述の記事では「現場の負担軽減」と記載されていました。中医協の資料にはさらに詳しく、「これまで診療報酬改定に伴い、答申や告示から施行、初回請求までの期間が短く、医療機関・薬局等及びベンダの業務がひっ迫し、大きな負担がかかっている」と説明されています。

診療報酬改定の後ろ倒しの背景にある「大きな流れ」

ところで、この方針は決して突然現れたものではなく、かねがね議論されていた大きな流れのひとつなのです。

 出典:中医協総会 令和5年4月26日

その大きな流れとは、「医療DX」です。

この医療DXの実現に向けて、国は(1)オンライン資格確認とマイナポータルの活用(2)電子カルテ情報の標準化等(3)診療報酬DXなどを推進しており、実は(3)の診療報酬DXに関する議論の中で、タイムスケジュールを後ろ倒しにすることが取り上げられていました。それらを受け、8月の中医協にて後ろ倒しが了承された、という流れになります。

そもそも医療DXが現在どのように進んでいるのか、ここで少し触れておきましょう。


   出典:中医協総会 令和5年4月26日資料

「医療DX」はどのように進んでいくか~工程表でチェック

この「医療DX」は、令和4年10月に首相を本部長として立ち上げられた「医療DX推進本部」にて、関係省庁総出で進められている、いわば「総理肝いりのプロジェクト」であるとも言えます。


出典:中医協総会 令和5年8月2日資料

工程表を見ると、全国医療情報プラットフォームを中心としつつ、医療機関、自治体、介護の領域のデータが年を追うごとに連携されていく予定がわかります。

報酬改定スケジュールの後ろ倒しは、「大きな流れ」の中で生まれた変化

今回の報酬改定スケジュールの後ろ倒しは、このような大きな流れの中で生じた変化の一つととらえるとよさそうです。本連載でも、引き続き国で議論されている複数の議論を踏まえて、薬局経営を考える上で役立つ内容を、わかりやすくお届けしたいと思います。(了)

参考記事・資料
朝日新聞デジタル(2023年8月2日) https://www.asahi.com/articles/ASR826SC4R82UTFL00Z.html
中医協総会(令和5年4月26日)(令和5年8月2日)資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

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医療経営士タカヒラ
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