2024年(令和6年度)の調剤報酬改定で注目される「薬剤の一元管理」と、真の意図は?|医療経営士タカヒラの薬局動向PICK UP(2)
2024年の調剤報酬改定まであと約1年。でも実はすでに、来年の調剤報酬改定に向けての議論が関係省庁ではじまっています。その議論の背景を紐解くと、来年以降の薬局経営のヒントを「先取り」することができる……! ということで、KAKEHASHIでは、どこよりもはやく24年の調剤報酬改定について、1年かけてじっくりと、タイムリーな情報をわかりやすくお届けします。 |
解説する人:タカヒラ 医療経営士。MRで複数社を経験し、現在はKAKEHASHIでマーケティングを担当。猫と娘と関係省庁が出す資料(PDF)を夜な夜な読み込むのが好き。薬局経営者の方々の意思決定のお手伝いができるよう、日々精進しています。
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今回も前回に引き続き、同時改定意見交換会の内容をお届けいたします。
この意見交換会は本年から始まった国の新しい取り組みであり、2024年報酬改定の方向性を示す重要な内容となっています。
4/19に第2回が開催され、2つのテーマが話し合われました。今回も盛りだくさんの議論がなされており、そのポイントをまとめていきたいと思います。
第1回で取り扱ったテーマ
テーマ1 医療・介護・障害サービスの連携
テーマ2 リハビリテーション・口腔・栄養
テーマ3 要介護者等の高齢者に対応した急性期入院医療
▼詳しくはこちらの記事をお読みください
目次[非表示]
第2回で取り扱う2つのテーマは「高齢者医療」と「認知症」
【テーマ4】高齢者施設・障害者施設等における医療
- 高齢者施設・障害者施設の医療提供機能と医療機関との連携
- 高齢者施設等における薬剤管理
- 感染症対策
【テーマ5】認知症
- 地域包括ケアシステムにおける認知症の人への対応
- 医療機関・介護保険施設等における認知症の人への対応
- 認知症の人にる医療・介護の情報連携
テーマ4については、施設の種類によって配置されている医療従事者に違いがあることを踏まえ、どのように対応していくのかが議論されていました。
またテーマ5については、認知症の早期発見のための対応方法、本人の意思決定支援を進めて、どのように暮らしを支えていくのかということが議論されていました。
両テーマに共通するキーワード「薬剤の一元管理」
注目したいのは、どちらのテーマにも入っているのが、「薬剤の一元管理」というキーワードです。高齢患者さんや認知症患者さんは、治療の必要性などから病院や施設、自宅などで過ごすことが確認されています。下記図(薬物療法に関する連携)をみると、「病院・自宅・介護施設」のあいだに、患者さんの情報を一元管理する主体がないような状況にあるともいえます。
出典:令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)資料「高齢者施設・障害者施設等における医療」資料1,59p
そこで、薬局薬剤師が注目されています。薬局薬剤師が各施設と連携しつつ、常にその患者さんの薬剤情報を一元管理することで、飲めているかどうか、副作用はおきていないか、ポリファーマシーはどうか、といった情報を各施設の各職種へと情報連携することが期待されているのです。
薬剤師の訪問により、飲み忘れ等が減少
出典:令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第2回)資料「高齢者施設・障害者施設等における医療」資料1,61p
実際のデータ(上図)からも、薬剤師の訪問により改善されたこととして、飲み忘れの減少、服薬しやすい工夫、残薬解消、誤薬減少などが確認されています。
このような薬剤師の役割は、まさに国や多職種から期待されていることと考えられるでしょう。そして、このような改善を単独施設においてではなく、複数の施設を行き来する患者さんに対しても発揮して欲しいと期待されていることが、今回の意見交換会からも分かります。
おわりに:薬剤師の多職種連携のミライ
少子高齢化や認知症患者の増加が進んでいくこの日本において、病院、高齢者施設、地域において薬局薬剤師の期待について解説を進めて参りました。
本年の連携薬局に関する通知をみてみると、さらに連携を強化することが求められているような流れを感じています。
例えば、退院支援の会議、地域ケア会議、などのカンファレンスなどへの積極的な参加、おくすり手帳を活用した一元管理など……すでに取り組まれている方も多いかもしれませんが、今から、さらなる連携と職能発揮をしていくことは、まさに来年の報酬改定の方向性とも合致するものであると言えるのではないでしょうか。(了)
▼ 第1回の記事はこちら!2024年の調剤報酬改定がいつもと違う「2つの理由」とは?
調剤報酬改定2024まるわかりガイド
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