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内閣府資料から読み取る「調剤報酬改定 2024」の行方(規制改革推進会議と骨太の方針)|タカヒラの薬局動向PICK UP(4)


2024年の調剤報酬改定まであと約1年。でも実はすでに、来年の調剤報酬改定に向けての議論が関係省庁ではじまっています。その議論の背景を紐解くと、来年以降の薬局経営のヒントを「先取り」することができる……!
ということで、KAKEHASHIでは、どこよりもはやく24年の調剤報酬改定について、1年かけてじっくりと、タイムリーな情報をわかりやすくお届けします。

解説する人:タカヒラ
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医療経営士。MRで複数社を経験し、現在はKAKEHASHIでマーケティングを担当。猫と娘と関係省庁が出す資料(PDF)を夜な夜な読み込むのが好き。薬局経営者の方々の意思決定のお手伝いができるよう、日々精進しています。

今回は、6月に注目された「規制改革推進会議からの答申」と「経済財政諮問会議からの骨太の方針」について、調剤報酬改定に影響を及ぼしそうな内容をピックアップして参ります。

目次[非表示]

  1. 1.「2つの会議」はどういう立ち位置?
  2. 2.「規制改革推進に関する答申」から薬局・薬剤師に関わるポイントをチェック!
    1. 2.1.1:オンライン診療を推進していく動き
    2. 2.2.2:在宅医療における規制緩和
    3. 2.3.3:対物業務の効率化
    4. 2.4.4:ロボット導入
  3. 3.「骨太の方針2023」から薬局・薬剤師に関わるポイントをチェック!

「2つの会議」はどういう立ち位置?

まずは、それぞれの会議の立ち位置を確認していきます。


規制改革推進会議:

内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革に関する基本的事項を総合的に調査・審議することを主要な任務としている。

出典1内閣府|規制改革推進会議 会議情報(2023-07-03アクセス)

経済財政諮問会議:
経済財政政策に関し、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮させるとともに、関係国務大臣や有識者議員等の意見を十分に政策形成に反映させることを目的として、内閣府に設置された合議制の機関のこと。

出典2内閣府|経済財政諮問会議(2023-07-03アクセス)



どちらも内閣総理大臣を支える組織であり、ここでの議論は「答申」や「方針」として発表され、政策的な実行へとつながっていきます。

今回は、2023年6月1日に出された「規制改革推進に関する答申」と「骨太の方針」から、薬局経営に関わるポイントを確認していきたいと思います。これらは、来年の調剤報酬改定にも影響しうるものですので、注目して頂く価値のある情報と言えます。

「規制改革推進に関する答申」から薬局・薬剤師に関わるポイントをチェック!


それでは、まず「規制改革推進に関する答申」から、薬局・薬剤師に関わるポイントをみていきます。

大きな軸としては、オンライン診療がさらに進んでいく、在宅での職種間連携に変化が起きる、さらに対物業務の効率化、という3つのポイントがあります。これら3点は、来年の報酬改定にも影響を与えうるものと想定されます。

1:オンライン診療を推進していく動き

患者利便性の向上という観点だけにとどまらず、へき地医療における条件緩和含めて、都市部への展開も議論が進んでいきます。また、この内容では「要指導医薬品についてのオンライン服薬指導の実現」もピックアップされています。

出典3:内閣府|規制改革推進に関する答申 P.69

2:在宅医療における規制緩和

16km制限の緩和、医師から看護師へのタスクシフト、薬局が24時間対応困難な地域における看護師対応のあり方の議論、看護師が対応困難な時に薬剤師がどのような業務を行うかの議論(点滴交換・重点、褥瘡薬の塗布等)を進めること……などが挙げられています。

出典4:内閣府|規制改革推進に関する答申 P.77~79

3:対物業務の効率化

調剤業務の一部委託を可能とするための法的措置を進めるとの記載がなされました。

出典5:内閣府|規制改革推進に関する答申 P.85

4:ロボット導入

薬局・薬剤師への直接的な要素ではありませんが、配置基準を満たすための条件において、「センサー等のロボット導入の措置を検討する」とされています。

出典6:内閣府|規制改革推進に関する答申 P.81


「骨太の方針2023」から薬局・薬剤師に関わるポイントをチェック!


続いて、6月16日に公表された「骨太の方針2023(経済財政運営と改革基本方針 2023」を見ていきます。こちらも幅広い議論が展開されていますので、医療に関わるところ、さらに薬局・薬剤師に関連のあるところをピックアップしていきたいと思います。

医療に関する内容は、4章「中長期の経済財政運営」の「2.持続可能な社会保障制度の構築」に、多岐にわたる記載があります。本文を見ると、医療機能分化から始まり、かかりつけ医機能強化、タスクシフト/シェア、PHRから物価高騰・賃金上昇対応まで、30を越える項目が記載されています。

出典7:内閣府|経済財政運営と改革基本方針 2023 P37~39


この中でも特に薬局・薬剤師に直接的に関わる論点としては、以下が挙げられます。

  1. 「薬局薬剤師の対人業務の充実と、対物業務の効率化」
  2. 「リフィル処方箋の活用」
  3. 「全国医療情報プラットフォーム」
  4. 「電子処方箋の普及と標準型電子カルテの整備」
  5. 「OTC普及とセルフメディケーション」
  6. 「ロボットやICTの活用」など
ピックアップした6項目は、規制改革推進会議の動きと同様の傾向があると推測できます。すこし整理をすると、「デジタルの活用」と「対人業務強化」の2点が浮かび上がってくるようにも見えます。

「骨太の方針2023」においては、対人業務の充実そのものをピックアップすると同時に、リフィル処方箋、OTCといった患者さんとの新たな関係構築を必要とする業務だけでなく、全国医療情報プラットフォームや電子処方箋、ICT活用といったデジタル活用とが方針として記載されました。

「規制改革推進会議の答申」と「骨太の方針2023」を合わせて確認頂くことで、共通した内容が見えてきました。「デジタル活用」と「対人業務の強化」をセットで進めていくことは、国の方向性と合致しているものと考えられ、来年に控えたトリプル改定においても、評価されていくものと考えられます。


今回は、多くの論点が記載されている規制改革推進会議の答申、骨太の方針2023から、注目すべき内容をピックアップさせて頂きました。皆様のこれからの薬局経営の一助となれば幸いです。


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出典

1  内閣府|規制改革推進会議 会議情報 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/meeting.html
2  内閣府|経済財政諮問会議(2023-07-03アクセス) https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/
3‐6 内閣府|規制改革推進に関する答申  https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html
7 内閣府|経済財政運営と改革基本方針 2023  https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2023/2023_basicpolicies_ja.pdf

医療経営士タカヒラ
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