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問題解決を通して薬局運営・経営の数値改善へ! (第3回 問題特定編)

薬局運営・経営の数値改善のためのデータ活用について、全5回の連載記事です。

いまさら聞けない。
薬局の「問題を特定する」方法とは?

多くの薬局がレセコンや電子薬歴のデータを活用した薬局経営に取り組まれているか、もしくはこれからデータドリブンな取り組みを始めようとされているかと思います。しかし、各店舗のデータを集計・分析し、問題点を把握して、改善に繋げていくのはなかなか大変なこと。悩まれている方も少なくないのではないでしょうか?

今回の記事では、「問題特定」について、ご紹介します。

前回の記事は「問題を発見する」についてご紹介しましたので、そちらも合わせてご覧ください。

問題解決におけるキモに当たるのが、この問題特定のステップです。

問題の特定をするために、最初にすることは「問題の要素分解と問題の特定」です。最初に原因を調査するということではありません。

問題を発見した際、その原因は多岐に渡ることが多いです。その原因を一つ一つ解明していくには膨大な作業量が必要になります。また、手あたり次第に原因調査を始めると、網羅性を欠いた状態で問題解決に移行してしまう可能性があるため、「手を打ったはずなのに、何も解決されていない」という状態に陥ってしまいます。

そのため、問題に大きく影響を与えている要素を特定することから始めていくのが、素早く問題を解決するためのコツとなります。

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一つの例として、社内で薬歴未記載が発生している問題について検討していきたいと思います。

この場合、発見時点ですぐ現場の薬剤師に向けて「薬歴は毎日きちんと書き終えなさい」(How:解決の打ち手)と指導するのは、至極真っ当に感じられます。一方、この打ち手が有効なのは、未記載の主な原因が「現場薬剤師が薬歴を毎日書き終えるものだと理解していなかった」(Why:原因)というケースに限定されてしまいます。

ですので、「どこで問題が起きているのか?(Where)」を客観的/定量的に特定してからWhyを検討することが大切になります。憶測で決め打ちをすると上記のように網羅性に欠けてしまいます。

Musubiを活用して、薬歴未記載の問題を客観的に分解してみます。

ここで大切なことは、「問題の全体像と傾向をスピーディーに把握する」ことです。様々な切り口から状況を切り取ってみて、問題の偏りを把握することできます。

ではまず、全社的な時系列分析として、薬歴業務系分析を使用することで、すべての店舗データを表示し、集計期間単位を日次週次月次と確認することが可能です。

薬局経営 Musubi Insight 本部管理機能 BIツール

ここから薬歴未記載残数が常時発生しているのか、一過性のものなのか?について確認できます。

例えば、一過性のものであれば、未記載が増加し始めているタイミングで、どのような環境変化が起きたのか?という問題特定に進むことができます。常時慢性的に未記載が発生しているいるようであれば、より問題の深堀りや分解が必要となります。

Musubiは薬歴業務系分析の「組織集計」を確認することでさらに深堀することが可能です。日付を固定して、店舗別・薬剤師別の視点でデータを確認できます。

まずは薬歴未記載の発生状況を店舗別に把握してみましょう。未記載が多い店舗と少ない店舗に分類できるでしょうか?ここで、問題のありそうな店舗と、無さそうな店舗に分けられると問題の特定に向けて大きな前進です。

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未記載が多い店舗があれば、さらに深堀として薬剤師毎の未記載状況も把握できます。特定の薬剤師にのみ発生しているようであれば、問題の特定にかなり近づいたと言えそうです。複数の薬剤師で未記載が確認されているようであれば、当該薬剤師の共通項でくくって問題の切り口を捉えられると、さらに問題の特定に近づきます。例えば、「入社したての人に未記載多い」、「高齢の薬剤師に未記載多い」などの共通点があるかもしれません。

薬剤師毎にデータを確認する際に併せて「処方箋枚数」の偏りが無いか?ということも確認しておくと、問題の構造把握に役立ちます。特定の人に投薬が偏り、未記載が発生しているという構造も考えられます。

次に問題の深堀りをしていきます。

ここからは問題の偏在が、ある程度定量的に把握できていると仮定します。問題の深堀りについては、いつ?、どこで?、誰が?、何の?といった観点で確認していくと良いと言われています。深堀りのプロセスでは既に問題の起こっている箇所が、ある程度特定できているので、次のプロセスであるWhy=「なぜ未記載が発生しているのか?」の仮説を立てることを意識しながらデータ確認することが重要です。客観的な情報を元に「なぜ?」の仮説を多数立てられると、次のWhyステップでの作業を大きく絞り込むことができます。

未記載が多い薬剤師を特定できたら、薬歴未記載の多い薬剤師の時系列データを確認することで問題特定につなげることが可能です。

「薬歴当日完了率」という指標(※薬剤師が投薬を担当した数を分母に、当日中の薬歴完了数を分子に取っています。)を確認し、当日中にどれくらい薬歴を完了しているか把握します。さらに、「平均薬歴記載時間」も確認できます。

薬局経営 薬歴記載時間 Musubi Insight 見える化 薬剤師評価

この指標は患者さん一人あたりの薬歴を書き始めてから書き終えるまでの時間を表しています。そのため、毎日薬歴をきちんと書き終えている方と未記載が溜まりやすい方との違いを確認できます。記載時間に違いがあるようであれば、薬歴を書く時間が長いため、薬歴が未記載のまま溜まりやすいという、原因の仮説を立てることが可能です。

さらに、「平均記載時間」が長い方と、短い方で「指導文使用率」の差を確認してみることで発見があるかもしれません。この指標はMusubiの特徴の一つである「投薬中に画面をタッチすることで、自動的に薬歴文が記載される」を表現している指標です。

薬歴記載時に一つも指導文画面タッチを活用していない場合は活用なし、

一つでも指導分画面タッチを活用すれば指導文使用ありとカウントされます。

薬歴記載時間が長い原因の一つに指導文を活用できていない(=すべてタイピングしている)可能性があります。特に指導文はEP(患者さんに指導した内容)の記載を自動化するため、平均P群記載時間が長い方には有効な打ち手となります。

また、「未対応」の項目に未記載が多いケースがあった場合、投薬のタイミングでMusubiを活用して効果的な薬歴記載ができていない状況(投薬した薬剤師がMusubiを活用していない。もしくは、後で薬歴記載をしようとして忘れている)が考えられます。

また、必要に応じて、社内にある各店舗の残業発生状況や薬剤師の勤務時間データと比較することでより立体的な仮説構築ができるかもしれません。

Musubiを導入している薬局では、「どこで未記載が発生しているか」という事実確認と「なぜ未記載が発生しているのか?」の問題を特定し、改善に取り組むことで働き方改革を実現している事例もあります。

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前回お話したように、問題は「あるべき姿」と「現状」とのギャップです。なので未記載の数値に関しても「あるべき姿」はどこなのか明確にしておくことも大切です。なんとなく多い/少ないでは、人によって数値に違いが出てきてしまうので、理想がどこかを明確にしておくことが重要です。

次回は、今回までで絞り込みがある程度できた、未記載薬歴が0ではない問題に対して、どこで発生してるかの事実を確認し、なぜの絞り込みがある程度できた状態から④原因追究と課題特定(Why)について、次回はご紹介したいと思います。

Musubiの薬局業務”見える化”ツールを活用することで、今まで見えてこなかった薬歴業務に関する改善点が客観的なデータをもとにしたコミュニケーションで改善することが可能です。

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