売上UPにつながる!薬局の「人事制度設計」5ステップを、Musubiユーザーが解説します。
薬局経営者が知っておきたい人事制度の設計・運用。その実現のためにMusubiを活用した事例を、Musubiユーザーが解説します。 Musubiによって業務を効率化し、評価制度が機能することで、保険外売上が月80万円にUPするといった具体的な事例についても紹介します。 ※本記事は2020年12月15日に行われたMusubiセミナー「薬剤師の臨床的価値の創造と見える化シリーズ」より、登壇者の篠原久二子先生の発表を、株式会社カケハシが再構成したものです。 |
目次[非表示]
- 1. 教えてくれたMusubiユーザー(2020年4月導入)
- 2.前提:人事制度は、薬剤師の付加価値向上に必須
- 3. ステップ1:経営理念にこだわるべし
- 4.ステップ2:人事理念で「社員への想い」を明文化すべし
- 5.ステップ3:「4つの要素」で、人事制度を構築すべし
- 6.ステップ4:人事評価のポリシーを明確にすべし
- 7.ステップ5:人事制度を運用し、売上アップに着手すべし
- 7.1.▼Musubiのことが気になる方に、詳しい資料をプレゼントしています。
- 7.2.Musubiのインパクト【1】業務効率化で時間が生まれた
- 7.3.Musubiのインパクト【2】EP記載時間の可視化→服薬指導の改善
- 7.4.Musubiのインパクト【3】ジェネリック比率の大幅に向上
- 7.5.Musubiのインパクト【4】対物業務へのシフトで売上UP!
- 8.まとめ:人事制度からはじまる、変化に強い薬局づくり
教えてくれたMusubiユーザー(2020年4月導入)
前提:人事制度は、薬剤師の付加価値向上に必須
こんにちは、3店舗を持つフローラグループを経営している篠原です。
まず、お伝えしたいことがあります。
これからの薬局経営において、環境の変化に対応しながら売上をあげていくために必要なことは、Pay For Timeから Pay For Performanceへの転換です。
これまでのように、ただ薬歴を書くだけが薬剤師の仕事ではなく、残薬解消や処方提案など、薬剤師の臨床的付加価値をあげていく必要性が高まっています。
ですが、薬剤師の臨床的付加価値を正しく測るためには、成果が見える化され、人事制度が紐づいていないことには、実現は不可能です。
また、正しく価値が測れたときに、公正な評価と報酬がスタッフに支払われなければ、薬剤師は薬局を離れてしまうでしょう。
フローラグループでは、2020年4月に補助金制度を利用してMusubiを導入し「対物業務→対人業務」への転換を進めながら、人事制度と評価制度の構築に力をいれてきました。
結果として、人事制度を設計し、Musubiを導入したことによって、業務は効率化・見える化され、正当な評価を通じて、対人業務へシフトすることができました。
今回は、人事制度と評価制度をどう設計し、どう薬局内で浸透させ、どう売上につながったか、その実現のためのMusubiの活用方法について、4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:経営理念にこだわるべし
最初のステップとして、経営理念を設定し、薬局内に浸透させることからはじめました。
経営理念は、会社がどこを目指すかを明文化したものです。
フローラ薬局では、
「地域の健康に花を咲かせ、全社員とその家族の幸せを実現する」
と設定しました。
これを時間をかけて整理し、時間をかけて社内で共有しました。
あくまでも人事戦略は、経営理念に紐づいている必要があります。
経営理念をかみ砕いたものが、基本方針です。
「患者様ごとに最適な服薬指導支援ができる」
「薬局が地域住民から身近で役立つ健康アドバイザーになる」
といった、薬剤師としてあるべき指針をまとめています。
経営理念と基本方針をもとに、人事理念を掲げました。
要約するなら「患者様の健康とQOL向上のために、薬剤師としての専門性を高めていくぞ」という宣言です。
そして、これからの時代を見据えて「門前からかかりつけ薬局になれるように、そして地域に開いた薬局になれるように、全員で進んでいくという覚悟」を明文化したものです。
また、人事理念の先に「5年後の社員人物像」を紐づけることで、スタッフに長く安心して働いてもらうための土壌をつくりました。
ステップ2:人事理念で「社員への想い」を明文化すべし
この記事でいちばん伝えたいことがあります。
人事戦略や人事理念とは、
「会社の”ヒト”に対する想いを明文化したもの」
であり、ここを明らかにする重要性です。
「対物業務から対人業務へ」とはよく言いますが、
・どういう会社をめざすか
・その会社をつくるために、どういう人材(薬剤師)になってほしいか
ここを明確に設定することが、薬局の人事設計を成功に導くポイントです。
フローラ薬局の場合は、
・社会的に存在価値が高く、安定的に高収益をあげる会社
・多様なバックボーンを持つ社員(薬剤師)が働きたいと思える会社
であると設定し、経営者・スタッフ間で共通認識を持ちました。
ステップ3:「4つの要素」で、人事制度を構築すべし
ここからは、具体的な人事制度の設計方法について解説します。
【1】人事戦略・理念をつくる(1~2か月目)
目的は、人事戦略と理念を明文化し、スタッフに浸透させることです。
冒頭でも少し触れた部分ですね。自社の人事方針と理念を理解してもらい、同時に現状問題となっている人事課題を抽出(約2か月)し、明確にしました。
【2】等級・役割制度をつくる(3か月目)
目的は、キャリアパスや働き方を個々に設定し、スタッフ一人ひとりが薬剤師として輝けるような制度をつくることです。その上で、職種や職位に応じた役割の設定を行い、経営者とスタッフが役割の共有認識を持てるようにします。
【3】人事評価制度をつくる(4~5か月目)
目的は、スタッフの評価において、透明性・納得性・公平性が確保されている状態をつくり、就業規則に明文化することです。これがなければ、薬剤師は理想のキャリアパスを描いたとしても、評価の基準がなければ、スタッフがただしく評価を受けることも、経営者が正しい評価をすることもむずかしいままです。薬歴をたくさん書けばよい、という時代から変わるためにも、人事評価制度の設計はとても重要です。
【4】給与制度をつくる(6か月目)
賞与や退職金などの制度を明文化し、加えて人事評価制度とリンクさせることで、薬剤師のモチベーションアップと、薬局の力の底上げを狙うものです。
この4つのステップを、3年前に、約6か月程度かけて、すこしずつカタチにしてきました。
ステップ4:人事評価のポリシーを明確にすべし
人事評価のポリシーを明確にし、成果を数値化・見える化することはとても重要です。
薬歴業務を中心に、誰がどのぐらいの業務を行ったかを測る必要があります。
その成果と公正な人事評価に基づき、給与や賞与の支払いを行うことがスタッフのモチベーション向上にもつながります。
成果の見える化は、事業承継(多店舗展開)する際にかなり有効です。
それぞれの店舗で同一の基準を持つことで、薬剤師は公正に評価され、会社も存続・成長することができ、結果的に薬剤師の雇用の継続性もあがります。
これらを通じて、薬機法に基づく「薬剤師と薬局の社会的責任とガバナンス」を果たすことができると思っています。
また、実際に評価を機能させるために、
【1】定量評価
【2】定性評価
【3】チャレンジシート
の3つに分解しました。
さらに、①定量評価については細かく3分割しています。
・会社目標
・店舗目標
・個人目標
それぞれの目標に、5段階の達成項目を設定しました。
例えば、「店舗目標」であればジェネリック割合を
S:85%以上
A:82.5~84.9%
B:80~82.4%
C:75~79.9%
D:75%未満
と設定しました。
これまでは何をどのぐらいやればいいのかが不明瞭だったのですが、共通認識を持つことができました。定量評価の見える化が、フローラ薬局において具体的に成果をあげた例も次々と現れました。
ステップ5:人事制度を運用し、売上アップに着手すべし
ここからは、人事評価制度がいかに売上アップにつながったか、そのためにMusubiをどう活用したかをお話します。
フローラ薬局では、2020年4月ごろにMusubiを導入しました。
コロナ支援金の承認が降り、自動釣銭機とMusubiと、PC2台を導入しました。
▼Musubiのことが気になる方に、詳しい資料をプレゼントしています。
Musubiのインパクト【1】業務効率化で時間が生まれた
Musubを導入して最も大きなインパクトは「時間が生まれたこと」です。
これが人事評価制度の成功に大きく寄与しました。
人事理念を伝えるのにも、評価制度をつくるのにも、すべてにおいて時間が必要です。
これまでの薬局の日常は、薬歴や日々の業務に追われているだけでした。
しかし、Musubiを導入して以来、業務効率化によってたくさんの時間が生まれました。
Musubiのインパクト【2】EP記載時間の可視化→服薬指導の改善
Musubiを導入して実現できた明らかな効果として「EP記載時間が可視化され、薬局全体の服薬指導の改善につながった」ことは大きいですね。
Musubiを使うと、薬剤師全員、店舗全体の薬歴記載時間が「S」「O」「A」「P」それぞれ詳細に見える化されます。
すると「私たちの店舗は全体としてSとPに時間がかかっていて、特にSはかなりの時間を費やしているな……」といったように、原因と対策が浮き彫りになります。
そこからさらに分析を進めると……
【1】前回のオペレーションの具体的な記載が不足している
【2】服薬指導前に確認するべきことが明確でない
などの要素が浮かび上がってきました。
最終的に、薬局としての解決策として「テーマを決めて服薬指導を行うように改善をめざす」などの指針を定めることができました。個々のスキルや課題も明確になり、公正な評価につなげやすくなったことは言うまでもありません。
Musubiのインパクト【3】ジェネリック比率の大幅に向上
Musubiを活用して、ジェネリック比率が大幅に向上しました。
人事評価制度における「店舗目標」のなかで、ジェネリック比率を85%以上にしようと計画していたのですが、Musubi導入前の79.89%から、Musubi導入後は86.49%に改善し、なんと6.6%もアップ。5段階評価のSランクを達成することができました。
Musubi導入前は紙薬歴だったこともあり、ジェネリック比率レセコンからを手計算で算出していたため、作業時間を圧迫していました。そのストレスがゼロになり、設定した目標にも到達することができましたね。
そして、浮いた時間で人事評価をしっかりと運用することができました。
Musubi導入前は、そもそも評価のための情報がまとまっていないこともあり、10日ぐらいかけて「情報を集める」ところからのスタートでした。これが本当に大変で、徹夜の日々でした…。GE比率や薬歴記入時間など、記録が残っていることが本当に大事です。
Musubiのインパクト【4】対物業務へのシフトで売上UP!
時間ができると、対物業務から対人業務へのシフトも可能になります。
そのひとつの結果として、保険外売上が月80万円UPし、大きく伸びました。
フローラ薬局では、25年前から続けてきた漢方、薬膳、アロマ、ハーブ講座などを開催しており、講座を通じた漢方相談やアロマ、検体測定室のHb4Ic測定による糖尿病早期発見と受診勧奨、パッチテストによる化粧品適合検査と相談販売、食品の売上が成長を支えてくれています。
また、フローラグループは茨城にも店舗を構える地方に根ざした薬局です。
地方薬局にとって、患者さんのリピート率の向上は大きなテーマです。
Musubiをつかって、対物業務の時間を極力圧縮し、服薬指導やアロマ教室など、患者さんとのコミュニケーションを高めることで、リピート率80%を実現することができました。
最近では、圧縮してつくることができた時間をつかって、業務時間内でのスタッフ向け勉強会なども行っています。
糖尿病専門薬局としての専門性を高めることで、さらにリピート率の向上につなげてく計画です。
まとめ:人事制度からはじまる、変化に強い薬局づくり
薬局における人事制度の構築は時間がかかるなど簡単なことではありませんが、薬局がつよくなるために必要なことです。
人事制度を構築・運用をするためには、時間が必要です。
Musubiを使うことで業務を効率化して時間を生み出し、分析機能で薬剤師の活動を見える化し、評価や経営のために必要な指標を手にすることができました。
対物業務から対人業務へ、Pay For Timeから Pay For Performanceへのシフトにおいて、Musubiをつかった業務効率化・見える化は、すべての施策の中心にあります。
ぜひ、中小薬局経営者のみなさまには人事制度を導入していただき、これからの時代の変化に強い薬局を、共につくっていけたらと思っております。