catch-img

糖尿病患者のフォローアップに必要な「視点と行動」。3つのポイントを解説|Musubiセミナーレポート


薬剤師が糖尿病患者さんに対して継続的な薬学管理(長期のフォローアップ)を行う際に何が必要でしょうか? 薬剤師にしかできないこと、薬剤師が抑えておくべき「視点と行動」について、3つのポイントに絞って解説します。


本記事は、2021年3月22日に株式会社カケハシ主催で実施されたウェブセミナー『糖尿病から考える地域連携薬局とアフターフォロー』において、新潟薬科大学薬学部臨床薬学教育研究センター センター長であり教授の朝倉俊成先生の講演をもとに、株式会社カケハシが編集した内容になります。


目次[非表示]

  1. 1.サマリー:糖尿病患者の継続的薬学管理に必要な「視点と行動」3つのポイント
    1. 1.1.講師:朝倉俊成 先生(プロフィール)
  2. 2.【1】マルチモビディティ(Multimorbidity:多併依存疾患状態)防止と薬剤師の関わり方
  3. 3.【2】継続的薬学管理における、総合的判断の重要性
  4. 4.【3】継続的なフォローにおける多職種連携とツール活用の重要性
    1. 4.1.(1)薬剤管理サマリー(退院サマリー)
    2. 4.2.(2)糖尿病連携手帳
    3. 4.3.(3)糖尿病患者管理シート
  5. 5.まとめ:主役である患者さんを継続的にフォローアップするために
  6. 6.information
  7. 7. Musubiでできる、患者さんの生活に踏み込んだ「健康アドバイス」(Musubiより)
    1. 7.1.『Musubi』のことをもっと知りたい方は、ぜひお問い合わせください。わかりやすい資料などをプレゼントしております


サマリー:糖尿病患者の継続的薬学管理に必要な「視点と行動」3つのポイント


【1】マルチモビディティ(Multimorbidity:多併依存疾患状態)防止のために、薬剤師だからこそ介入できるポイントは複数存在する

【2】糖尿病患者さんの継続的薬学管理において、検査値を基準に目標数値を決めるだけではなく、患者さんの生活の背景などを鑑みて総合的に判断することが重要

【3】糖尿病患者さんの継続的薬学指導のためのフォローアップスキルを獲得し、管理シート等のツールを有効活用しながら多職種での医療連携を進める必要がある

講師:朝倉俊成 先生(プロフィール)

新潟薬科大学薬学部臨床薬学教育研究 センター長 教授。日本くすりと糖尿病学会では理事長を務める。講演活動も多数行っている。


【1】マルチモビディティ(Multimorbidity:多併依存疾患状態)防止と薬剤師の関わり方

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|薬剤師のマルチモビディティ
講演資料より抜粋して掲載

マルチモビディティ(Multimorbidity:多併依存疾患状態)防止のために、薬剤師がかかわることができるポイントは複数存在します。

糖尿病患者の場合(若年層の患者もいるものの)その多くの方は高齢者です。

高齢者の場合、併存症・合併症が増え、それに伴い「多剤処方」となり、ポリファーマシーになってきます。すると本来の糖尿病とは別の症状も現れるため、この悪循環をどう解決するのか、患者さんへの関わるポイントの多い薬剤師が利点を生かし、どのように継続的にフォローアップするか……そのスキルが問われます

フォローアップの際には、血糖コントロール目標の基準を捉えたうえで、検査値(数値)ありきではなく、患者さんの生活に寄り添い、生活の質・血糖の質を見つめることで個別性の高い医療を提供することが重要です。

【2】継続的薬学管理における、総合的判断の重要性

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|目の前の患者さんに対して、まずは何からするか
講演資料より抜粋して掲載

薬剤師は、患者さんの療養生活(日常)をどこまで把握できているでしょうか?

たとえば、入院中に医師や看護師が病気についての知識やインスリン注射の方法などを指導したとしても、退院後に治療法をどこまで理解し、日々の生活の中で適正に継続してくれているのか……特に、病院に勤務している医療従事者がこれらを知ることは容易ではありません。

なぜなら、医師や看護師は常に患者さんと生活をともにできないし、患者さんも自分の人生の時間を、自分のために生きているからです。

薬剤師の役割のひとつとして、退院後の患者さんにより近い距離で医療を提供することができます。

また、療養中の患者さんは、治療のために努力をしています。

患者さんの努力の背景を把握し、総合的に情報を捉えたうえで患者さんに向き合うことが薬剤師には求められます。患者さんの努力を、処方箋1枚の情報や添付文書通りの管理を通じて、画一的・機械的に判断することはかえって難しいでしょう。

一般的には、Patient Oriented(患者志向)と言われますが、糖尿病患者さんの継続的フォローアップにおいては、Person Oriented(生活者志向)と捉えることが最も重要です。つまり、「患者さん=生活者」であることの理解が求められます。

血糖値の数値ひとつをとっても、患者さんの生活が色濃く反映されているため、画一的な検査値やデジタル評価だけではなく、定性的なアナログ情報も考慮し、それらの「関連性」と「質」を考察することから得られた結果より、「どこに介入するのか」という視点を持つことが重要となってきます。

目の前の患者さんに対して、治療目標(数値目標)を具体的にしながらも、生活の中で投薬治療をどのように実践していくかを伝え、継続して確認しながら投薬を進めていくことが必要です。

投薬治療を「正しく行えること」は基本であり、スタートラインです。その上で、投薬を上手に「使う」ことが求められ、さらに投薬を上手に「活用」することで、攻めの治療や前向きな管理が実現できているか、ひいては患者さんの生活の質が向上しているかを見極めていくことで、患者さんとのつながりを深めていくことができます。

【3】継続的なフォローにおける多職種連携とツール活用の重要性

糖尿病患者さんへ継続した「医薬品適正使用」におけるフォローアップスキルにおいて、必要なことを解説します。


講演資料より抜粋して掲載

まず重要なのが、適正性の確保です。

薬の使用性、有効性、安全性が担保されていることを判断できなければいけません。また、継続的なフォローアップにおいては経済性も見逃せません。

これらを見逃さないためには、どういった視点が必要でしょうか?

それは、「視点」→「気づき」→「評価・判断」→「行動」の4つの要素です。

どこを確認したら適正性が担保されているか見極めための「視点」を持ち、その視点をもって得た情報に対して「気づき」を得たうえで、「評価・判断」するための軸を持ち、最後に具体的に「行動」に生かすのか……というサイクルを回していくことが重要です。

ですが、頭でわかってはいても、このサイクルを回すことは簡単ではありません。

そこで、ここからはサイクルを回すうえで活用できる3つのツールを紹介します。

(1)薬剤管理サマリー(退院サマリー)

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|薬剤管理サマリー
講演資料より抜粋して掲載

退院時において、病院から薬局への伝達事項を明確にするために有効なシート(日本病院薬剤師会作成)です。

病院から薬局へ、何を・どのようにフォローアップしてもらいたいのか?という情報受け取ることで、薬剤師も「視点」→「気づき」→「評価・判断」→「行動」のサイクルを回すことが可能になります。

薬剤管理サマリーのダウンロードはこちらから

(2)糖尿病連携手帳

しかしながら「薬剤管理サマリー」に記載された情報だけでは不十分な場合もあります。

その理由は、多職種連携が全盛になっている今では、病院(医師)からの申し送りだけでは情報が不足することもあるからです。

そういう場合は、「糖尿病連携手帳」もぜひ活用してほしいと考えます。

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|糖尿病連携手帳
講演資料より抜粋して掲載

日本糖尿病協会が作成しているこちらは、多職種にわたる連携先の記入欄が詳細に設けられており、フォローアップにとても有効なツールとなります。(入手は糖尿病治療薬の製薬会社に問い合わせてください)

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|糖尿病連携手帳と多職種連携
講演資料より抜粋して掲載

たとえば、多職種連携チームが共有すべき情報は、患者背景・現病歴・現在の病態・生活習慣など多岐にわたりますが、これらの情報を入手するのは容易ではありません。

『糖尿病連携手帳』には、「栄養素・食塩摂取量」「総エネルギー摂取量」「運動療法への展開」「低血糖対策」「検査計画カレンダー」「多職種連携の医療機関への連絡先」などの記載欄があり、たくさんの情報を共有することが可能です。きっと薬剤師の介入の精度向上の一助となるでしょう。

糖尿病連携手帳の詳細はこちらで確認ください

(3)糖尿病患者管理シート

実際の現場で薬剤師が糖尿病患者さんとどう関わっていくのか。「視点」→「気づき」→「評価・判断」→「行動」のサイクルを回すための助けになるのが『糖尿病患者管理シート』(日本くすりと糖尿病学会作成)です。

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|糖尿病患者管理シート
講演資料より抜粋して掲載

チェック項目に従い記入をすることで、関連性や質を深く掘り下げるきっかけをつくることができ、チェックの形骸化を防止できます。

患者さんの基礎情報はもちろん、投薬前の処方監査についてや、患者さんの病気に対しての理解の深度や質問項目の参考にもなり、患者さんとのコミュニケーションとの導入補助にもなるかと思います。

こちらのシートと医師への服薬指導情報提供書は『日本くすりと糖尿病学会』のホームページからダウンロードが可能です。ぜひ活用ください。

糖尿病患者管理シートのダウンロードはこちらから

まとめ:主役である患者さんを継続的にフォローアップするために

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|患者さんのフォローアップの方法
講演資料より抜粋して掲載

大切なことは、患者さんの病態を数値(検査値)だけで診るのではなく、感情や想いをもったヒトとして捉えた上で、「生活者」としての総合評価をすることが、継続的なフォローアップにおいてはとても重要です。生涯にわたり患者さんをフォローするためにも、経時的・定期的に評価をすることが求められます。

また、多職種連携においては、情報収集・分析のためにもツールの活用が有効です。『日本くすりと糖尿病学会』ではたくさんのツールを配布・紹介しておりますので、ぜひご活用ください。本日はありがとうございました。

information

日本くすりと糖尿病学会のホームページ
第9回日本くすりと糖尿病学会学術集会

・2021年9月11~12日にて開催予定です

 Musubiでできる、患者さんの生活に踏み込んだ「健康アドバイス」(Musubiより)

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|Musubiをつかった健康アドバイス
※画面はサンプルです

Musubiでは、患者さんの情報を機械的・画一的に収集するだけでなく、患者さんを生活者と捉えたうえで「健康アドバイス」を行える機能があります。服薬期間中のフォローが薬歴に反映され、ログとして残るので、ぜひご活用ください。

また、服薬期間中のフォローアップをサポートする『Pocket Musubi』も、患者さんのアドヒアランス向上の一助となると思います。

糖尿病患者のアフターフォローに必要な「視点と行動」3つのポイント|pocket Musubiを使った連携

『Musubi』のことをもっと知りたい方は、ぜひお問い合わせください。わかりやすい資料などをプレゼントしております

お問い合わせ・資料請求