薬局を事業承継するメリットは?医療業界専門M&A会社の担当者に聴いてみた
「薬局を買収する」と聴くと、大手チェーンによる小規模チェーンの買収などを想像する方も少なくないと思います。ところが最近は、個人経営者が薬局を開業・開設するときに、既存の薬局を買収し、事業承継するケースも増えてきています。今回は、医療業界専門のM&A会社として、あらゆる店鋪規模でのケースに関わってきた株式会社CBコンサルティングのコンサルタントにお話を伺い、買収による事業承継によって薬局開設を検討する方が知っておきたいポイントをまとめました。 |
お話してくださった方:株式会社CBコンサルティング 峯田さん、田代さん
(聴き手:Musubiコンテンツチーム)
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最近は事業承継の相談、増えてきました
ーCBコンサルティングでは、薬局開業希望者から、どんな相談を受けるのですか?
「薬局の事業承継により開業されたい」というご相談をいただくことが多いですね。かつて医薬分業が進む前は、薬局開業といえば、新規開院する医師と組んで開局するケースが多かったのですが、現在では医薬分業が進んだ結果、新規の薬局開業は売上予測を立てることが難しくなりました。その結果、事業承継による開業のご相談が増えた、という流れでしょうか。
ーCBコンサルティングに相談すると、どんなサポートが受けられるのですか?
基本的には「薬局を開業したい方(譲受したい方)」と「薬局を譲渡したい方」のマッチングの支援をさせていただいています。ご相談から薬局のご紹介、経営者様とのご面談、契約書類の取り交わし、開業後まで一貫してサポートいたします。
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開業相談に来るのは、こんな人
ーCBコンサルティングに相談に来られるのは、どんな方が多いですか?
弊社に相談に来られる方は20~70代と幅広いのですが、実際に開業まで至った方は30~40代が中心でしょうか。調剤薬局のご経験者が多いですね。中にはMRご出身の方もいらっしゃいます。MR出身者の場合「MRを約10年間経験後、調剤薬局で10年間勤務し、40代で開業」という方も少なくないですね。
ずばり、事業承継による開業のメリットは?
ー大手法人ではなく、個人が薬局を買収によって事業承継することのメリットを教えてください
ここが調剤薬局業界の魅力的な点で、大手や中小法人が「利益が合わないから売却したい」と手放した薬局を、個人(小規模事業者)が譲り受けた場合、調剤基本料の点数があがり、黒字化するというケースもございます。個人(小規模事業者)での薬局経営は、薬剤師資格をお持ちなら、経営者兼管理薬剤師として最少1人で身軽に回せることや、その結果として勤務薬剤師の時より収入が増えることに魅力を感じている方も少なくありませんね。
ー「個人が薬局を事業承継する」というケースは増えてきていますか?
これまでも一定数いらっしゃいましたが、ゆるい右肩上がりの傾向が続いています。引退にあたり、薬局チェーンではなく個人に譲りたいという経営者様もいらっしゃいますし、数十店鋪程度の規模感をもつ法人が個人へ1店鋪だけ譲り渡す、という事例も増えてきています。
資金調達に必要な自己資金は?
ー薬局開業が成功する条件に「資金調達力」は必要でしょうか?
もちろん重要な点となります。仮に売手との間で事業承継のお話が前向きに進んだとしても、必要な資金が調達できないとなると、売手にもご迷惑をお掛けしてしまいます。譲り受ける案件の規模にもよるため一概には言えませんが、一定の開業資金を貯めておくことをおすすめしています。
ーコロナ禍以降、薬局開業における資金調達のトレンドなどはありますか?
コロナ禍以降の特徴として、地方銀行や信用金庫への相談が増えていますね。以前は日本政策金融公庫への相談が第一選択肢だったのですが、コロナ禍においては、日本政策金融公庫は既存法人への融資対応を優先されるケースもあり、融資のスピード感の観点から、地方銀行や信用金庫が選択肢に入ってきたという背景もございます。
ー買収金額に対する自己資金割合の目安はありますか?
買収額の3割程度を自己資金で準備することをおすすめします。また、自己資金だけではなく、金融機関の審査を有利にすすめるために大事なのは説得力のある事業計画です。あとはご本人の熱意や、その案件への想いをしっかり伝えることも重要だと感じています。
薬局の事業承継の流れは?
ー薬局の事業承継の流れを教えてください。
基本的には以下のような流れでお話を進めています。ただ、案件によりケースバイケースとなりますので、細かい流れはご相談ください。
1) 開業に関する事前相談をお受けする 2) 薬局の承継案件情報のご案内 3) 売手様とのご面談(トップ面談) 4) 譲渡契約書のご締結 5) 開業の諸手続きをご支援 |
薬局の事業承継を検討するにあたり、必要なことは?
ー事業承継にあたり、準備しておいた方がよいことはありますか?
これから薬局運営をはじめる方が、その時点で経営に関する完璧な知識を持っている必要はありません。ただ、経営に関する一定以上の興味を持ち、関連する法律などをインプットされている方が、売手様も「このひとに薬局を任せたい!」という気持ちになりやすい傾向はあると思います。また、トップ面談の際は、譲り受けた薬局を今後どのように運営していきたいかというビジョンや、薬局経営に対する熱意を伝えることで、売手様の琴線に触れられることが多いように思います。
最後に。薬局経営に挑戦する方を、応援したい。
ーありがとうございました。最後に、これから薬局の承継開業を検討している方にメッセージをお願いします!
薬局開業のきっかけとしては、「自身の思い描く理想の薬局作りをしたい」「収入をあげたい」「地域医療に貢献したい」など、様々なものがあるかと思います。我々としては、その熱意や想いに真摯に寄り添っていきたいと考えております。経営者としてのはじめの一歩を二人三脚でサポートさせていただきますので、ぜひ皆さまの想いをお聞かせください。(了)
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