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0410対応とは? オンライン服薬指導 解禁までの経緯から要点を整理しました。


【薬局関係者の皆様へ】
本記事はダウンロード資料「0410事務連絡に対応した遠隔服薬指導業務フローのご提案」と合わせてご参照いただけるよう制作されております。どなたでも無料でダウンロードいただけます。

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この記事は新型コロナウイルス感染症に関する情報を扱っています。新型コロナウイルス感染症については頻繁に情報が更新されていくため、必ず厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている一次情報もご確認ください。

この度、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、新型コロナ)に罹患された方々には謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。

また、医療機関従事者の皆さまにおかれましては、感染拡大が続くなかにおいて、通常の傷病者のケアに加え、新型コロナの治療や検査、関連情報の発信などのご努力、ご尽力に心より感謝申し上げます。

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数年前から着実に法整備も進み、兼ねてから注目されてきたオンライン服薬指導。薬機法改正を受け、ついに2020年9月にオンライン服薬指導は解禁となる予定でした。しかし、新型コロナの拡大により急激に医療を取り巻く状況が一変。現時点で「電話や情報通信機器を用いた服薬指導(以下、電話等による服薬指導)」の具体的な方法や留意点について、明確にはご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、新型コロナが顕在化する前から進められてきたオンライン服薬指導を取り巻く法整備の経緯、そして現時点(2020年4月17日現在)の新型コロナの対策下における「電話等による服薬指導」を総論的にまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.オンライン服薬指導の制度化に向けたこれまでの経緯
  2. 2.0410対応:新型コロナ対応のための時限的な特例措置
  3. 3.追記
  4. 4.おわりに
  5. 5.【緊急企画】0410対応に関する情報交換会をオンライン開催
  6. 6.【アスヤクLABO企画】薬局のCOVID-19対応に関する調査レポート

オンライン服薬指導の制度化に向けたこれまでの経緯

2019年12月に改正薬機法が成立するまでは、そもそも服薬指導は対面で行うことが義務付けられており(※1)、長い間オンライン服薬指導は法的に実施できない状況にありました。

2015年の日本再興戦略において「特例として国家戦略特区でのテレビ電話を活用した服薬指導が可能になるよう、法的措置を取る」という方針が明記されたことに始まり、その後数年かけて実証実験や有識者による議論が重ねられ、昨年12月の改正薬機法の公布によりオンライン服薬指導の法制化に至っています。

オンライン服薬指導 制度化の流れ


2015

日本再興戦略において「特例として国家戦略特区でのテレビ電話を活用した服薬指導が可能になるよう、法的措置を取る」という方針が明記(※2)


2016

国家戦略特別区域法により、特区内で遠隔診療が行われた場合に、テレビ電話等を活用した服薬指導が法的に可能に(※3)


2017

日本未来投資にて、遠隔での服薬指導は、国家戦略特区での実証等を踏まえて検討すると示される(※4)
国家戦略特区における遠隔指導の特例の施行が通知され、遠隔服薬指導に関する具体的な要件(映像の要件、デバイスの要件、記録の必要性)が示される(※5)


2018

服薬指導を含むオンライン医療全体の充実に向けて、制度的対応などの取り組みを進めることが「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」閣議決定(※6)全国の国家戦略特区でオンライン服薬指導の実証実験開始


2019

改正薬機法においてオンライン服薬指導が法整備化。2020年9月1日に施行(※7)


2020

診療報酬改定にてオンライン服薬指導に関する加算項目が新設


改正薬機法と診療報酬改定2020

改正薬機法に基づくオンライン服薬指導は、(1)オンライン診療時の処⽅箋に基づく服薬指導と、(2)在宅・訪問診療時の処⽅箋に基づく服薬指導に分類されます。

(1)では、オンライン診療による処方箋を前提にしているほか、保険薬局は服薬指導計画を作成して内容を患者と合意し、その服薬指導計画を医療機関に共有するなどの対応が必要となります。

(2)では、訪問診療による処方箋が前提とされています。

これに対応する形で、2020年の診療報酬改定でも薬剤服用歴管理指導料 4 オンライン服薬指導(42 点)在宅患者訪問薬剤服用歴管理指導料 在宅患者オンライン服薬指導料(57 点)が新設されました。


もっと詳しく知りたい方のために下記お役立ち資料をご準備
お役立ち資料:経営視点でおさえる改正薬機法
お役立ち資料:徹底解剖 診療報酬改定2020

 


0410対応:新型コロナ対応のための時限的な特例措置

このようにオンライン服薬指導は、改正薬機法により、2020年9月1日の施行を待って解禁される予定でした。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」が決定され、大きな変化が起こります。臨時的な取扱いとして、電話や情報通信機器を用いた服薬指導が認められることになったのです。

そして、4月10日には「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(※8)」が厚生労働省より発出(0410事務連絡)され、具体的に「電話等による服薬指導」に関する時限的な対応(以下、「0410対応」)が示されました。

0410対応ではその緊急性に鑑み、医療現場での実用性や実効性確保を優先した内容になっています。対象となるのは全国すべての薬局で、国家戦略特区や改正薬機法で要件となっていた、患者と薬剤師の互いの映像が映せる機能は必須ではなくなり電話による服薬指導も可能になったほか、服薬指導計画の作成も要件から外されました。

具体的に、0410対応の要点をご紹介していきましょう。

対象患者

改正薬機法ではオンライン診療の患者でないとオンライン服薬指導は実施できないとされていましたが、0410対応では、患者が医療機関でオンライン診療または0410対応に基づく電話や情報通信機器を用いた診療を受けていない場合でも、患者が希望すれば薬局での「電話等による服薬指導」が可能と読み取れます。

ただし、薬剤の配送に関わる事項も含む、生じうる不利益等のほか、配送及び服薬状況の把握等の手順について、薬剤師から患者に対して十分な情報を提供・説明したうえで、その説明を行ったことについても記録する必要があります。

処方箋の取扱い

オンライン服薬指導となった場合には、その処方箋の扱いにも以下のような要請があります。

1  処方箋の備考欄に「0410 対応」と記載される


2  自宅療養またはホテルなどでの宿泊療養する軽症者の場合は、処方箋の備考欄に「CoV 自宅」または「CoV 宿泊」と記載される。


3  医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報が送付される


4  処方箋情報をファクシミリ等で送付した薬局に、別途当該処方箋原本も送付される


5  初診からオンライン診療だった場合で、診療録等により患者の基礎疾患を把握できていない場合は、処方箋の備考欄にその旨が明記される


6  3 の処方箋情報と後から入手する 4 の処方箋原本は共に保管しなければならない

電話等による服薬指導と算定

0410対応では、患者、服薬状況等に関する情報を得たうえで、適切に行うことが可能と判断した場合には、全国どこの薬局でも「電話等による服薬指導」を実施できます。なお、この「患者、服薬状況等に関する情報」とは次の事項を指します。

1  患者のかかりつけ薬剤師・薬局として有している情報


2  当該薬局で過去に服薬指導等を行った際の情報


3  患者が保有するお薬手帳に基づく情報


4  患者の同意の下で、患者が利用した他の薬局から情報提供を受けて得られる情報


5  処方箋を発行した医師の診療情報


6  患者から電話等を通じて聴取した情報

※注射薬や吸入薬など、服用に当たり手技が必要な薬剤については、1~6の情報に加え、受診時の医師による指導の状況や患者の理解に応じ、薬剤師が「電話等による服薬指導」を適切に行うことが可能と判断した場合に限る。

加えて、「電話等による服薬指導」をするにあたり、以下の1~4も満たす必要があります。

1  薬剤の配送に関わる事項を含む、生じうる不利益等のほか、配送及び服薬状況の把握等の手順について十分な情報を提供


2  患者の服薬アドヒアランスの低下等を回避して薬剤の適正使用を確保するための対応を行う


3  「電話等による服薬指導」を行う過程で、対面による服薬指導等が必要と判断された場合は、速やかに対面による服薬指導に切り替える


4  患者のなりすまし防止の措置を行う

診療報酬の算定

診療報酬の算定は「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」に基づき算定できます(※9)。

0410対応下における、ファックス等によって受けた処方箋情報に基づく調剤を行った場合、調剤技術料及び薬剤料は算定できる


前述の各要件を満たせば、患者に薬剤を渡して電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合も、薬剤服用歴管理指導料等を算定できる

情報提供

0410対応に基づき「電話等による服薬指導」を行う場合には、以下の事項を、事前に薬局内での掲示やホームページでの掲載を行って周知する必要があります(※8)。

ア  服薬指導等で使用する機器(電話、情報通信機器等)


イ  処方箋の受付方法(ファクシミリ、メール、アプリケーション等)


ウ  薬剤の配送方法


エ  支払方法(代金引換サービス、クレジットカード決済等)


オ  服薬期間中の服薬状況の把握に使用する機器(電話、情報通信機器等)

追記

2020年12月21日に規制改革推進会議と国家戦略特別区域諮問会議の合同会合が開催され、規制改革の実施事項などの進捗が確認されています。(※10)

その中で引き続き検討する事項として、

オンライン診療・服薬指導の恒久化は令和3年夏を目途にその骨格を取りまとめた上で、実施に向けた取組を進める。 その際、安全性と信頼性をベースとし、時限的措置において明らかとなった課題や患者の利便性等を踏まえ、恒久化の内容について、具体的なエビデンスに基づき、検討を行う。

おわりに

現在、業界を問わず事業の生き残りに向けて、 Before Corona 時代(新型コロナ前)と With Corona 時代(新型コロナに対応に追われる現在)をしっかり区別した対応が必要だと言われています。

対面によらない服薬指導についても、0410対応に示されるように、そのルールや求められる対応は大きく変わっています。そして、この0410対応自体もあくまで時限措置であることに留意が必要です。感染が収束するまでの期間は0410対応が続くと考られますが、薬局における対応や実用性、実効性、医療安全等の観点で継続して検証されていくことになります。

この劇的な変化の渦中にある今、関係省庁から出される情報や、医療機関と薬局間の連携による情報連携が一層大切になるでしょう。地域医療の重要な一端を担う薬局の皆さまは、緊急事態宣言のなかで日々懸命に業務されていらっしゃるかと思います。この記事の情報整理が少しでもお役に立てば幸いです。



本記事とあわせて下記もぜひごご一読ください
「0410対応の進め方は?−薬局での掲示から服薬指導後のフォローまで」

​​​​​​​「【動画あり】Musubiの遠隔服薬指導を体験してみました。」
Beyond COVID-19プロジェクトについて
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けカケハシでプロジェクトが立ち上がりました」

​​​​​​​

オンライン診療対応医療機関

「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(令和2年4月10 日事務連絡)」に基づく対応を行っている医療機関の一覧のリストが厚労省ホームページ(※11)に記載されております。4月25日に公開されたデータを地図上でご確認いただけるようにしました。お近くの医療機関の対応状況を知るために、ぜひご活用ください。

※本地図作成にあたりcsvデータは、まじめな所長@医療介護データ研究所 様のデータを活用させていただきました。ありがとうございます。
まじめな所長@医療介護データ研究所: https://note.com/iryokaigodb/n/n271b7c32eb63

【緊急企画】0410対応に関する情報交換会をオンライン開催

実際に推進を意識した活動をされていらっしゃる薬剤師の方へのインタビューや、カケハシ社員薬剤師の知見に基づく明日からできるオペレーション最適化の方法をご紹介します。薬局としてこの事態にどのように対応していくべきなのかを整理する機会として、ぜひご参加ください。視聴のみのご参加も歓迎です。

開催日時:4月22日(水)20:00~、4月23日(木)13:30~

本イベントは終了いたしました。当日の様子レポートはこちら。

その他、これから開催予定のイベントはこちらから

【アスヤクLABO企画】薬局のCOVID-19対応に関する調査レポート

全国の薬局に対し、新型コロナウイルス感染症の対応に関するアンケート結果が株式会社ネクスウェイが運営するアスヤクLABOにて公開されています。他の薬局の消毒の頻度、マスクの消費頻度、感染者の来局時・来局後として取られた対応など、興味深いデータとなっております。ぜひご覧ください。

アスヤクLABOhttps://asuyaku.jp/questionnaire/research202004covid-19/ 

本記事の参考資料

※1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法):https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145#107
※2 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を 改正する法律の公布について:https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T191206I0010.pdf
※3 日本再興戦略2015:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0630/shiryo_02-1.pdf
※4 国家戦略特別区域法:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=425AC0000000107#333
※5 未来投資戦略2017:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf
※6 厚生労働省 薬生発1110第2号:https://secure.nippon-pa.org/mail/img/833.pdf
※7 経済財政運営と改革の基本方針2018:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/2018_basicpolicies_ja.pdf
※8 新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(0410事務連絡):https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf
※9​​ 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10):https://www.mhlw.go.jp/content/000621316.pdf

※10 第48回国家戦略特別区域諮問会議 第2回 規制改革推進会議 議長・座長会合  議事次第(資料4-3):https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/coremeeting/20201221/201221coremeeting08.pdf

※11 厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html

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