再来局につながる服薬指導とは?ITによるアドヒアランス向上の最新事例
重要性が増す服薬アドヒアランス
薬局関係者の間で重要視されて久しい「服薬アドヒアランス(以下、「アドヒアランス」)」。
「コンプライアンス(ドラッグコンプライアンス)」と入れ替わる形で重要視されるようになりました。学会や勉強会で取り沙汰されることはもちろん、調剤薬局の現場においても日常的に意識しながら業務にあたる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、この「アドヒアランス」を改めて定義から振り返るとともに、実際の患者さんのアドヒアランス向上が示唆された弊社事例(実証実験結果)に触れながら、再来局につながる服薬指導について取り上げます。
また、理解を深めるお役立ち資料を、その場でダウンロードできるようご用意しておりますのでよろしければご活用ください。
アドヒアランスの定義と重視される点
ご存じの通りアドヒアランスとは、「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること」を意味します。(※1)
「患者は治療に従順であるべき」という、これまでのドラッグコンプライアンスと異なる点は、患者の主体性が表現されている所であり、さらに次の点を重視するという考え方が特徴的です。
アドヒアランスで重視される点
- 薬を使用するにあたって薬剤師から十分な説明がある
- 患者が服薬意義を理解し、主体的に治療方針を選択している
- さらに薬剤師側がそれを維持するために支援している(※2)
つまり、「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受ける」ためには、薬剤師側からの十分な説明やサポートが欠かせないという考え方が根底にあるのです。
服薬アドヒアランスを高める施策としては、質の高い服薬指導や投薬後のフォローアップ(服薬期間中のフォロー)、処方の改善提案(不要な薬剤を減らす、配合錠への置き換え)など様々なアプローチがありますが、すべての患者さんに行う服薬指導こそが、薬剤師ができる服薬アドヒアランス向上施策として重要であることは言うまでもありません。
服薬アドヒアランス向上に寄与する服薬指導とは
では、服薬アドヒアランスを高める服薬指導とは具体的に何をすれば良いのでしょうか。
やみくもに服薬指導の時間を延ばすだけでは、薬剤師にとっても患者さんにとっても負担になり、質の高い服薬指導とは言えません。できれば患者さんにとって解りやすく関心を持てるような服薬指導を、効率よく行うことが理想です。
ただ、服薬指導をしていても、患者さんが理解しやすい言葉で伝えられたのか、しっかり印象に残ったのか不安な時もありますよね。
そのような服薬指導に関する不安を解消するアプローチの一つとして、視覚から訴えて理解を促し、興味を惹くというアプローチがあります。弊社が行った実証実験において、イラストや説明文が表示された画面をお見せしながら行う服薬指導が、アドヒアランス向上につながることが示唆されたのです。
緑内障治療薬における実証実験
その実証実験は、実際の薬局現場において、緑内障患者さんに対し行われました。
緑内障は慢性の進行性疾患であり、進行すると失明に至る病です。きちんと点眼薬を用いれば進行を抑制することができますが、治療開始3か月で4 分の1以上が治療から離脱してしまうことが知られています。
緑内障の主たる治療薬であるプロスタグランジン製剤(PG 製剤)について、弊社のMusubiを使っている薬局において、Musubiの画面に表示される専用のイラストを使った服薬指導(以下、「健康アドバイス」)を用いて病識や薬識を向上するような説明受けた患者さんと、そうでない患者さんで治療継続率に差があるのかを、弊社が独自に分析しました。
服薬指導中に患者さんに合わせて表示される健康アドバイス画面
その結果、健康アドバイスを用いて説明を受けた患者さんのほうがそうでない患者さんと比較して治療継続率が有意に高いことが示されました。(※3)
なぜ健康アドバイスが服薬アドヒアランス向上につながったのか
Musubiを使った服薬指導では、患者さんにMusubiの画面(服薬指導画面)をお見せし、イラストと客観的なエビデンスで、患者さんに解りやすく伝わるよう工夫されています。また、その服薬指導画面は患者さんごとに適した指導内容・イラスト付きのアドバイスが表示されるので、目と耳の両方から患者さんへの意識づけが可能というものです。
つまり、服薬指導で患者さんの関心を高める工夫をすることにより、アドヒアランスの向上につながる可能性を、この実証実験は示しているのです。
患者さんから「わかりやすい」という声も
また弊社が実施した別のアンケート調査においても、患者さん自身に合った内容で、文字やイラストを添えて説明されることについて、患者さんから高い評価をいただいています。
服薬指導をもっと効率よく
ただ実際の現場では、薬歴も残さないといけないし、次の患者さんも待っています。そのような状態では服薬指導にかけられる時間にも限界があるものです。
そこで紹介したいのが、弊社のMusubiを使った場合の業務フローです。
服薬指導の際、タブレットPCの画面をタッチするだけで、患者さんにご説明した内容が薬歴用の文書に置き換わって記録されます。
従来の業務フローを構造的に変え、服薬指導など対人業務にあてる余裕をつくり出すことができます。
服薬指導中に薬歴が完成するMusubi
画面に表示される指導内容をタップするだけで、その内容が薬歴の下書きとして自動保存されるシステム。服薬指導をしながら薬歴をほぼ完成させることができ、薬歴への記載漏れ防止とともに、薬歴作成の大幅な効率化が可能です。
本記事で紹介しているMusubiの詳細な資料をすぐにダウンロードいただけます。 |
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- 業務効率だけでなく、患者さんの再来率をモニタリングしたい
充実した服薬指導、アドヒアランスの向上、治療継続という好循環
服薬アドヒアランスが向上により治療継続率が高まれば、薬局への再来頻度が向上することも期待できます。前述の実証実験においても、再来率の向上にも寄与できていることが示唆される結果が得られています。
再来率(数値が大きいほうがアドヒアランスが高いことを示す)
健康アドバイスを使用された患者(以下「使用群」)と使用されなかった患者(以下、「不使用群」)について調査。実証実験の詳細は2020年9月25日に弊社発表のニュースリリースをご確認ください。
再来率が向上すれば、結果的に患者さんをサポートする機会が増え、高いアドヒアランスが持続するという好循環が生まれることになります。ひとり一人の患者さんごとに、工夫された服薬指導を行うことの積み重ねが、長期的に患者さんから選ばれ、生き残る薬局になることにつながると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。再来局につながる服薬指導には、アドヒアランスの向上につながる工夫と効率化が求められると言うことになります。まとめると以下のようになります。
- 薬剤師による十分な説明とサポートにより、服薬アドヒアランスの向上が期待できる
- 服薬指導を効率よく、そして患者さんの関心を高めるような工夫が重要である
- 「充実した服薬指導→アドヒアランス向上→治療継続」という好循環を創り出すことで、再来局につながり、結果的に選ばれる薬局になる
これらの取組の実現に向けて、薬局によっては、IT環境の整備が必要になります。かかりつけ薬局になるための重要な一手として、弊社のMusubiがお手伝いできれば幸いです。
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(※2) 服薬アドヒアランスとは 山田浩樹, 上島国利 2006Schizophrenia Frontier Vol.7 No.3, 7-11 を参考に改変。 (※3) 2020年9月25日カケハシ発表ニュースリリース |