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0410対応はいつまで?オンライン服薬指導 解禁までの経緯から要点まで整理【2023年最新】



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この記事は新型コロナウイルス感染症に関する情報を扱っています。新型コロナウイルス感染症については頻繁に情報が更新されていくため、必ず厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている一次情報もご確認ください。

かねてから注目されてきたオンライン服薬指導は、着実に法整備などが進み、薬機法改正を受けて2020年9月、ついに解禁となる予定でした。しかし、新型コロナの拡大により急激に医療を取り巻く状況が一変し、「0410対応」と呼ばれる特例措置が始まりました。一方、「0410対応」はあくまでも時限的な措置であり、調剤報酬上の算定は2023年7月末をもって終了する事務連絡が厚生労働省から発出されました(※1)。

そこで本記事では、新型コロナが顕在化する前から進められてきたオンライン服薬指導を取り巻く法整備の経緯を今一度振り返ったうえで、2022年4月以降に求められているオンライン服薬指導の実施方法を、総論的にまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.オンライン服薬指導の制度化に向けたこれまでの経緯
  2. 2.オンライン服薬指導 制度化を時系列で
  3. 3.どう違う?2019年成立のルール・「0410対応」・2022年に定められたルール
  4. 4.0410対応はいつまで?求められる対応は?
  5. 5.おわりに~あたらしい医療体験としての「オンライン服薬指導」
  6. 6.アフター「0410」、いかに取り組む?セミナー配信中

オンライン服薬指導の制度化に向けたこれまでの経緯

2019年12月に改正薬機法が成立するまでは、2013年の改正薬事法で対面服薬指導の義務規定が明示されており、オンライン服薬指導は法的に実施できない状況にありました(※2)。

2015年の日本再興戦略において「特例として国家戦略特区でのテレビ電話を活用した服薬指導が可能になるよう、法的措置を取る」という方針が明記されたことに始まり、その後数年かけて実証実験や有識者による議論が重ねられ、昨年12月の改正薬機法の公布によりオンライン服薬指導の法制化に至っています。

その後、2020年初頭から突入したコロナ禍によって非対面の重要度が高まり、結果的に認知や普及のスピードが高まったという背景があります。

オンライン服薬指導 制度化を時系列で



2015
日本再興戦略において「特例として国家戦略特区でのテレビ電話を活用した服薬指導が可能になるよう、法的措置を取る」という方針が明記(※3)


2016
国家戦略特別区域法により、特区内で遠隔診療が行われた場合に、テレビ電話等を活用した服薬指導が法的に可能に(※4)


2017
日本未来投資にて、遠隔での服薬指導は、国家戦略特区での実証等を踏まえて検討すると示される(※5)
国家戦略特区における遠隔指導の特例の施行が通知され、遠隔服薬指導に関する具体的な要件(映像の要件、デバイスの要件、記録の必要性)が示される(※6)


2018
服薬指導を含むオンライン医療全体の充実に向けて、制度的対応などの取り組みを進めることが「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」閣議決定(※7)。全国の国家戦略特区でオンライン服薬指導の実証実験開始


2019
改正薬機法においてオンライン服薬指導が法整備化。2020年9月1日に施行(※8)


2020
診療報酬改定にてオンライン服薬指導に関する加算項目が新設(※9)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、「
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が決定
臨時的な取扱いとして、電話や情報通信機器を用いた服薬指導が認められる(いわゆる0410対応)(※10)


2022
診療報酬改定にてオンライン服薬指導が服薬管理指導料の一つとして高く評価(※11)

3月、薬機法施行規則の改正(※12)
9月、薬機法施行規則の改正、在宅勤務などの薬剤師によるオンライン服薬指導が可能となる実施要領が示される(※13、14)


どう違う?2019年成立のルール・「0410対応」・2022年に定められたルール

オンライン服薬指導をめぐるこれまでの経緯を見ると、(1)2019年成立の改正薬機法で法整備化されたルール、(2)0410対応、(3)2022年に示された実施要領などに基づくルール、の3つが存在してきたことがわかります。

これらのルールの違いを、実施方法、通信方法、処方箋、薬剤の種類、調剤の取り扱いの五つの観点でまとめると、(2)0410対応、(3)現在のルールについては共通点が多くなっております。

オンライン服薬指導をめぐるルールの違い(※8)


2019年成立の改正薬機法
0410対応
2022年に定められたルール
実施方法
初回は対面(オンライン服薬指導は不可)
(継続して処方される場合)オ ンラインと対面を組み合わせて実施
初回でも、薬剤師の判断によ り電話・オンライン服薬指導の 実施が可能
初回でも、薬剤師の判断により電話・オンライン服薬指導の 実施が可能
通信方法
映像及び音声による対応(音声のみ不可)
電話(音声のみ)でも可能
映像及び音声による対応(音声のみ不可)
処方箋
オンライン診療又は訪問診療を行った際に交付された処方箋
どの診療の処方箋でも可
どの診療の処方箋でも可
薬剤の種類
これまで処方されていた薬剤又はこれに準じる薬剤(後発品への切り替え等を含む。)
原則として全ての薬剤(手技が必要な薬剤については、薬剤師が適切と判断した場合に限る。)
原則として全ての薬剤(手技が必要な薬剤については、薬剤師が適切と判断した場合に限る。)
調剤の取り扱い
処方箋原本に基づく調剤
医療機関からファクシミリ等で送付された処方箋情報により調剤可能(処方箋原本は医療機関から薬局に事後送付)
医療機関からファクシミリ等で送付された処方箋情報により調剤可能(処方箋原本は医療機関から薬局に事後送付)



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0410対応:新型コロナ対応のための時限的な特例措置

このようにオンライン服薬指導は、改正薬機法により、2020年9月1日の施行を待って解禁される予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」が決定され、大きな変化が起こります。臨時的な取扱いとして、電話や情報通信機器を用いた服薬指導が認められることになったのです。

そして、2020年4月10日には「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(※10)」が厚生労働省より発出(0410事務連絡)され、具体的に「電話等による服薬指導」に関する時限的な対応(0410対応)が示されました。

0410対応ではその緊急性に鑑み、医療現場での実用性や実効性確保を優先した内容になっています。対象となるのは全国すべての薬局で、国家戦略特区や改正薬機法で要件となっていた、患者と薬剤師の互いの映像が映せる機能は必須ではなくなり電話による服薬指導も可能になったほか、服薬指導計画の作成も要件から外されました。

具体的に、0410対応の要点をご紹介していきましょう。

対象患者

0410対応では、患者が医療機関でオンライン診療または0410対応に基づく電話や情報通信機器を用いた診療を受けていない場合でも、患者が希望すれば薬局での「電話等による服薬指導」が可能と読み取れます。

ただし、薬剤の配送に関わる事項も含む、生じうる不利益等のほか、配送及び服薬状況の把握等の手順について、薬剤師から患者に対して十分な情報を提供・説明したうえで、その説明を行ったことについても記録する必要があります。

処方箋の取扱い

オンライン服薬指導となった場合には、その処方箋の扱いにも以下のような要請があります。


1  処方箋の備考欄に「0410 対応」と記載される


2  自宅療養またはホテルなどでの宿泊療養する軽症者の場合は、処方箋の備考欄に「CoV 自宅」または「CoV 宿泊」と記載される。


3  医療機関から患者が希望する薬局にファクシミリ等により処方箋情報が送付される


4  処方箋情報をファクシミリ等で送付した薬局に、別途当該処方箋原本も送付される


5  初診からオンライン診療だった場合で、診療録等により患者の基礎疾患を把握できていない場合は、処方箋の備考欄にその旨が明記される


6  3 の処方箋情報と後から入手する 4 の処方箋原本は共に保管しなければならない

電話等による服薬指導と算定

0410対応では、患者、服薬状況等に関する情報を得たうえで、適切に行うことが可能と判断した場合には、全国どこの薬局でも「電話等による服薬指導」を実施できます。なお、この「患者、服薬状況等に関する情報」とは次の事項を指します。


1  患者のかかりつけ薬剤師・薬局として有している情報


2  当該薬局で過去に服薬指導等を行った際の情報


3  患者が保有するお薬手帳に基づく情報


4  患者の同意の下で、患者が利用した他の薬局から情報提供を受けて得られる情報


5  処方箋を発行した医師の診療情報


6  患者から電話等を通じて聴取した情報

※注射薬や吸入薬など、服用に当たり手技が必要な薬剤については、1~6の情報に加え、受診時の医師による指導の状況や患者の理解に応じ、薬剤師が「電話等による服薬指導」を適切に行うことが可能と判断した場合に限る。

加えて、「電話等による服薬指導」をするにあたり、以下の1~4も満たす必要があります。


1  薬剤の配送に関わる事項を含む、生じうる不利益等のほか、配送及び服薬状況の把握等の手順について十分な情報を提供


2  患者の服薬アドヒアランスの低下等を回避して薬剤の適正使用を確保するための対応を行う


3  「電話等による服薬指導」を行う過程で、対面による服薬指導等が必要と判断された場合は、速やかに対面による服薬指導に切り替える


4  患者のなりすまし防止の措置を行う

診療報酬の算定

診療報酬の算定は「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」に基づき算定できます。


0410対応下における、ファックス等によって受けた処方箋情報に基づく調剤を行った場合、調剤技術料及び薬剤料は算定できる


前述の各要件を満たせば、患者に薬剤を渡して電話や情報通信機器を用いて服薬指導を行った場合も、薬剤服用歴管理指導料等を算定できる

情報提供

0410対応に基づき「電話等による服薬指導」を行う場合には、以下の事項を、事前に薬局内での掲示やホームページでの掲載を行って周知する必要があります。


ア  服薬指導等で使用する機器(電話、情報通信機器等)


イ  処方箋の受付方法(ファクシミリ、メール、アプリケーション等)


ウ  薬剤の配送方法


エ  支払方法(代金引換サービス、クレジットカード決済等)


オ  服薬期間中の服薬状況の把握に使用する機器(電話、情報通信機器等)

0410対応はいつまで?求められる対応は?

コロナ禍の中スタートした「0410対応」ですが、この対応は一貫して時限的・特例的な取り扱いとされてきました。2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行することを受け、医療体制や公費支援の見直しを進める厚生労働省が2023年3月末に示した事務連絡の中で、「0410事務連絡」に基づく診療報酬上の取り扱いは、2023年7月31日をもって終了とされました(※1)。

さらに、厚生労働省が2023年4月17日に公表した医療機関向けリーフレット(※17)のうち、「オンライン服薬指導について (新型コロナウイルス感染症)」の項目では、以下とされています。


新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえた時限的・特例的な取扱いはコロナの位置づけ変更後も一定期間継続されます。ただし、診療報酬上の取扱いについては、令和5年7月31日をもって終了します

さらに、薬局が電話やオンラインによる服薬指導を行う場合の主な留意事項が挙げられています。

  • 2022年9月30日に公表した実施要領のルールに従う必要がある
  • ルールに基づいたオンライン服薬指導を実施する体制が整っていない場合には、 0410事務連絡に基づき、時限的・特例的な取扱いとして、電話やオンラインによる実施が認められている
  • 時限的・特例的な取扱いの終了時期については、「感染が収束するまでの間」で、具体的には院内感染のリスクが低減され、患者が安心して医療機関の外来を受診できる頃が想定される

つまり、「0410対応」は当面継続するものの、診療報酬上の取り扱いは2023年7月31日をもって終了となります。

そのため、今後は「どう違う?2019年成立のルール・『0410対応』・現在のルール」の章でまとめたように、今後は映像を用いた対応を検討していく必要が高まると言えるでしょう。

おわりに~あたらしい医療体験としての「オンライン服薬指導」

オンライン服薬指導(対面によらない服薬指導)をめぐっては、新型コロナ禍の「0410対応」を経て、あたらしい医療体験の選択肢として恒久化していくこととなります。今後は、その対応や実用性、実効性、医療安全等の観点を踏まえ、いかに取り組んでいけるか、全国の薬局で試行錯誤が進んでいく段階となりました。

患者さんへのあたらしい医療体験提供の一環として、ご自身の薬局でも「オンライン服薬指導」が推進できるか、推進のためにはどんなことが必要か、今後も情報収集が必要となりそうです。

この記事の情報整理が、少しでもみなさまのお役に立てば幸いです。

オンライン診療対応医療機関

「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(令和2年4月10 日事務連絡)」に基づく対応を行っている医療機関の一覧のリストが厚労省ホームページ(※18)に記載されております。

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本記事の参考資料

※1 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/001083715.pdf
※2 オンライン服薬指導について(令和4年3月10日 第2回薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ 資料3-1)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000910730.pdf
※3 日本再興戦略2015
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0630/shiryo_02-1.pdf
※4 国家戦略特別区域法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=425AC0000000107#333
※5 未来投資戦略2017
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf
※6 国家戦略特別区域法における医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の特例の施行等について(厚生労働省 薬生発1110第2号)
https://secure.nippon-pa.org/mail/img/833.pdf
※7 経済財政運営と改革の基本方針2018
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2018/2018_basicpolicies_ja.pdf
※8 日本薬剤師会 オンライン服薬指導について ~制度と実務~
https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pharmacy-info/onlinemedicationinstruction/20220406-04.pdf
※9 厚生労働省保険局医療課 令和2年度診療報酬改定の概要 (調剤)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000608537.pdf
※10
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(0410事務連絡)
https://www.mhlw.go.jp/content/000620995.pdf
※11 厚生労働省保険局医療課 令和4年度診療報酬改定の概要 (調剤)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911825.pdf
※12 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について(オンライン服薬指導関係)
https://www.mhlw.go.jp/content/000922763.pdf
※13 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和4年9月30日公布・施行)
https://www.mhlw.go.jp/content/000995229.pdf
※14 オンライン服薬指導の実施要領について​ 
https://www.mhlw.go.jp/content/000995230.pdf
※15 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その10)https://www.mhlw.go.jp/content/000621316.pdf
※16 第48回国家戦略特別区域諮問会議 第2回 規制改革推進会議 議長・座長会合  議事次第(資料4-3)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/coremeeting/20201221/201221coremeeting08.pdf
※17 新型コロナウイルス感染症への 対応について【第2報】(医療機関向けのリーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/001088182.pdf
※18 厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html

公開日:2020-12‐22 更新日:2023-05-09

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