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5分で掴む、地域連携薬局の基礎知識【改正薬機法】

【薬局関係者の皆様へ】
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2021年8月1日を以って、改正薬機法の一部の法令が施行されました。今回、薬剤師・薬局に大きく関係する部分となるのが、「特定の機能を有する薬局(認定薬局)」。その中でも「地域連携薬局」については多くの薬局関係者が注目するところでしょう。

そこで本記事では、近年の薬剤師・薬局に関する政策に触れながら、2021年1月29日に発布された施行通知(以下、「認定薬局解釈通知」(*1))に基づいて、主に「地域連携薬局」における医療施設への情報共有体制について掘り下げていきます。

※本記事の下部ではダウンロードできる資料も用意しております。よろしければご活用ください。


目次[非表示]

  1. 1.近年の施策等の経緯を振り返る
  2. 2.2021年8月1日に施行される改正薬機法 ~「特定の機能を有する薬局」とは~
  3. 3.地域連携薬局の認定基準の概要
  4. 4.医療施設への情報共有に関連する要件
    1. 4.1.地域包括ケアシステムの構築に資する会議への参加
    2. 4.2.地域の医療機関に対して報告や連絡できる体制
    3. 4.3.クリニックや病院に対して報告する実績
  5. 5.医療機関への報告で留意する点
  6. 6.まとめ
    1. 6.1.地域連携薬局の認定のポイント
  7. 7.ダウンロードできる資料にまとめました ~機能する服薬情報提供書~
    1. 7.1.資料ダウンロード方法
  8. 8.『Musubi』『Musubi AI在庫』に関する資料請求・デモ依頼・個別のご相談はこちらから

近年の施策等の経緯を振り返る

近年の施策等を振り返ると、薬剤師と薬局のあり方への見直しに向け、着々と布石が打たれていたことがわかります。

2015年10月に策定された「患者のための薬局ビジョン」は、ご存じの通り、患者本位の医薬分業の実現を目的としたものです。「かかりつけ薬剤師・薬局機能」を軸に、「健康サポート機能」「高度薬学管理機能」から構成され、このビジョンを達成するために、各政策が展開されてきたという経緯がありました。

近年の薬剤師・薬局に係る施策等の経緯

図1.近年の薬剤師・薬局に係る施策等の経緯 (厚生労働省資料(*2)より)

そして2019年12月4日に公布された改正薬機法では、住み慣れた地域で患者さんが安心して医薬品を使うことができるようするため薬剤師・薬局あり方見直し が法令化され、段階的に施行されることになりました。

2021年8月1日に施行される改正薬機法
 ~「特定の機能を有する薬局」とは~

2021年8月1日に施行される改正薬機法では、特定の機能を有する保険薬局認定制度が導入されます。

これは、「患者さんが自分に適した薬局を選ぶための仕組み作り」を目指したものであり、定められた条件にもとづいて都道府県知事から「地域連携薬局」あるいは「専門医療機関連携薬局」として認定を受けられるというものです。

表1. 特定の機能を有する薬局の概要

地域連携薬局
地域包括ケアシステムの一員として、住み慣れた地域での患者の服薬等を支援する薬局
専門医療機関連携薬局
がん等の治療を行う専門医療機関と連携し、専門的な薬学管理を行う薬局

これにより、患者さんが地域で様々な療養環境(外来、入院、在宅医療、介護施設など)を移行する場合や、複数の疾患がある方で、多剤を服用している場合であっても、自身に適した安全かつ有効な薬物療法切れ目なく受けられること期待できるとされています。


地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の関係図

図2. 特定の機能を有する薬局 (厚生労働省資料(*2)より)

地域連携薬局の認定基準の概要

ここからは、多くの薬局にとって今後関係してくる地域連携薬局の認定基準について解説します。

「地域連携薬局の機能」は、患者のための薬局ビジョンで示された「かかりつけ薬剤師・薬局の機能」と対応するものです。ただし、地域連携薬局の場合は、都道府県知事から薬局単位で認定を受ける必要があり、薬局の構造設備、他の医療機関への情報共有する体制、調剤及び薬剤の販売業務体制、居宅等における調剤及び指導を行う体制など、多くの要件を満たす必要があります。

要件の概要は以下の表を参考にしてください。

表2. 地域連携薬局の認定基準の概要一覧(厚生労働省通知(*1)より)

概要
個別の要件
構造設備に関連するもの
  • 利用者の服薬指導等の際に配慮した構造設備
  • 高齢者、障害者等の円滑な利用に適した構造設備

(規則第10条の2第1項第1号~第2号関係)

他の医療施設への情報共有に関連するもの
  • 地域包括ケアシステムの構築に資する会議への参加
  • 地域における医療機関に勤務する薬剤師等に対して随時報告及び連絡する ことができる体制
  • 地域における医療機関に勤務する薬剤師等に対して報告及び連絡した実績 
  • 他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制

(規則第 10 条の2第2 項第1号~第4号関係)

調剤及び薬剤の販売体制・業務体制に関連するもの
  • 開店時間外の相談に対応する体制
  • 休日及び夜間の調剤応需体制
  • 在庫として保管する医薬品を必要な場合に他の薬局開設者の薬局に提供する体制
  • 麻薬の調剤応需体制
  • 無菌製剤処理を実施できる体制
  • 医療安全対策
  • 継続して1年以上常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 地域包括ケアシステムに関する研修を修了し常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 地域包括ケアシステムに関する内容の研修の受講
  • 地域の他の医療提供施設に対する医薬品の適正使用に関する情報提供

(規則第10条の2第3項第1号~第10号関係)

居宅等における調剤及び指導を行う体制
  • 居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の実績
  • 医療機器及び衛生材料を提供するための体制

 (規則第 10 条の2第4項第1号~第2号関係)

この地域連携薬局の認定の申請にあたっては、「地域連携薬局 認定基準適合表(*1)」とよばれる書類を用いて、上記(表2)の基準を満たすことを示して提出する必要があります。

たとえば、報告先となる主なクリニックや病院については以下の書式の通りに記入することになります。

認定基準適合表_主な連携先の医療機関

図3. 主な報告先に関する記載事項:認定基準適合表_別添(一)より



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医療施設への情報共有に関連する要件

上記の通り、認定を取得する為には幅広い要件が求められており、経営レベルで本腰をいれた準備が必要となります。ここからは、さらに医療施設への情報共有について掘り下げていきます。


地域包括ケアシステムの構築に資する会議への参加

地域連携薬局としての役割を発揮するためには、地域のクリニックや病院など他の医療施設との連携体制を構築した上で、必要な情報提供などの業務に取り組むことが求められます。
それでは連携体制の構築に向けて、どのような活動をすれば良いのでしょうか。

認定薬局解釈通知では、地域包括ケアシステム(*3)の構築に必要な会議に継続的参加することと明記されています。
なお、参加の頻度については、「地域における会議の開催状況も踏まえつつ、薬局として参加すべきものを検討した上で積極的に関わっていく」必要があります。


地域の医療機関に対して報告や連絡できる体制

地域連携薬局は、地域における在宅医療への対応や入退院時に、地域のクリニックや病院と服薬情報一元的かつ継続的な情報連携を担うことになります。

このため、地域連携薬局は、医療機関に勤務する薬剤師やその他の医療関係者との間で随時報告及び連絡することができる体制を備えていることが求められています。
具体的には以下の体制です。

表3. 随時報告及び連絡することができる体制

① ハイリスク薬等を服用する患者さんが来局した際に、その患者さんから服薬状況や副作用の発生の有無などの服薬情報を入手し、医療機関に提供すること。
② 入院時には、入院前の服薬情報等を、医療機関に提供すること。
③ 退院時には、退院時カンファレンスに参加し、医療機関から入院時の服薬情報や退院後の療養上の留意点等について必要な指示・情報提供等を受けること。
④ 在宅医療を行う際には、主治医の指示等に基づいて、在宅における服薬状況等を適切に把握し、患者さんの薬物療法等に必要となる薬剤等の情報とともに、医療機関に提供すること


クリニックや病院に対して報告する実績

地域連携薬局の認定を得るためには、前述した体制を構築するとともに、薬局開設者が認定申請する前月までの過去年間において、その薬局薬剤師から医療機関に対して月平均 30 回以上報告が求められていますここで求められる月平均30回の報告とは具体的には以下の通りです。

表4. 月平均30回以上の報告とは

利用者の入院に当たって情報共有を行った実績
医療機関からの退院に当たって情報共有を行った実績
外来の利用者に関して医療機関と情報共有を行った実績
居宅等を訪問して情報提供や指導を行い、その報告書を医療機関へ提出して情報共有を行った実績

認定薬局解釈通知によれば、上記ア~エの報告のうちいずれかのみを行うではなく、満遍なく実施することが望ましいとされていることにも留意が必要です。

なお、認定の申請をする際には、以下の書式に実績を記載することになります。

報告回数に関する記載事項

図4. 報告回数に関する記載事項:認定基準適合表_別添(一)より

医療機関への報告で留意する点

このように、ますます重要性を増す医療機関への情報提供。ではその書面にはどのような内容が求められているのでしょうか?

認定薬局解釈通知によると、服薬指導等から得られた情報を基に、医師にとって薬剤の適正使用必要な情報をとりまとめるべきとされています。ただし、患者さんの検査値のみの情報提供は、地域連携薬局の要件に必要な実績としてはカウントされないと言う点に注意が必要です。

また、このような報告義務は、医療機関との連携を確保するために設けられた最低水準であるということに留意が必要です。認定薬局解釈通知においても、実績(報告回数)を達成すること自体を目的とするではなく、実績満たした後であっても、薬剤師が医療上必要と認める場合や患者さんが希望する場合等はその都度報告するべきとしています。

薬剤師の主体的な情報収集等により、地域医療において機能する報告や連絡が強く求められていると言えるでしょう。

まとめ

国としては、この地域連携薬局の機能を全ての薬局に広げていくという野心的なビジョンを持っています。このような制度改革によって、「立地」ではなく「機能」によって生き残る薬局が決まっていくという大きな流れは、より一層力強くなっていくことでしょう。

地域連携薬局の認定のポイント

最後に、認定のポイントをもう一度振り返ります。

  • 報告及び連絡することができる体制の構築が必要
  • 認定の前月から過去1年間において、月平均30回以上の報告が必要
  • 報告内容についても、地域医療において機能する情報提供が求められる

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ダウンロードできる資料にまとめました ~機能する服薬情報提供書~

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について」によって示された月30回の報告(*3)。

認定薬局解釈通知にも示された通り、報告内容には、医師にとって薬剤の適正使用に必要な情報をとりまとめるべきとされています。

一方で、「まだ書いたことがない」「苦手意識がある」「もっと薬局スタッフに書いて欲しいがなかなか実施されていない」…そういったお悩みを持つ薬局経営層の方も多いのではないでしょうか。

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参考:

*1:[薬生 発0129第6号]医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の 一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係) https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000731165.pdf


*2:2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて

https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/000510963.pdf


*3:地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第 64 号)第2条第1項に規定


*4:[薬生発 0122 第6号]医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行 規則の一部を改正する省令の公布について

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000726347.pdf



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