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3分でつかむ!令和4年度調剤報酬改定(2022)4大トピックスを解説【概要・基本方針・改定率】


本記事では、令和4年度(2022)調剤報酬改定で起こる変化のなかから、特に大きなトレンドである「リフィル処方箋の開始」「地域支援体制加算の変化」「新設された報酬体系」「オンライン服薬指導・資格確認」からなる”4つのトピックス”を中心に、変化の理由とその背景を解説します。


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編集:Musubiコンテンツチーム


目次[非表示]

  1. 1.調剤報酬改定とは
  2. 2.令和4年度(2022)調剤報酬改定の基本指針について
  3. 3.令和4年度(2022)の調剤報酬改定率は?
  4. 4.令和4年度(2022)調剤報酬改定「4つのトピックス」
    1. 4.1.【1】リフィル処方箋
    2. 4.2.【2】地域支援体制加算の変化
    3. 4.3.【3】新設された報酬(薬剤調製料・調剤管理料、服薬管理指導料)
    4. 4.4.【4】オンライン服薬指導・資格確認
  5. 5.令和6年度(2024)調剤報酬改定の議論はいつから?
  6. 6.令和4年度(2022)の調剤報酬改定のまとめ
  7. 7.「薬局経営者が押さえておきたい改定ポイントまとめ」を制作しました。お気軽にダウンロードください。

調剤報酬改定とは

保険薬局が保険医療サービスの対価として受け取る調剤報酬。これは医科、歯科も含む診療報酬の中の一つであり、その改定は通常2年に1度おこなわれ、令和4年はその改定年にあたります(以下、「本改定」)。
保険薬剤師は、この調剤報酬の仕組みを理解し、調剤の際には個々の患者ごとに各項目に定められた算定基準に照らしあわせ、算定の可否を判断することになります。そのうえで、患者さんに交付する明細書に各項目の点数を明示し、適切に説明できることが求められます。

令和4年度(2022)調剤報酬改定の基本指針について

本改定に先立ち社会保障審議会から、「令和4年度診療報酬改定の基本方針」という資料(以下、本資料)が公開されており、4つの具体的な方向性が示されています。
4つの方向性に共通する視点としては、平成30年度改定から継続している医療機能の分化・強化、役割分担と切れ目のない連携を着実に進めること、そして、デジタル化等の社会経済の新たな流れにも対応した効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築に向けた取り組みが挙げられます。


令和4年度診療報酬改定の基本方針

令和4年度診療報酬改定の基本方針

社会保障審議会医療保険部会及び医療部会資料をもとに作成(※1)

また、本資料中で実に3回も言及されている点が、服薬状況等の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理および対物業務の効率的実施を前提とした、対人業務への転換です。

兼ねてから指摘されている点ですが、今回の改定で改めて国がその本気度を示していると言えるでしょう(※2)。

令和4年度(2022)の調剤報酬改定率は?

本改定における調剤の報酬改定率は0.08%となりました。過去の変遷からすると比較的小幅のプラス改定です。

過去の報酬改定における調剤の改定率

過去の報酬改定における調剤の改定率

なお、この改定率にはリフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入・活用促進による効率化 ▲0.10% は加味されていない点に、留意が必要です(※3)。

令和4年度(2022)調剤報酬改定「4つのトピックス」

調剤薬局関係者にとって「特に影響を受けるポイント」として、下記4つが挙げられます(※4)。

【1】リフィル処方箋
【2】地域支援体制加算の変化
【3】新設された3つの報酬(薬剤調整料、調剤管理料、服薬管理指導料)
【4】オンライン服薬指導・資格確認

【1】リフィル処方箋

症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を最大3回まで反復利用できるリフィル処方箋が導入されます。これによりリフィル処方箋に調剤日及び次回調剤予定日を記載するなど、事務的な業務についても注意が必要です。
リフィル処方箋の交付を受けた患者に対して、継続的な薬学的管理指導のため、同一の薬局で調剤を受けるべきである旨を説明することが薬剤師の義務として明文化されていることもポイントです。

【2】地域支援体制加算の変化

地域支援体制加算は、調剤基本料の算定、地域医療への貢献に係る体制や実績に応じて類型化した評価体系に見直されました。具体的には、これまで38点だった加算が、施設基準の区分に従い、次のように加算されます。

イ 地域支援体制加算1 :39点 
ロ 地域支援体制加算2 :47点
ハ 地域支援体制加算3 :17点
ニ 地域支援体制加算4 :39点

地域医療における薬局や薬剤師の貢献を、細分化しそれぞれを評価する構造となっています。収益への影響を再確認する必要があるでしょう。

【3】新設された報酬(薬剤調製料・調剤管理料、服薬管理指導料)

《薬剤調製料・調剤管理料》
対物業務及び対人業務を適切に評価する観点から、薬局・薬剤師業務の評価体系が見直されました。
具体的には、これまで「調剤料」として処方日数ごとに点数が区分されていた内服薬が一律24点となり、新設される調剤管理料のなかで処方日数に応じた加算が付くという構造になりました。対物業務と対人業務をそれぞれで評価するかたちになったと言えます。

改定前
改定後(令和4年 調剤報酬)

【調剤料】

 1 内服薬
(浸煎薬及び湯薬を除く。 (1剤につき)


イ 7日分以下の場合 28点 


ロ 8日分以上14日分以下の場合 55点 


ハ 15日分以上21日分以下の場合 64点 


ニ 22日分以上30日分以下の場合 77点 


ホ 31日分以上の場合 86点


【薬剤調製料】

 1 内服薬

(浸煎薬及び湯薬を除く。 (1剤につき)) 

24点

【調剤管理料】

1 内服薬(内服用滴剤、浸煎薬、湯薬及び屯服薬であるもの

を除く。)を調剤した場合(1剤につき)


イ 7日分以下の場合 4点 


ロ 8日分以上 14 日分以下の場合 28 点 


ハ 15 日分以上 28 日分以下の場合 50 点 


ニ 29 日分以上の場合 60 点 


2 1以外の場合 4点 

《服薬管理指導料》
これまで「薬剤服用歴管理指導料」として算定していましたが、これが「服薬管理指導料」となり、点数がプラスされました。以下の「個別改定項目について」の抜粋から判る通り、算定要件がより具体化され、薬学的知見にもとづく対人業務をさらに評価する形になっています。特に、算定要件として「患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること」が明記されており、服薬期間中のフォローアップが加算に直結する点は理解しておくべきポイントです。

改定前
改定後(令和4年 調剤報酬)

【薬剤服用歴管理指導料】 


1 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合 43点


2 1の患者以外の患者に対して行 った場合 57点


3 特別養護老人ホ-ムに入所して いる患者に訪問して行った場合 43点 


4 情報通信機器を用いた服薬指導 を行った場合  43点

【服薬管理指導料】


1 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者に対して行った場合 45点


2 1の患者以外の患者に対して行 った場合 59点 


3 特別養護老人ホ-ムに入所して いる患者に訪問して行った場合 45点 


4 情報通信機器を用いた服薬指導 を行った場合 45点


注1 

1及び2については、患者に対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合に、

処方箋受付1回につき所定点数を算定する。

ただし、1の患者であって手帳を提示しないものに対して、次に掲げる指導等の全てを行った場合は、2により算定する。


イ (略)

服薬状況等の情報を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、

 薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。

ハ (略)

ニ これまでに投薬された薬剤のうち服薬していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。

ホ (略)

処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること

  「服薬管理指導料」に対応するこれからのフォローアップの取り組み方 令和4年度(2022)の調剤報酬改定から新設された「服薬管理指導料」。改定前の「薬剤服用歴管理指導料」と異なり、服薬期間中のフォローアップを含む対人業務をさらに評価している点です。この特集では服薬管理指導料の算定要件をおさえつつ、これからのフォローアップの取り組み方を深掘りします。 Musubi|電子薬歴は業務効率化だけではない時代。Musubiは薬局DXをトータルサポート


【4】オンライン服薬指導・資格確認

《オンライン服薬指導》
オンライン服薬指導に係るルールの見直しを踏まえ、情報通信機器を用いた服薬指導等について評価が見直されました。
具体的には、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合について、これまでの43点から、「イ 原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に対して行った場合(45点)」と「ロ イの患者以外の患者に対して行った場合(59点)」に改定され、服薬管理指導料の一つとしてより高く評価されています。

《オンライン資格確認》
オンライン資格確認システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得し、当該情報を活用して調剤等を実施することに係る評価が調剤管理料のなかで「電子的保健医療情報活用加算(3点)」として新設されました。

令和6年度(2024)調剤報酬改定の議論はいつから?

薬局経営においても非常に大きなポイントの多い令和4年度の改定。次回、令和6年の調剤報酬改定でも同様の方針が継続されるとともに、さらに進歩的な取り組みに踏み出すことも考えられます。
令和4年の改定プロセスと同じであれば、令和6年改定は、前年にあたる令和5年の8月頃から議論がスタートすると考えられます(※5)。

議論開始時に参考として引用される資料としては、毎年政府が掲げる「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」と閣議決定される「成長戦略」が挙げられます。実際に、これらの資料では感染症を機に進める新たな仕組みの構築として、かかりつけ薬剤師・薬局の普及を進めることが言及されており、そのエッセンスが今回の調剤報酬改定でも加味されました。またオンライン医療の推進につながるデータヘルス改革に関する議論も、令和6年改定に大きな影響を与えていくことでしょう。

令和4年度(2022)の調剤報酬改定のまとめ

これまでの調剤報酬改定に比べ、大きく踏み込んだ内容となった今回の改定。患者にとって安全・安心な医療インフラの実現に向け、薬剤師・薬局が、薬学的知見に基づく取り組みや多職種連携をしながら本来の機能を発揮することへの期待が込められています。「患者のための薬局ビジョン(以下、薬局ビジョン)(※6)」の実現に向けたアプローチが制度面からも待ったなしというフェーズに入ったことがわかります。

これは、薬局ビジョンでしめされた「立地から機能へ」「対物業務から対人業務へ」そして「バラバラから一つへ(かかりつけ化・地域連携)」という題目の達成に向けて、ICT活用などを取り入れながら、着実に対応していくことを求めており、その結果が収益に直結することが明確になった改定と言えるでしょう。

「薬局経営者が押さえておきたい改定ポイントまとめ」を制作しました。お気軽にダウンロードください。

本改訂について要点がまとまったダウンロード資料を用意しました。薬局経営者や薬局で働く薬剤師が押さえておきたいポイントを中心に解説しております。お役に立てれば幸いです(無料)。





参照
※1:令和4年度診療報酬改定の基本方針(概要)|社会保障審議会 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000864859.pdf
※2:令和4年度診療報酬改定の基本方針|社会保障審議会 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000864860.pdf
※3:診療報酬改定について|厚生労働省保険局 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000870701.pdf
※4:個別改定項目について |中央社会保険医療協議会 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000894869.pdf
※5:第80回社会保障審議会医療部会 各資料 | 厚生労働省医政局 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000210433_00018.html
※6:患者のための薬局ビジョン| 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000102179.html

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