【服薬期間中フォロー】現場が抱える3つの不安。業務効率を踏まえた打ち手とは(オンラインセミナーレポート)
法改正に伴い義務化された服薬期間中フォロー。本記事では、2020年9月に開催されたセミナー内容を元に服薬期間中フォローに関する現場の不安と、それに対する打ち手を記事にしました。改正薬機法施行から日も浅く、多くの薬剤師は新たな業務とどのように向き合ったら良いかを検討しているところではないでしょうか。 |
薬機法改正直前 | 服薬期間中フォローへの準備は?
改正薬機法施行前後、多くの薬剤師は新たな業務とどのように向き合ったら良いかを検討されてきたと思います。
この記事の元になっているオンラインセミナー(以下、本セミナー)でも、参加者の7割以上がセミナー開始時点で薬機法改正をきちんと理解できていない、服薬期間中のフォローアップへの取り組みは現在検討中という状態でした。
しかし、本セミナー聴講後は参加した全ての方が、”薬機法改正に至るまでの流れから、服薬期間中のフォローアップを実際に行う想像がつく”という本セミナーのゴールイメージ(下図)に近づいたと回答していただきました。
本セミナーで目指したゴール
- 今回の薬機法改正に至るまでの政策の流れを理解している
- 服薬期間中のフォローアップがなぜ大切か腑に落ちている
- 服薬期間中のフォローアップを実際に行うイメージがついている
本セミナーに参加した薬学生インターンの前田が、その内容をレポートします。
目次[非表示]
- 1.薬機法改正直前 | 服薬期間中フォローへの準備は?
- 1.1.本セミナーで目指したゴール
- 2.薬機法改正で押さえるべきポイントは?
- 3.なぜ、服薬期間中のフォローアップは義務化されたのか?
- 4.服薬期間中のフォローアップでよくある疑問にお答え!
- 4.1.Q.月何件対応すればいいの?
- 4.2.Q.今の体制でできるか不安
- 4.3.Q.フォローアップするときには、どう聞き取れば良いの?
- 5.参加者の声
- 6.薬学生の目~本記事を執筆して~
- 7.さらに詳しい情報をお探しの方は
- 8.「服薬期間中フォロー」の最新情報はこちらの記事でもお読みいただけます
- 9.セミナー登壇者
- 10.次回カケハシセミナーも参加受付中
薬機法改正で押さえるべきポイントは?
セミナーの前半では、薬機法改正の概要と意義についてお話ししました。
しっかりと押さえていただきたいことは、「今回の改正で薬局の定義が変わった」ということです。すなわち、薬局は調剤を行うのみならず、情報の提供や薬学的指導を行う場所へと法的に定義づけられたのです。
今回の改正で薬局に関わる4つの主要テーマに対し、国が掲げている患者のための薬局ビジョンを照らし合わせて解説しました。
なぜ、服薬期間中のフォローアップは義務化されたのか?
続いて、服薬期間中のフォローアップ義務化までの流れをお話しました。
服薬期間中のフォローアップの発端は、チーム医療にあります。日本薬剤師会の定義する「調剤の概念」でも2011年に記載されており、かかりつけ薬剤師の業務として位置付けられているなど、決して新しい概念ではありません。
とはいえ、2018年時点でまだ2割程度の薬局でしか行われていなかったそうです。
今回薬局開設者の法的な義務は、本来の医薬分業の意義である、外来・地域でも薬剤師を含むチーム医療が行われるよう位置付けられました。
薬局薬剤師の介入は、残薬や多剤併用などの問題解決へのアプローチが期待されているようです。
服薬期間中のフォローアップでよくある疑問にお答え!
最後に、ヒアリングに基づいて実際に服薬期間中のフォローアップを行っている薬局事例を紹介し、よくある疑問に回答する形式でセミナーを締めくくりました。
回答していた疑問の一部をご紹介します。
Q.月何件対応すればいいの?
A. 明確な基準はなく、薬剤師として「気になるな」と思う方をフォローすると、月に1~3件程度というのが行っている薬局さんの感触とのこと。新規薬剤の追加や処方変更があった場合、薬剤への理解不足などアドヒアランスの不安が感じられる時などに行うそうです。
Q.今の体制でできるか不安
A. 時間が原因で不安な方は、対人業務以外の見直しをしてみると良いかもしれません。
今回、事例ヒアリングしたのはMusubiのユーザー薬局なので、薬歴業務効率化が進んでいることもあり、そこまで困難を感じずに実施している例が多かったようです。
服薬期間中のフォローに取り組んでいる、ある薬局薬剤師さんの話では、1日20人くらい投薬すると1~5人が気になり、問題があるのはそのうち2割程だといいます。本当に必要な方に限るとそこまで数は多くないはずなので、必要な人を見極めて取り組めるようにしましょう。
Q.フォローアップするときには、どう聞き取れば良いの?
A. 的確かつ、曖昧さを残さずがポイントです。
「ちゃんと飲めてますか?」という曖昧な問いかけでは、曖昧な答えしか返ってこず、きちんと状況を聞き取ることができません。「いつ吸入しています?」「終わった後にうがいしてます?」と具体的な行動確認や、効果確認であれば「おしっこは出るようになりました?」などの的を絞った質問を心がけましょう。
他にも、「電話とアプリどっちが良い?」「フォローアップ内容の記録は薬歴に記載しても良い?」といった疑問にお答えしました。
服薬期間中のフォローで大事なのは、問題がある方に確実にアプローチすることです。
カケハシが提供している、Pocket Musubiというサービスでは、処方内容に対して、状況確認の質問を自動送信します。一次判断をシステム化することで現場の負担を最小限にし、時間をかけなければならない方への判断と行動にかける時間を十分にとることができます。
参加者の声
薬機法改正の関連するポイントを理解した上で、服薬期間中のフォローに取り組むことでその意義も押さえられたのではないでしょうか。
最後に、本セミナーにご参加いただいた薬局関係者の皆さまから頂いた感想を紹介します。
分かりやすくて、元気をもらえる内容でした。積極的な薬剤師が増えてくれたら、ほんとうに嬉しいです。 具体例を聞くことができたので、フォローアップのイメージができました。 服薬フォローアップの重要性が理解できました。薬剤師さんのコミュニケーション能力も大事になってきますね。 大変わかりやすく、他の薬局さんの取り組みも参考になりました。 スタートから、ゴールまで明確でわかりやすい内容でしたので、またこういった勉強会は再度受講したいと思える内容でした。 |
薬学生の目~本記事を執筆して~
大学の講義で3時間かけて習った薬機法改正について、お昼の1時間で実践的なイメージがわきました。
このセミナーに参加して一番良かったのは、薬機法改正の重要なポイントを押さえた上で、服薬期間中のフォローに取り組んでいる薬局の実例を聞けたことではないでしょうか?
よくある疑問に対しての回答では、自然とうなずきながら聞いていました。
今後もこのような機会には積極的に参加していきたいです。
さらに詳しい情報をお探しの方は
本セミナーに登壇した伊藤が執筆した「服薬期間中フォロー徹底解説」は以下のリンクより無料でダウンロードいただけます。
また、本記事やセミナー中も紹介した「おくすり連絡帳アプリ」の詳しい資料はこちらよりダウンロードいただけます。
「服薬期間中フォロー」の最新情報はこちらの記事でもお読みいただけます
セミナー登壇者
伊藤 希美(いとう のぞみ) 東京大学大学院 薬学系研究科 機能薬学専攻修士課程修了。大手コンサルティング会社で、厚生労働省等との医療保険財政の継続性にかかわる研究調査等に携わる。その後、チェーン薬局2年間現場薬剤師として活躍し、本社勤務も経験。2018年「薬局を健康情報発信の場にしたい」との想いから、カケハシに参画。 |
次回カケハシセミナーも参加受付中
次回以降のカケハシセミナーの受付もスタートしています。今後のセミナー・イベント情報はこちらから。ぜひお気軽にご参加ください。
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