0410対応の進め方は?−薬局での掲示から服薬指導後のフォローまで
【薬局関係者の皆様へ】
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この記事は新型コロナウイルス感染症に関する情報を扱っております。新型コロナウイルス感染症については、頻繁に情報が更新されていくため、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。 |
この度、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、新型コロナ)に罹患された方々には謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。
また、医療機関従事者の皆さまにおかれましては、感染拡大が続くなかにおいて、通常の傷病者のケアに加え、新型コロナの治療や検査、関連情報の発信などのご努力、ご尽力に心より感謝申し上げます。
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新型コロナの感染拡大防止のための時限的措置として、「電話や情報通信機器を用いた服薬指導(以下、電話等による服薬指導)」が認められました。今回の記事では、現時点(2020年4月20日現在)の新型コロナの対策下における「電話等による服薬指導」のポイントと、薬局にとっての意義を具体的にひも解きます。
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0410事務連絡・0410対応とは
新型コロナの勢いは、いまだ衰えを知りません。そんな中、先日のブログ記事でもお伝えした通り、2020年4月7日の閣議決定を受け、2020年4月10日に出された事務連絡(※1)により、新型コロナ感染拡大防止を目的に、診療および服薬指導における対面原則が時限的に緩和されました。
診療においては、初診から電話や情報通信機器を用いた診断・処方が可能になりました(麻薬・向精神薬等の処方は不可)。また、オンライン診療はこれまで1割以下の制限がありましたが、それも時限的に免除されています。オンライン・電話診療の対応医療機関については、厚生労働省のWebサイト(※2)で順次掲載されていきます。
服薬指導においては、対面診療か遠隔診療かによらず、全ての処方箋において電話や情報通信機器による服薬指導(以下、電話等による服薬指導)が可能になりました。その処方箋には医療機関にて「0410対応」と備考欄に記載する必要があるため、0410対応と呼ばれています。
どちらも、重症化リスクの高い基礎疾患を持った患者の外出を減らし、医療従事者の感染リスクを下げ、クラスター感染を防止するために有効な手段と考えられます。3カ月おきに検証され見直されていく予定で、新型コロナの感染が収束していけば廃止予定とされています。
これらのケースでは、医師または薬剤師が対面による診療・指導が必要と判断した場合には対面に促すことが可能です。薬局においては、例えば注射薬や吸入薬の服用に必要な手技について患者の理解度が低い場合などは、対面指導を促すこととされています。
0410対応、薬局はどう対応する?
新型コロナの蔓延により、薬剤師も高リスクな状況で働くことが避けられません。自分の、従業員の身を守るために、0410対応について積極的に患者さまに情報発信を行い、対面の必要が少ないケースについては順次切り替えられるようにしたいところです。
まずは0410対応のフローをおさらいします。
処方薬の場合 1. 患者が医療機関に、電話またはオンラインでの服薬指導を希望する旨を伝え、薬局を指定 2. 医療機関が処方箋に0410対応(またはCov自宅・Cov宿泊)との記載した上で、指定された薬局へFAX等により送付(適宜原本も薬局へ送付) 3. 患者から薬局へ連絡(またはその逆) 4. 薬剤師が患者へ電話等により必要な服薬指導 5. 薬局から患者宅(あるいはホテル等)へ薬を発送・受領確認 6. 必要に応じたフォローアップ |
続いて、0410対応のために薬局が実施することを具体的に見ていきましょう。0410事務連絡の中には、新型コロナ罹患患者への対応や、医師からの一般用医薬品の指示についての内容が含まれていますが、ここでは0410対応についてのみ扱います。
1.薬局での掲示物と患者・医療機関への情報発信
まずは、患者さまにこの0410事務連絡について知っていただく必要があります。以下の内容を網羅した掲示物等を用意して周知しましょう。
ア 服薬指導等で使用する機器(電話、情報通信機器等) イ 処方箋の受付方法(ファクシミリ、メール、アプリケーション等) ウ 薬剤の配送方法 エ 支払方法(代金引換サービス、クレジットカード決済等) オ 服薬期間中の服薬状況の把握に使用する機器(電話、情報通信機器等) |
また容態が安定している患者さま、とくに高齢・基礎疾患など外出が高リスクとなる患者さまに対しては、服薬指導時に積極的に伝えていきましょう。患者さまへお手紙でお伝えしても良いかもしれません。その時には必ず「処方箋を受け取らず、『0410対応』と書いてもらい医療機関から薬局へFAXしてもらってください」と伝えましょう。患者さまからのFAXでは、0410対応の対象になりません(なりすまし防止の観点から)。
2.0410対応のFAX等処方箋を受け取ったらまず確認すること
原本が届くまでは、FAX等により送付された処方箋(以下FAX等処方箋)を原本とみなして良いというのが0410対応の特徴です。
医療機関から「0410対応」と書かれたFAX等処方箋を受け取ったら、まずは処方箋情報や内容、過去の薬歴、保有する患者情報等からその患者さまの情報を集め、電話等による服薬指導が可能かどうかを判断します。0410事務連絡の中では、以下の情報源が挙げられています。
1. 患者のかかりつけ薬剤師・薬局として有している情報 2. 当該薬局で過去に服薬指導等を行った際の情報 3. 患者が保有するお薬手帳に基づく情報 4. 患者の同意の下で、患者が利用した他の薬局から情報提供を受けて得られる情報 5. 処方箋を発行した医師の診療情報 6. 患者から電話等を通じて聴取した情報 |
処方箋鑑査も早めに済ませましょう。用法用量等の疑義照会が必要であれば、この段階で行ったほうがスムーズです。また、このFAX等処方箋はその後に送られてくる処方箋原本と一緒に保管しておく必要がありますので、わかるように保管しておきましょう。
3.服薬指導の日時や手段を決定
続いては、患者さまとの事前やり取りです。新規の患者さまで電話番号が分からない場合は、患者さまから薬局へ連絡が来るのを待ちます。既存の患者さまであれば、患者さまから電話が来る前に電話をかけても良いでしょう。都合のいい服薬指導の日時と連絡手段(電話かビデオ通話アプリか)について話し合います。
なりすまし防止のため、電話の場合は事前に保険証等受給資格を証明するものやお薬手帳などをFAX等で送っていただくか、お名前や生年月日、連絡先、保険証情報などを聞き取ったり、こちらからも顔写真付きの身分証明書や、初めてのお薬などがある場合には薬剤情報提供書を、必要に応じて予めFAX等しておきましょう。
4.支払いや配送について確認
距離や時間、医薬品の種類、受け取るタイミングを加味し、受け取り方法を決めます。大きく、「薬局スタッフによるお届け」「患者もしくは看護人が来局」「宅配サービス利用」の3つに大別されます。
宅配サービスを利用する場合は、必ず受領確認・配達記録が残る方法で。実費を患者から徴収しても構いません。その場合は、料金をご負担いただく旨をお伝えしましょう。薬がその日のうちに届かない可能性や、配送トラブルなどの不利益についても説明しておきます。
受け取り方法が来局の場合は、通常の支払いと同様です。お届けや宅配サービスの場合は、対応できる決済方法をお伝えします。代引き・クレジットカード・QRコード決済など多様な決済方法があります。薬局として対応可能なものを予め考えておきましょう。
5.患者さまへの服薬指導
約束の日時になったら、調剤・監査済みのお薬を手元に用意し、約束しておいた手段で連絡します。ビデオ通話アプリなど視覚情報を含む情報通信機器による指導の場合は、画面越しに保険証や社員証などを見せあい、お薬手帳情報の確認なども行います。必要な確認と指導を行い、得られた情報から対面指導が必要と判断した場合は、適宜その旨を伝えて来局を促します。
6.薬剤の受け取り方法・支払い方法の再確認
指導が終わったら、受け取り方法や配送料について、再度確認しましょう。クレジットカードの場合は、クレジットカード情報を取得して決済します。支払いや配送についてはトラブルに発展しやすいので、指導の前後にきちんと確認しましょう。
なお昨年発出された0402通知(※3)によれば、調剤・服薬指導済みのお薬のお届けや郵送手配を行うのは薬剤師である必要はありません。後のフォローアップに備えて、到着日時を把握しておきます。
7.必要に応じたフォローアップ
宅配サービスを利用する場合、まずは患者さまのお手元に問題なく薬が届いたのかを、配達記録等により確認します。
特に新規薬剤の処方に関しては、患者さまの手元にお薬が渡った際、速やかに電話等による再度の服薬指導を行い、服用期間中にも電話等により服薬状況の把握や副作用確認を行ったうえ、医師へフィードバックすることが必要です。これらは新規処方に限らず、必要に応じて行うようにしましょう。
8.薬歴記載
0410対応においては、
薬剤の配送に関わる事項を含む、生じうる不利益等のほか、配送及び服薬状況の把握等の手順について、薬剤師から患者に対して十分な情報を提供し、説明した上で、当該説明を行ったことについて記録すること |
が求められています。通常の服薬指導の記録とともに、0410対応について患者に説明した内容も薬歴に記載しておきましょう。
Withコロナ/Afterコロナの調剤薬局の姿とは
ワクチンの開発状況等にもよりますが、新型コロナはすぐに収束するものではなく、少なくとも1年程度はWithコロナの世界で生活していく必要があるとされます。そんな中、薬局・薬剤師を含めた医療の担い手に感染が拡大し、医療崩壊することは絶対に避けなければなりません。そのためにも、0410対応で時限的に緩和された遠隔診療・服薬指導を積極的に進めていくことが必要です。
では、Afterコロナと呼ばれる新型コロナが終息した後の世界はどのようなものになるでしょうか。今回の時限的措置では原則3カ月ごとに見直され、検証されていきます。1年後にはどんなケースで有効か、どんなケースでは課題が残るのか、課題を乗り越える方法などさまざまな知見が蓄積されていくものと考えられます。
その検証状況によっては、オンライン(もしかしたら電話によるものも)診療や服薬指導が、その診療割合の上限が拡大されるなど、より市民権を得ていく可能性は十分にあると思われます。
患者さまと薬局の皆さま自身を守るためにも、そしてAfterコロナの世界でその知見を活かすためにも、ぜひ積極的に0410対応を周知・実践していってはいかがでしょうか。地域医療の重要な一端を担う薬局の皆さまは、緊急事態宣言のなかで日々懸命に業務されていらっしゃるかと思います。この記事の情報整理が少しでもお役に立つと幸いです。
本記事とあわせて下記もぜひごご一読ください
「0410対応とは? オンライン服薬指導 解禁までの経緯から要点を整理しました。」
「【動画あり】Musubiの遠隔服薬指導を体験してみました。」
Beyond COVID-19プロジェクトについて
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けカケハシでプロジェクトが立ち上がりました」
オンライン診療対応医療機関
「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて(令和2年4月10 日事務連絡)」に基づく対応を行っている医療機関の一覧のリストが厚労省ホームページ(※2)に記載されております。4月25日に公開されたデータを地図上でご確認いただけるようにしました。お近くの医療機関の対応状況を知るために、ぜひご活用ください。
※本地図作成にあたりcsvデータは、まじめな所長@医療介護データ研究所 様のデータを活用させていただきました。ありがとうございます。
まじめな所長@医療介護データ研究所: https://note.com/iryokaigodb/n/n271b7c32eb63
【アスヤクLABO企画】薬局のCOVID-19対応に関する調査レポート
全国の薬局に対し、新型コロナウイルス感染症の対応に関するアンケート結果が株式会社ネクスウェイが運営するアスヤクLABOにて公開されています。他の薬局の消毒の頻度、マスクの消費頻度、感染者の来局時・来局後として取られた対応など、興味深いデータとなっております。ぜひご覧ください。
アスヤクLABO:https://asuyaku.jp/questionnaire/research202004covid-19/
本記事の参考資料
※1 厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(事務連絡 令和2年4月10日)