Musubi導入事例

月40~50人の個人宅の在宅訪問を『Musubi』と共に

福岡県 みんなの薬局
管理薬剤師 詫間勇輔さん
『Musubi』をフル活用し、月40~50人の個人宅の在宅訪問を行う福岡県北九州市の「みんなの薬局」。開局から1年半、なぜ、『Musubi』をはじめとしたさまざまなシステム導入・活用を積極的に進めているのでしょうか。
  • 2022年1月の開局当初から、『Musubi』の各種機能を活用
  • 管理薬剤師1人、11時~15時の外来対応の担当薬剤師1人、事務専任スタッフゼロの体制
  • 月間処方箋枚数は約350枚。在宅訪問先はすべて個人宅で、終末期の患者さんなども担当し、月の算定件数は80~100件程度。近隣医療機関は小児科・内科

1.外来にも、在宅訪問にも積極的に取り組む理由

詫間さん:
わたしは調剤併設型のドラッグストア勤務を経て、2022年1月に新規開局したこの薬局で、管理薬剤師を務めています。店名は、文字通り「みんなの薬局」を目指そうという思いを込めて命名しました。

外来で処方箋をお持ちになる方へのアプローチ。人生の最期のフェーズにご自宅で家族とゆっくり過ごしたい方々や、医療的ケアと共に地域で暮らす患者さんに対する在宅訪問。そして、薬剤師の相談のうえ処方箋医薬品以外の医療用医薬品を販売する零売。

これら三つの業務に取り組む薬局であれば、ほとんどの地域住民へアプローチが可能になります。そんな、地域で暮らす「みんな」を対象にした薬局の運営を目指しています


2.「お薬をもらう場所」という役割だけではもったいない

詫間さん:
日本中、いたるところに調剤薬局がありますが、地域にある薬局が「お薬をもらう場所」という役割だけではもったいないし、しっかりと差別化をしなければ薬局経営は難しい、とも考えています。

ですから、少しでも患者さんが薬剤師とお話がしやすいような配慮をしたいし、お薬とともに薬剤師の知識をお渡ししたい。だから、外来でも在宅訪問時も、視覚で伝わる『Musubi』を活用しています


3.医療用麻薬の服薬指導。『Musubi』で「伝わっている」を実感

詫間さん:
「視覚で伝わったから、一歩踏み込んだ服薬指導ができた」という実感は何度もあります。

特に活用しているのが、病院から自宅へと帰ってきたがん末期の新規患者さんの訪問日です。家族と共に住み慣れた家で、緩和ケアを受けながら過ごす。そのためのひとつの選択肢として、医療用麻薬が処方されます。

患者さんの状況変化について、ご本人と家族に対してしっかりとした説明を尽くすのは、専門家である薬剤師にとって非常に重要な業務です。『Musubi』の端末をスマートフォンのテザリングでつなぎ、「指導文」の機能の画面を患者さんにお示しし、お話しした内容をタッチしながら服薬指導をしています。


『Musubi』の画面(イメージ)

詫間さん:
もちろん薬情もお渡ししますが、伝わり方に差があると感じています。過去に、『Musubi』端末を使わずに同じ医療用麻薬の服薬指導を口頭メインでした時があったのですが、表情や雰囲気の違い、反応との違いが歴然としていました。

患者さんへしっかりと、伝わるように伝える。伝えた内容を、しっかりと記録する。そのために、『Musubi』は在宅業務でも欠かせないのです。


4.「事務専任スタッフゼロ」体制を支えるクラウドシステム

詫間さん:
開局してまもなく1年半。当初から事務専任スタッフゼロ、日中の在宅訪問の時間帯に、もう一人の薬剤師が外来対応を担う、という少人数体制で運営しています。そのぶん、処方箋の受付システムや分包機など、業務効率化につながる機器購入には、積極的に投資しています。

『Musubi』の薬歴機能や健康アドバイス、服薬期間中フォロー機能や分析機能など、各機能が次々にアップデートされるペースは、クラウド型ということもあって、他サービスと比較してもほんとうに早いと感じています。


5.『Musubi』アップデートで在宅報告書は1件5分

詫間さん:
在宅の報告書作成機能は、薬歴から書類に転記できる項目が増え、所要時間は1件10分から5分に短縮しました。作成した書類はPDFにして、別ブラウザで開いている在宅訪問のコミュニケーションツールに添付。メッセージ欄に要約を記載して送付、というオペレーションで、『Musubi』の端末だけで進めています。

記載できる項目がカスタマイズできて、最近はケアマネジャーさんからいただく残薬に関する問い合わせが減りましたね。

発注業務は、『Musubi AI在庫管理』が提案する「おすすめ発注」を踏まえ、抜け漏れがないかを2分で確認し、終了。薬局経営の指標は『Musubi』の分析機能で視覚的に把握できます。また、Musubiユーザーが集まるコミュニティ『MusuViva!』では、ユーザー同士の活用事例から、薬局経営の悩みまで気軽に相談することができて、フル活用しています。


6.なぜ、積極的にシステムへの投資を進めるのか

詫間さん:
各種システムに積極投資する背景。それは「リスク回避」を心掛けたいからです。

紙で情報を持ち歩いた際の、紛失リスク。
併用薬チェック漏れのリスク。
事務処理ミスによるリスク。

これらのリスクを引き起こしているのは、残念ながら、ヒューマンエラーだというケースが少なくありません。

もしリスクが回避できなければ、薬局はその対応に甚大な時間を費やさざるを得ません。

医療関係者の労働力や労働時間を含む、すべての医療資源には限りがある。限りある中で、できる限り「地域のみんなの健康」に向き合いたい。

その基盤づくりになるのが、システム導入だと思っています。


7.一度の訪問、一瞬の確認。それでも、一人ではない

詫間さん:
自宅に戻った終末期の患者さんの中には、一度だけ訪問し、その直後に旅立たれた方もおられます。訪問先の患者さんや家族の状況などによって、一瞬で玄関を出なければならない場面もあります。

一度の訪問、一瞬の確認。ただ、その小さな積み重ねが、地域で多職種がチーム医療に取り組む、ということそのものかなと思っています

変化がなければ、変化がなかった旨を情報として共有する。薬剤師の訪問がわずか一度だったとしても、多職種で終末期の生活を支える体制を構築できたから、患者さんに自宅で過ごすひとときが実現したケースもある。

患者さんに対して一人ではなく、チームで向き合っている。だから、多様な専門職が得た情報一つ一つに、意味があるのです


8.多様なケースに触れ、見える景色

詫間さん:
月40~50人の個人宅の在宅訪問を担当していると、日によっては、緊急訪問が必要なこともあります。また、急な退院前カンファレンスの打診などもあります。ただ、よっぽどのことがない限り、いただいた打診は担当することにしています。また、医療的ケア児の診療を専門とするクリニックと共に、地域の小児在宅患者さん宅への訪問も始まりました。

今でこそ、多様なケースに触れ、手技も、必要な医療材料もわかってきましたし、医療保険や介護保険のルール、そして薬局の収益構造もつかめてきました。ただ「やらなければ、わからなかったことだらけだった」と言うのが本音ですし、ドラッグストア勤務時代に担当した在宅訪問業務とはまた違う景色が見えています。


9.「薬局が対応できたから、家に帰れた」

詫間さん:
訪問先や時間帯によっては、車を30分近く走らせるケースもあるのですが、ハンドルを握りながら、いつも考えることがあります。

訪問先のマンション1階に到着すると、すぐ目と鼻の先に調剤薬局の看板が目に入る。「患者さんのこんなに近くに薬局がある。ここの薬局薬剤師さんが在宅訪問を担えたらな」

かかりつけ薬剤師を見つけた外来患者さんが、在宅医療を必要とするフェーズに至ったら、当たり前にかかりつけ薬剤師が「お薬」を一手に担う。

地域でほんとうに求められているのは、そんな仕組みではないかと思うのです。

在宅訪問先の患者さんと家族から「薬局が対応できたから家に帰れた」という言葉はほんとうに何度も伺いますし、全国で、これからますます在宅医療を希望する患者さんが増えていきます。この状況に、在宅医療に取り組む薬局を増やしていかないと、医療がパンクしかねない、という危機感を感じます


10.薬局がつながり、踏み出せるように

詫間さん:
「在宅訪問をはじめたいけど、なかなかできない」という薬局経営者さんの背景を深掘りすると、知識、医療設備、人員、さらには他職種とのコミュニケーションなど、事情はひとつではないと思います。それを解決するため、基幹薬局、サポート薬局制度など、法人の枠を超えた連携が可能になっていますが、「まずは自分でもできる一歩はないだろうか」とも思いました。

そこで、まずは制度にこだわらずに「横のつながり」をつくることからスタートさせました。『Musubi』のユーザーコミュニティで全国の薬剤師さんから学ばせてもらっているように、在宅のことでもデジタルツールの使い方でも、疑問や不安があれば、まずはわたしに聞いてもらう。そこである程度解消して「まずはやってみよう」と踏み出せる。そんなリアルな「つながり」を、ここ北九州で育んでいきたいですね。(了)


ここまでお読みいただきありがとうございました。
『Musubi』の機能やメリットについて、くわしく資料にまとめました。ぜひご覧くださいませ。
更新日:2023/7/11

最新の事例ストーリーを読む

イベント・セミナー情報

Musubiのことがよくわかる資料

資料1
資料2
資料3
資料4