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薬局の許可・指定に必要な申請とは?薬局開設者のための開局手続きガイド(前編)


薬局の開業・開局までには、各役所への書類の提出や申請など、数多くの手続きがあります。本記事では、薬局にまつわる手続きから一般的な開業に必要な手続きまで、前後編に分けてご紹介します。開業手続きを網羅的に知りたい方におすすめです。


目次

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  1. 1.薬局開業までの流れ
    1. 1.1.薬局開業の手順
      1. 1.1.1.12か月~6か月前 開業時期とエリア・物件の決定
      2. 1.1.2.6~3か月前 保健所や専門家への事前相談
      3. 1.1.3.2か月前  薬局開設許可申請書を保健所に提出する
      4. 1.1.4.1.5か月前 保健所による検査を受ける
      5. 1.1.5.1か月前 厚生局に保険薬局指定申請書を提出する
      6. 1.1.6.開局前月の下旬 厚生局から指定のための審査を受ける
      7. 1.1.7.開局月の1日 保険調剤薬局オープン
    2. 1.2.薬局開設許可申請書
      1. 1.2.1.(1)設備要件
      2. 1.2.2.(2)人的要件
      3. 1.2.3.(3)体制要件
    3. 1.3.保険薬局の指定申請
      1. 1.3.1.必要書類
      2. 1.3.2.オンライン資格確認を利用する場合
    4. 1.4.その他の申請
    5. 1.5.関連する公費指定
  2. 2.理想の薬局づくりをするために

薬局開業までの流れ

薬局開業の手順

調剤薬局の開業には、地域の保健所や厚生局への手続きが必要です。これらの手続きが遅れてしまうと、薬局の営業自体ができないため、営業開始日から逆算して各手続きや書類準備をする必要があります。事前相談などにかかる時間も含めて、余裕のあるスケジュールを組んでおくと安心です。

【関連記事】開業の流れと準備をまとめた「開業準備スケジュール」のダウンロードはこちら

   

12か月~6か月前 開業時期とエリア・物件の決定

まずは開業時期を決めます。決めた開業時期の1年前から逆算し、1年前までには周囲のドクターやMRから情報を集め開業エリアを決めます。そして、6か月前までに物件の情報収集を行いながら、融資の準備を進めていきます。事前に創業計画書を作成したり、経営戦略の立案を進めておくと、その後のスケジュールがスムーズに進むでしょう。

6~3か月前 保健所や専門家への事前相談

開業する物件が決まったら、内装工事を始める前に保健所にレイアウトの相談をしておくことがおすすめです。それと並行して、内装業者、看板業者、レセコン・電子薬歴メーカー、調剤機器メーカーなどの選定も進めておくとスムーズです。

2か月前  薬局開設許可申請書を保健所に提出する

薬局開設許可申請書は、薬局の許可を取得する際の必要書類です。これに加え、「平面図」「業務体制の概要」「登記事項証明書」など各種書類を添付し、各地域管轄の保健所に提出します。必要書類については、各保健所のWebサイト等で確認できます。詳しくは後述する「薬局開設許可申請書」をご覧ください。

1.5か月前 保健所による検査を受ける

保健所の担当者とスケジュール調整を行い、薬局開業にあたって許可基準を満たしたレイアウトや衛生管理であるかどうか、立ち会い検査を受けます。検査日までに、内装工事と、調剤に使用する器具等の納品を終えておかなければなりません。

1か月前 厚生局に保険薬局指定申請書を提出する

薬局開設許可証が届いたら、管轄の厚生局に保険薬局指定申請書を提出します。詳しくは後述する「保険薬局の指定申請」をご覧ください。

開局前月の下旬 厚生局から指定のための審査を受ける

各月20~25日に厚生局指定の調剤薬局になるための審査会が行われます。審査を通過すると、翌月1日から営業開始できます。

開局月の1日 保険調剤薬局オープン

厚生局から保険指定を受けたら、晴れて調剤薬局を掲げて営業をすることができます。

    

 【関連記事】薬局開業までの準備と流れをまとめた「薬局の開業準備スケジュール」

 

薬局開設許可申請書

薬局開設許可申請書とは、薬局の許可を取得するために保健所に提出する書類です。都道府県や薬局の種類によって求められる基準が異なりますが、大きく「設備要件」「人的要件」「体制要件」という3要件を満たす必要がありますが、都道府県や薬局の種類によって求められる基準が異なります。詳細は管轄の保健局に確認しておきましょう。

参考:薬局開設許可申請書(東京都福祉保健局)

  

(1)設備要件

薬局の構造設備についての要件です。
「薬局等構造設備規則」を満たす必要があります。以下は一例です。

 
<例>

  • 薬局であることがその外観から明らかであること
  • 換気が十分であり、かつ、清潔であること
  • 面積は、おおむね一九・八平方メートル以上
  • 医薬品を通常陳列し、薬剤や医薬品を交付する場所は60ルクス以上、調剤台の上は120ルクス以上の明るさであること
  • 冷暗貯蔵のための設備を有すること
  • 鍵のかかる貯蔵設備を有すること
  • 調剤室は6.6平方メートル以上の面積を有し、薬剤師不在時間には閉鎖できる構造であること
  • 調剤に必要な設備及び器具を備えていること(液量器、温度計、水浴、調剤台など)

(2)人的要件

薬局の開設申請者、役員についての要件です。

 
<例>

  • 過去3年以内に許可取り消し、禁錮以上の刑の執行を受けていないこと
  • 過去2年以内に麻薬や毒物などの薬事に関する法令に違反していないこと
  • 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者でないこと


(3)体制要件

調剤、販売等の業務を行う体制についての要件です。

  
<例>

  • 薬局の開店時間内は、常時、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が勤務していること
  • 薬局における1日に扱う平均処方せん数が、40までの場合は1名、40以上は、プラス40(またはその端数)ごとに1名ずつの薬剤師を置くこと
  • 1日当たりの薬剤師不在時間は、4時間または開店時間の2分の1のうちいずれか短い時間を超えないこと
  • 調剤業務において医療の安全を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他「必要な措置」が講じられていること。(必要な措置とは、管理責任者の設置、事故報告体制の整備、医薬品の安全使用や調剤薬剤・医薬品の情報提供と指導業務に関する手順書の作成と実施など)

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保険薬局の指定申請

保険医療機関・保険薬局の指定申請は、公的医療保険の適用を受ける調剤を行う薬局として厚生局に指定されるために必要な手続きです。定められた様式に基づき、管轄の厚生局に申請します。審査会を経て、指定を受けると、通知書の送付と指定が行われた旨の公示(厚生局のホームページ上)がなされます。

こちらも地域などによって求められる基準やかかる期間が異なるため、管轄の保健局への確認が必要です。指定申請に必要な書類は下記の通りです。

必要書類

  1. 薬局開設許可申請書の写し
  2. 保険薬剤師の氏名および登録の記号・番号を記載した書類
  3. 上記の保険薬剤師以外の保険薬剤師の数を記載した書類
  4. 法人登記簿謄本の写(法人の場合のみ)
  5. 土地建物登記簿謄本又は賃貸借契約書の写
  6. 周辺図(近隣の医療機関の位置が分かるように記載)
  7. 平面図(敷地内にある全ての建物が分かるように記載)
  8. 同一建物内のテナント名が分かる書類(雑居ビル等に薬局を開設する場合のみ)
  9. 保険薬局の新規指定及び指定更新に係る確認書類

参考:【添付書類等】保険医療機関・保険薬局指定申請書関係/関東信越厚生局

    

オンライン資格確認を利用する場合

開局当初からオンライン資格確認の利用を希望する場合は、別途手続きが必要になります。 

 
参考:オンライン資格確認記載要領/関東信越厚生局

  

その他の申請

薬局で取り扱う薬剤によって各種申請を行う必要があります。  

  • 薬局製剤製造販売業
  • 薬局製剤製造業
  • 薬局製剤製造販売承認
  • 毒物劇物販売業
  • 麻薬小売業者免
  • 高度管理医療機器販売業・賃貸業許可
  • 農薬販売届

関連する公費指定

他にも、公費指定を受けるために必要な申請が多数あります。受け入れる患者さんを想定して、様々な準備をしておきましょう。

  • 生活保護法等指定医療機関申請
  • 生活保護法指定介護機関指定申請
  • 介護保険法指定(居宅療養管理指導)
  • 労災保険薬局指定申請
  • 指定自立支援医療機関(更生医療・育成医療)指定申請
  • 指定自立支援医療機関(精神)指定申請
  • 結核指定医療機関指定申請
  • 難病医療費助成指定医療機関指定申請
  • 指定小児慢性特定疾病医療機関指定申請
  • 被爆者一般疾病医療機関指定申請

【関連記事】薬局開業までの準備と流れをまとめた「薬局の開業準備スケジュール」

理想の薬局づくりをするために

薬局開業にあたっては、必要な許認可が多いため手続きやその準備に相当な時間がかかります。審査が厳しい地域では許認可が下りず、開局予定日にオープンできない恐れも。融資を受ける場合、予定の遅れは金融機関の心象を悪くしますので、手続きに関するサポートや委託を考えた方がいいでしょう。

登記申請等の事業開始のための手続きと、薬局特有の申請や薬剤仕入れなどのタスクを並行して行わなければならない立ち上げ期は、計画的に準備を進めることは必須です。

さらに、オープン後は従業員対応、患者さん対応、在庫やお金の管理など、経営面のタスクが積み重なってきます。忙しい中でも対応していくために、効率的な経営ができる基盤を作っておくことが大切。

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