服薬期間中フォローアップ。実運用から売上向上までのSTEPを解説【セミナーレポート】
服薬期間中フォローアップが義務化され、1年が経過しました。 「他の薬局がどのようにフォローアップに取り組んでいるのか」「どのようなツールを利用して効率的に取り組んでいるのか」「取り組んだ成果を知りたい」と感じている方々も多いのではないでしょうか。 そんな薬局経営者や薬剤師のみなさまに向けて、『Musubi』の服薬期間中フォロー機能(Pocket Musubi)のプロダクトマーケティングマネージャーを務める薬剤師の山﨑が、服薬期間中フォローアップの実運用から売上向上までの方法を、セミナー形式で具体的に解説しました。 今回は、セミナーからトピックの一部をまとめてお伝えします。 |
こんな人におすすめです
- 服薬期間中フォローアップの実施について悩みがあり、具体的な事例を知りたい方
- 服薬期間中フォローアップに使う連絡ツールの選定方法や、それぞれのメリット・デメリットを知りたい方
- 服薬期間中フォローアップを推進し、患者さんの満足度や売上の向上を目指している方
スピーカー
山﨑 友樹(株式会社カケハシ Pocket Musubi プロダクトマーケティングマネージャー・薬剤師)
目次
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フォローアップは、本当に売上へ直結する?
それでは私から、服薬期間中フォローアップの実運用から売上向上までの道筋、と題しましてお話します。
まず初めに「フォローアップが、売上に直接結びつくイメージが湧かない」と感じる方もおられるかもしれません。わたしは、薬局さんの事例を通じて、実際に実現可能だという所感を持っております。
Musubiサービスサイトの事例ストーリーにも、フォローすべき患者さんへ電話でフォローアップを実施したところ、再来率が10%向上しています。フォローアップをしてみると、「コミュニケーションの深さが変わった」「お礼を言われた」などの好意的なコメントがありました。
この「再来率10%向上」は、売上への貢献度合いとしては大きいものです。
そこで本日は、
- 服薬期間中フォローアップが必要な理由
- 服薬期間中フォローアップが貢献する売上要素と貢献事例
- 売上に貢献する実運用
という流れで、どのようにすればこのような成果を出していけるのか、体系的にお伝えしたいと思います。
「調剤薬局の市況変化」と「患者さんのニーズ」をとらえて生き残る
まずはフォローが必要な理由を、外部要因の側面からお話します。
まず一つは、調剤薬局の市況変化です。
調剤医療費の伸びは停滞しているのが現状です。特に2016年以降、明らかに減少トレンドになっていて、売り上げを伸ばすことが困難、いわゆる競争環境に突入しているというのが総論です。
実際に新型コロナの時期に、売上が減る中でどうするべきかもがき、復活させた方もいらっしゃいます。そのような方々が取り組んでいることを伺うと、マクロ環境と3C(Customer=市場・顧客、Competitor=競合、Company=自社)の分析をされています。
例えばマクロ環境で言うと、服薬期間中フォローアップが義務化されたり、服薬管理指導料にフォローに関連した算定用件が追加されたりしました。リフィル処方箋もスタートしましたし、電子処方箋も運用開始となります。
このような環境下で、薬局は「患者さんのニーズはどこにあるのか」をとらえ、「自社の優位性はどこで、患者さんが継続的に来てくれる可能性はどこか、そしてどのように生き残っていくのか」を検討することが重要かと思います。
「売上の視覚化」で見えてくる、薬局がすべきこと
「売上」を構成する要素を、視覚化してお見せしていきたいと思います。
大前提として、売り上げは処方箋枚数×処方箋単価であり、処方箋枚数を内訳で考えると、「来客患者数×1日あたりの処方箋枚数」ということになります。
また、1人あたりの処方箋枚数については、アドヒアランスが良い患者さんのほうが来局関係が安定することになります。さらにサービス向上によって、門前の処方だけでなく、それ以外の医療機関の処方も持ってきてくださる可能性もあります。
「新規の患者さんを増やす」と聞くと、フォローアップの取り組みとは若干距離があると感じるかもしれません。新患獲得の導線においてはフォローアップが訴求できる点もありますので、実際に行われている例もご紹介します。
また、流出顧客を減らし、再来率と来局頻度を上げるという観点で、弊社がご支援して実施した再来率アップのプロジェクトについて、具体的に解説します。働きかけをした患者さんの18%が有意差を持って再来率が向上しており、成果が出ております。
服薬期間中フォローアップを始めたい。患者さんへの一言目は?
ツールを使った服薬期間中フォローアップについて、LINEと連動して患者さんとコミュニケーションが取れる『Pocket Musubi』を使った店舗における実運用フローを紹介します。
受付で、「LINEを使った服薬期間中フォローアップをしているのですが、LINEはお使いでしょうか」などと聞いてみます。
Yesであれば、チラシを使って登録いただくと、お薬のサポートを薬剤師がさせていただいています。簡単な質問に答えていただくと、お薬のアドバイスを受け取れますよ」などとご説明します。
そこで友だち登録いただいて、フォローアップをできるようにするか、そうでなかったとしても電話やショートメッセージという方法もあることを伝え、Yesであれば、電話でのフォローを始めるきっかけとなります。
関係性が向上して他院処方箋を持参、単価が上がった……事例を紹介
ここで改めて、「服薬期間中フォローアップの実運用から売上向上までの道筋」とはどんなイメージか、実例を踏まえてお話します。一つ目は関係性が向上して他院の処方箋をお持ちいただいた事例、もう一つは1点の単価を上げた事例となります。
具体的な事例を踏まえてお伝えしたいのは、日々のルーティーンとして継続することの重要性です。新規顧客が増え続けていても、流出顧客が増えるのであれば、バケツの底に穴が空いているような状態なので、ここは両輪でやっていくことが大事と言えるでしょう。
患者さんの薬にまつわる不安は、薬局の中ではなく日常の中に多いということは、服薬期間中フォローの事例を拝見していても感じることです。患者さんに働きかけがあった薬局と、何もアクションがなかった薬局。患者さんが「また次回行っても良いかな」と思えるかはちょっとした差だったりします。そのようなことを踏まえて、患者さんにアプローチをしていただけると良いかと思います。(了)
更新日:2023年7月4日