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3分でつかむ!電子処方箋~薬剤師が知っておきたい4つの「変化」【概要・準備フロー・補助金】


本記事では、2023年1月26日から全国で運用が開始された「電子処方箋」について、薬局現場での変化に着目して、概要や調剤の流れ、準備フローなどを端的に解説します。


この記事を読むためにかかる時間:3分

編集:Musubiコンテンツチーム​​​​


目次

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  1. 1.電子処方箋とは。その概要
  2. 2.電子処方箋の仕組み
  3. 3.電子処方箋に対応するには、どんな準備が必要?
  4. 4.電子処方箋の導入に関連する補助金は?(2023年3月更新)
  5. 5.電子処方箋によって変わる!4大ポイント
  6. 6.電子処方箋に関連して押さえたい。薬局DXの今
  7. 7.電子処方箋の運用開始直前のまとめ【2022→2023】
  8. 8.その他の重要ポイントも押さえたい方は「電子処方箋まるわかりBOOK」をご覧ください

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電子処方箋とは。その概要

電子処方箋とは、現在は紙で運用されている処方箋を電子システム上で行う仕組みのことです。基盤となっているのは、オンライン資格確認等システムです。

薬局においては、これまで紙でやり取りしていた処方箋の内容をシステム上で確認することが可能になります。薬剤のデータが電子的に記録されることで、薬局の業務はどのように変わるでしょうか。

電子処方箋の仕組み

まず気になるのが、「これまで紙でやり取りしてきた処方箋の内容を、薬局はどのような仕組みで把握できるのか」という点かと思います。そこで電子処方箋の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

【電子処方箋の仕組み】

「電子処方箋」と聞くと「患者さんが何かの端末を持ってくるの?」「スマートフォンを持っていない人は使えるの?」と考える方もおられるかもしれません。上の図をご覧になってわかるように、「電子処方箋」は電子的に保存している情報をシステムを介してやりとりされることから、このように呼ばれています。

【医療機関と薬局での流れ】でまとめた通り、実務上、注意が必要となるのは以下2点です。

  • 現時点では患者さんは「電子処方箋」か「紙の処方箋」の希望するほうを選択できる
  • 患者さんが受付で提示するのがマイナンバーカードか従来の健康保険証かに関わらず、電子処方箋を使うケースがある

【医療機関と薬局での流れ】

電子処方箋に対応するには、どんな準備が必要?

電子処方箋の仕組みが分かったところで気になるのが、どのような準備が必要か?という点かと思います。薬局が電子処方箋に対応するには、薬局現場で準備を進めなければならないこともありますので、ここではおもな準備物と、準備作業をまとめました。

現時点でおもな準備物としては、電子処方箋を活用する薬剤師が必携となり、電子署名の際に使用する「薬剤師資格証(HPKIカード)」、カードを読み取るカードリーダーなどが挙げられます。なお、「薬剤師資格証(HPKIカード)」については日本薬剤師会の会員・非会員を問わず取得できます。

なお、薬局における準備作業を流れに沿ってまとめると、以下の4ステップになります。

1.準備開始
電子署名を行うためのHPKIカードの発行申請、ポータルサイト上での登録など
2.システム事業者へ発注        
発注、HPKIカード読取用の ICカードリーダー購入、ポータルサイト上での電子処方箋利用申請など
3.導入・運用準備
電子処方箋対応版ソフトの提供、業務フロー確認、ポータルサイト上での運用開始日の入力、患者向け提示物の準備など
~運用開始~

4.補助金の申請
必要書類の受領/準備 (領収書等) 、申請

参考:電子処方箋導入に向けた 準備作業の手引き

https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/docs/denshi_tebiki.pdf


電子処方箋の導入に関連する補助金は?(2023年3月更新)

準備に関する章でも述べた通り、導入にあたっては補助金が交付され、2023年3月までに導入した場合は高い補助率が適用されます。具体的な補助上限は、以下の通りです。

大型チェーン薬局
(グループで処方箋の受付回数が月4万回以上の薬局)
9万7000円を上限に補助(事業額の38万7000円を上限にその4分の1を補助)
大型チェーン薬局以外の薬局       
19万4000円を上限に補助(事業額の38万7000円を上限にその2分の1を補助)

また、HPKIカードの発行にも費用がかかりますが、厚生労働省の資料によると、2022年度の補正予算により、HPKIカードの発行費用の一部を国が補助することになりました。この補助に関しては2023年4月以降も継続されますが、補助額は2022年度より低くなります(5,500円→2,750円)。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001019594.pdf
   https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001075064.pdf

電子処方箋によって変わる!4大ポイント

ここまでは仕組みや準備に関する情報を中心にお伝えしてきましたが、最も気になるのは「電子処方箋によって、結局どんなことが変わっていくのか?」という点かと思います。転記ミスは防げそうだそこで、薬局現場と患者さんに関する変化に着目して、ポイントを4つ取り上げます。

【1】閲覧できる患者情報が変わる!
【2】重複投薬や自動チェックが2段階でできるように変わる!
【3】署名の仕方が変わる!
【4】記録の保管が変わる!


【1】閲覧できる処方や調剤履歴が変わる!

従来はお薬手帳の確認や患者さんの記憶に頼っていた薬の情報が、システムを介して把握できるようになります。

具体的には、オンライン資格確認を導入した状態では、過去1か月から3年分のレセプト請求された薬剤が参照でき、電子処方箋が選択された薬剤については、直近まで参照期間が拡大されます。なお、医師判断の分割調剤やリフィル処方箋は直近の参照対象に含まれません。

ただし、患者さんの同意を得ることができず、参照できない情報が存在している場合もあるので、患者さんの記憶やお薬手帳の情報も引き続き重要となります。

【2】重複投薬や自動チェックが2段階でできるように変わる!

電子処方箋管理サービスに登録された処方箋内容に対する重複投薬や併用禁忌の自動チェックが、処方箋発行時と調剤時の2段階で行うことができます。このため、形式的な疑義照会減少や、医療費抑制が期待されています。



【3】署名の仕方が変わる!

薬局現場で日々行っている、調剤済み処方箋への署名も変わります。具体的には、前述したHPKIカードを用いて、電子的に署名することになります。 

【4】記録の保管が変わる!

これまで薬局では紙の処方箋を保管するために、保管スペースを確保したり、ファイリングしたりする手間がかかっていました。電子処方箋の場合、システム上に処方内容が存在しているので、紙の処方箋の保管は不要になります。


電子処方箋に関連して押さえたい。薬局DXの今

電子処方箋は2023年1月から運用が始まり、全国の医療機関や薬局で導入が広がっていくと考えられます。一方、電子処方箋の運用開始は「データヘルス」「薬局DX」と言われる大きな流れの一つであり、薬局現場には今後も様々な「変化」が求められていると言えるでしょう。
薬局DXをめぐる国の動きとしては、以下が予定されています(一例)。

  • 2023年4月 オンライン資格確認 導入の原則義務化
  • 2024年度以降 学校健診や電子カルテ・介護情報(検査結果情報やアレルギー情報等)がマイナポータル上で閲覧可能に

電子処方箋をはじめとした新たな仕組みの導入については、始めてみなければわからない部分もあるかと思います。一方、データヘルス改革の流れを踏まえると、薬局や薬剤師が触れられる情報がますます増えていくことは確実でしょう。

仕組みの理解や導入を進めると同時に、「情報をいかに活用すれば、患者さんのニーズを踏まえ、最適なサービスを提供できるか」という視点に立ち、薬局業務の中で情報を活用していきたいですね。

参考:『調剤と情報』2022年11月号、株式会社じほう


電子処方箋の運用開始直前のまとめ【2022→2023】

いかがでしたか。今後の最新情報はMusubiサービスサイトの特設ページでもアップデートしていきます。ぜひご覧ください。

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その他の重要ポイントも押さえたい方は「電子処方箋まるわかりBOOK」をご覧ください

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                                   更新日 2023-03-23

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