「国はオンライン資格確認を本気で進めている」では薬局はどう対応すればいい?ディスカッションまとめ【厚労省水谷氏・狭間氏・カケハシ中尾】
2022年1月18日、カケハシ主催のオンラインセミナー(無料)にて【新春特別企画】2022年 薬局業界の未来を変える!? 経営者セミナーを開催しました。本記事ではセミナー内で白熱したディスカッションの様子と、その議論を見守った300人の参加者(薬局関係者)の声をお伝えします。 |
登壇者
・水谷 忠由 氏(厚生労働省 保険局 医療介護連携政策課長)
・狭間 研至 氏(PHB Design株式会社 代表取締役社長)
・中尾 豊 (株式会社カケハシ 代表取締役社長)
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オンライン資格確認は、データヘルス改革の第一歩
セミナー冒頭で厚労省の水谷氏は、オンライン資格確認の現状と今後の展望を語りました。
オンライン資格確認については「今後のデータヘルス改革の基盤になる」と話したうえで、「全国の医療機関や薬局と安全に常時接続されており、医療情報を個人ごとに管理しているため、本人の情報を確実に得ることができ、患者の同意を確実かつ電子的に得ることが可能です」と、語りました。そして今後は、オンライン資格確認の普及を進めつつ、令和5年1月を目安に電子処方箋の仕組みを構築する予定があることを明かしました。
また、現時点でオンライン資格確認を実施可能な端末を導入している医療機関は全体の56.6%であることを示したうえで、「半導体不足などにより、まだまだ普及が進んでいない部分があるが、ぜひ補助金などを活用して導入していただき、オンライン資格確認のメリットを感じてほしい」と話しました。
オンライン資格確認で使える補助金は?申請方法まとめ
『オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係 医療機関等向けポータルサイト』では、申請方法や必要条件、申し込み期限などがまとまっています。申請期限は令和5年6月30日まで!(令和5年3月31日までに補助対象事業を完了させる必要あり)
「国は本気です。ぜひ薬剤師の声が聴きたい」
セミナー中盤からは、狭間氏、カケハシ中尾も参加し、参加者のコメントをリアルタイムで見ながらのディスカッションとなりました。
狭間氏はオンライン資格確認によって、薬剤師の動き方が変わってくることに期待感を示しつつ「患者さんの処方歴がわかるようになると、薬剤師がさらに患者さんを深く診ることができるようになる。これまでの服薬指導が『写真的』だとすると、オンライン資格確認で得た情報によって『動画的』に患者さんを診ることができる。最近は患者さん側も、「服薬状況を薬剤師に説明することのメリット」を感じているためか、お薬手帳を持参してくれることが増えてきた。オンライン資格確認はお薬手帳の代わりにもなりえるため、期待している」と語りました。
カケハシ中尾は水谷氏に対し、「オンライン服薬指導が盛んになると、薬局を直接訪れない患者さんも増えてくると思うが、こういったケースにおけるオンライン資格確認については、どういう検討をされているか?」と質問をしました。それに対し水谷氏は、その点がデータヘルス改革を進める上での課題としたうえで「顔認証によるカードリーダーは、現状はセキュアな(安全性の高い)認証機能であるが、オンライン診療や訪問診療時に資格確認については、どういうシステムをつくれば解決するかを議論しています」と国のディスカッションの現状を伝えました。
最後に水谷氏は、「データヘルス改革の推進に国は本気です。あらゆる施策を講じて推進を考えています。薬局のみなさまにも、オンライン資格確認の利用をお願いしたい。そして、使うなかで、感じたことや要望を教えていただけるとうれしいです」と語り、閉会しました。
参加者の声(セミナー後のアンケートより一部抜粋)
オンライン資格確認の内容等、昨年厚労省の方々の説明会を聞きましたが、今日の水谷様の話が一番具体的でわかりやすかったと思います。ありがとうございました。
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オンライン資格確認のメリットは、理解しているつもりでしたが、処方意図を盛り込んで、疑義照会を減らし、医師の業務効率にむすびついたらよいという意見は斬新なので、良かったです。 現場薬剤師 |
データヘルス計画が実現した社会が待ち遠しいです。個人情報の問題もありますが、データを受け取る側の管理と患者さんに対してのサービスが十分にできるようにしていきたいです。 エリアマネージャー |
今までどちらかというと否定的な面もあったのですが、お話の中で、写真ではなく、動画で見ていく必要性の話に触れ、共感できました。(オンライン資格確認が)開始してもハードルは高そうですが、少しずつでも浸透することで、薬局薬剤師としての果たす役割が増えるような気がしてきました。 |
国の本気の方向性を感じました。資格確認、オンライン処方箋が進むことで薬剤師に必要とされる知識はより多くなります。知識のアップデートが必要だと感じます。 エリアマネージャー |
(前略)各医療機関で患者のヘルスデータにアクセスできるようになると、今、薬剤師に求められている薬剤情報の一元管理の必要がなくなるかもしれない。薬剤師の働き方はもっと変わるでしょうね。 薬局経営者 |