株式会社ケンユウの特徴
株式会社ケンユウ × 『Musubi』が生み出した成果
ー現在、全11店舗で『Musubi』や『Pocket Musubi』を導入いただいておりますが、『Musubi』を知ったきっかけは何でしたか。
原社長:
導入を決めたのは2019年末でしたが、そのしばらく前から、学会の企業展示ブースなどで『Musubi』を見る機会はありました。ただ、最初はどこか先駆的すぎるかなという印象がありました。
横内さん:
すでに2社ほど電子薬歴を使ってきて、ある程度の業務効率化はできていた時期でしたね。ただ、薬局経営における課題は、法改正を踏まえた戦略策定から社員教育まで、多岐に渡っています。
業務効率化の「その先」を考えなければならないという思いが強くなっていた時、薬剤師免許を持つカケハシの社員さんと話す機会がありました。『Musubi』は導入時のプログラムが充実し、社員教育を大切にする会社の方向性にもマッチする。『Musubi』に切り替えようという話になり、私は導入プロジェクトの実務を担当しました。
ですが、薬局の現場からは「新しい電子薬歴の使い方を覚えるために、時間を割かなければならないのか」というような声も上がりました。電子薬歴としてはすでに3代目ですから、それは仕方がなかったのかもしれません。
ーその後、薬剤師の皆さんの反応に、変化はありましたか。
横内さん:
はい。導入プログラムはウェブ上で学べて、『Musubi』のスタッフもZOOMなどで質問にも答えてくれました。まず1店舗で使い始めるとタッチで次々と入力できる。「これは使いやすい」という評判が他の店舗に広がっていきました。
各店舗で導入を進めるうちに、いつしか「うちの店舗にはいつ『Musubi』が導入されるんですか。ぜひ早く切り替えてほしいです」といった声までもあがるようになったのは、導入プロジェクトをすすめていた私がうれしかったことですね。
ー薬局を経営するにあたって、どのような課題を感じてきましたか。
原社長:
薬局経営において、どんな戦略を立て、複数店舗を経営していくか。もちろん、調剤報酬改定をはじめとしたトレンドは、しっかりとキャッチアップしていかなければなりません。ただ、私は昔からいつも大事にしたいことがあります。
今でもよく覚えている出来事なのですが、私が薬局の店舗に立っていたとき、「薬局に行くといつも血圧を聞かれる」と、どこか納得せずつぶやいていた患者さんがおられました。「病院で医師の先生ともやりとりしてきたのに、薬局でもなぜかまた同じことを聞かれる。なぜ聞くのだ」と。
薬剤師が血圧や体重などを患者さんに尋ねるのは、患者さんの何を知りたいからなのか。自分がやっている業務の目的は何か。その答えは「加算の算定要件にあるから」などではなく、地域の患者さんの健康に携わる一人として、患者さんの症状や体調を的確に把握するためですよね。この想いは、薬局経営において大事にしていきたい。
横内さん:
経営を支える立場としては、薬局業界の動きをとらえて、現場へトップダウンで伝えていくことも大切で、もちろん、加算を取ることも大事。ただ社長の昔からの思いもありますし、どのように伝えたらいいのだろうと悩んでいました。
『Musubi』を導入したころはその点を若干決めあぐねていたのですが、薬局が変わっていく中、店舗の薬剤師から「私たちも、こうしてがんばって取り組んでいるので、しっかり勉強して加算を取りたいんです」と打ち明けられました。
ーボトムアップで「変わりたい」という声が上がったのですね。
綾夏さん:
そうですね。
例えば、風邪のような症状で来局するお子さんは多いですよね。「同じような症状の方々に、どのような声をかけていいかわからない」と感じてしまう薬剤師もいます。そんな場面で、指導文や『健康アドバイス』などを参考にして、患者さんへこのように話そうか、というイメージがつかめて、コミュニケーションが生まれてきました。その結果として、乳幼児服薬指導加算が着実に増えていますね。
横内さん:
同じ『Musubi』を導入しているので、他店舗にも活用方法が伝わり、全社で取り組めているのがいい点ですね。
ー『Musubi』導入当初から、業務効率化の「その先」を考えているとのことでした。具体的に取り組みたいと思っていることは何でしたか。
原社長:
患者さんとの関係性強化による脱落防止です。ちょうど、服薬後のフォローアップが「努力義務」から「義務化」となった後でもありました。『Musubi』の分析機能を使うと、薬局の混雑具合も患者さんの来局状況もわかります。空いている時間を使って、来局していない患者さんに電話をかける取り組みを始めました。
とはいえ、「患者さんの来局状況や店舗の混み具合を踏まえ、電話をかける」という業務は、これまでの薬剤師の業務との違いが大きい。そこは私たちもよく理解していて、ハードルはあるだろうと思っていました。
ーそのハードルを、いかに乗り越えたのですか。
原社長:
まずは何よりも「患者さんのためになる」という原点に加え、「研究の一環という思いで取り組んでほしい」という話をしました。
弊社では長年、社員に対して「『科学者の目』で仕事をしてほしい」「クリエイティビティを発揮してほしい」と願っています。例えば学会での発表を望む社員がいれば、その研究活動から発表資料の作成まで幅広くサポートしています。ですから、このような新しい取り組みもしっかりと現場に伝えられたら、きっと大丈夫だと考えました。
ー取り組みが始まった後はいかがでしたか。
綾夏さん:
『Musubi』の分析機能による各種データが、本部だけではなく現場でも把握できるのがいいですね。
元々、各薬局で朝礼をする運用をしてきましたが、忙しかったり上長がいなかったりすると、おろそかになってしまう時もあったようです。今では、朝礼でも薬局内でスタッフ同士でデータを確認し、意見共有する習慣ができてきました。空き時間に「この患者さんは最近来ていないから、混んでいないこの時間帯で電話をかけたらよいかもね」という自然な会話が生まれています。
原社長:
このように、過去にやったことがない業務に挑み、科学者の目で患者さんや薬局がどのように変わるかをデータでつかみ、薬局内でコミュニケーションを取って次の動き方を創造する。今、薬局の現場で起きていることが、弊社が大切にし続けている姿勢そのものなのです。
ー複数店舗でプロジェクトを進めても、取り組み状況に店舗間の温度差が生じることがあります。そんな中、御社では11店舗いずれも『Musubi』や『Pocket Musubi』を活用した患者さんのフォローアップや、調剤報酬改定などを踏まえたアクションを続けている点が特徴的です。全社で取り組む秘訣は何でしょうか。
綾夏さん:
理由はいくつかありますよね。
横内さん:
従来から店舗を超えたテーマ別の委員会があり、そこで意見を出し合い、各店舗にフィードバックしています。研究発表を目指す薬剤師のための委員会や、業務効率化の委員会などです。服薬指導後フォローアップや『Pocket Musubi』で新しい取り組みをする時も、店舗を越えた動きが取りやすい土壌があったと感じています。
原社長:
複数の店舗にまたがって勤務をする「ラウンダー」と呼ばれる薬剤師が、店舗間の創意工夫を環流させているのも背景にありそうです。経営者の立場としては、「薬剤師に『いつもと違う薬局で勤務してください』と言うのは嫌がられるかな」と思ったこともありました。ただ、いざ打診してみると快諾してもらえることも多かったです。
横内さん:
どの店舗でも、『Musubi』をはじめとした薬局業務を支えるプロダクトはできるだけ同じものを導入しようと心がけています。そんな方針もあり、各店舗ごとに働く環境に大きな違いがないから工夫を共有しやすいのかもしれませんね。
原社長:
また、調剤薬局事務の方の力も大きいですね。弊社では近年、調剤薬局事務という呼称を「ヘルスケアアテンダー」に変え、『Pocket Musubi』の機能や登録の説明も、先頭に立って担っています。薬局内のPOP制作業務一つを取っても、患者さんにメッセージをいかに伝えるか、クリエイティビティを発揮している存在で、頼もしい限りです。
綾夏さん:
今後はさらにさまざまなデータが蓄積されていくので、データに基づいて薬局間で創意工夫が共有されるようになりそうですね。
ー最後になりますが、みなさんにとって『Musubi』とはどんな存在でしょうか。
綾夏さん:
シンプルな答えになりますが、患者さんと薬局との懸け橋になっていますね。
横内さん:
患者さんとだけではなく、社内にも変化をもたらしてくれていますね。薬剤師やヘルスケアアテンダーという「個人」を、薬局という「チーム」に成長させてくれました。今後は、薬局というチームが薬局経営を主体的に考える、という次の姿まで見えてきているのではないでしょうか。
原社長:
患者さんとの関係性においても、社員同士でも、『Musubi』が欠かせないコミュニケーションツールになっている、ということでしょうね。これからも薬剤師やヘルスケアアテンダーが科学者の目を磨き、クリエイティビティ―を高め続け、「患者さんのため」を追求できたらいいと思います。(了)
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