Musubi導入事例

高齢化率40.4%の佐渡島=日本の地域医療の未来。Musubiとともに、薬局の未来を切り開く。

株式会社 さど調剤グループ 佐渡薬品薬局 新穂 
光谷さん(薬局事業責任者)、菊池さん(管理薬剤師)
高齢化率40.4%の佐渡島=日本の地域医療の未来。Musubiとともに、薬局の未来を切り開く。|光谷先生と菊池先生
新潟県と佐渡島で6店舗を経営するさど調剤グループの光谷さん。「超高齢化社会を迎えた佐渡の現在は、日本のちょっと先の未来の姿なのかもしれない」という光谷さんは、離島の薬局経営のあり方をMusubiを活用しながら模索しています。紙薬歴から切り替えたことで起こった、患者さんに対してのコミュニケーションの変化と、これからの時代を生き抜く薬局経営へのたしかな手ごたえについて語ってくれました。
高齢化率40.4%の佐渡島=日本の地域医療の未来。Musubiとともに、薬局の未来を切り開く。|さど調剤薬局 新穂
  •  さど調剤グループ 佐渡薬品薬局 新穂
  •  新潟・佐渡ヶ島を中心に6店舗を経営
  •  佐渡薬品薬局 新穂における処方箋枚数 月1000枚程度
  •  佐渡薬品薬局 新穂では、2020年からMusubiを導入

小さな離島の薬局に訪れた、大きなピンチ「薬剤師が足りない」

光谷さん:29歳のときに、父が倒れたことをきっかけに、地元に帰り、父が創業した会社に入社し、薬局の全体的な店舗運営を引き継ぎました。振り返ればピンチの連続でしたね。

まず、薬剤師が不足していました。私が引き継いですぐに、比較的若い30代、40代の薬剤師2名が退職をしたことも重なり、採用が急務になりました。離島においては特に薬剤師の確保がむずかしく、離島という立地柄、すぐに派遣薬剤師の採用もできない状態でした。

一度は見送った、電子薬歴の導入

さど調剤グループは6つの薬局を経営していますが、佐渡薬品薬局だけはいまだ紙薬歴でした。調剤事務のスタッフに「紙薬歴の整理に、1日何分費やしていますか?」と尋ねると、30~60分との回答があり、その長さに驚きました。

さらには、あらゆる業務が属人化しており「それは〇〇さんしかできません」という例が多数。薬歴の記述も担当者によってクオリティにバラつきがある状態。なんとかせねば……と打ち手を模索するなかで、最初に電子薬歴の導入を検討しました。

ですが、電子薬歴は決して安いものではありません。現場のスタッフに相談すると「紙薬歴のままでも困らないし、入れ替えコストが高くてちょっと……」という微妙な反応が返ってきたので、無理して導入する必要もないかと、一度は見送ったんです。

「御社は電子薬歴ですか?」学生の一言がきっかけに。

そんな状況から一変して導入のきっかけをくれたのは、採用活動で出会った薬学生でした。

「わたしは紙薬歴の薬局で実務実習を行ったのですが、現場の薬剤師が記入に時間を取られていて大変そうでした。御社は電子薬歴ですか?」

ハッとしました。もし自分が薬剤師として転職するときに、紙薬歴の薬局で働きたいかなと思うと、答えはNOだなと。

離島の薬局は患者さんとの距離がとても近く、患者さんとお話する時間がたくさんあります。それはつまり、薬歴記入などに使える時間が短いということ。田舎の薬局だからこそ、患者さんと向き合う時間をつくるためにも電子薬歴による業務効率化は必要だと思い至り、紙薬歴からの卒業を決心しました。

高齢化率40.4%の離島「薬局は変わらないといけない」

紙薬歴からの卒業は決めたものの、ただ電子薬歴に置き換えるだけでよいのかと悩みました。

これまでの時代なら、門前に薬局をつくり、薬局に足を運んでくれる患者さんに薬を渡し、経営者が卸との値引き交渉をがんばって、最低限の薬剤師を確保していれば、経営は成り立ったんだと思います。でも、40.4%(※)という超高齢化を迎えるこの島で生き残る薬局になるためには、薬局が、薬剤師が価値を示していく必要があると考えていました。
せっかく投資をするならただの電子薬歴ではなく、生き残る薬局づくりのための一手となるツールがほしい……そう思い至ったのです。

『Musubi』の存在は、雑誌や広告などで見かけており、なんとなく知っていました。まずは話を聞いてみようと思い、ホームページにある問い合わせフォームからデモ※ を依頼しました。

※日本医師会「JMAP地域医療情報システム」を参照。データは2015年のもの(2021年5月27日、Musubi編集部アクセス)

デモを受けて感じた、Musubiのいいところ

Musubiのデモを受けて、おもに3つ「いいな」と思うポイントがありました。

(1)指導文をタッチするだけのかんたん操作で、指導内容が薬歴に漏れなく記入できる
(2)紙薬歴からMusubiに切り替えた事例もたくさんあること
(3)個別指導にも耐えうる充実した薬歴が書けそうだったこと

また、すでにMusubiを導入していたメタルファーマシーの川野さんから「Musubiは経験の少ない薬剤師にも使いやすいよ」と背中を押していただいたことも大きかったです。

メタルファーマシー 川野さんのコメントより

 「私は、紙薬歴の店舗にMusubiを導入するとき、現場から反対されました。導入後、回線トラブルがあり、『やっぱり電子薬歴は…』といった声も上がったことも。でも、経験が少ない薬剤師にとっては、Musubiを使うことで、どんなことを患者さんに伝えればよいかが自然とわかる仕組みになっており、安心して仕事してもらえる結果になりました」

 

(2021年1月実施 光谷さんがMusubiセミナーにご登壇された際のコメントよりMusubi編集部が編集し、記載しています)

耳の遠い患者さんが、饒舌になった

高齢化率40.4%の佐渡島=日本の地域医療の未来。Musubiとともに、薬局の未来を切り開く。|Musubiをつかってアドバイスをする光谷先生
菊池さん(管理薬剤師)
Musubiをつかった患者さんとのコミュニケーションは、佐渡のような高齢患者さんが多い地域では特に役立ちます。島の薬局の特徴として、患者さんとの距離が近く、基本的には「聴くとなんでも教えてくれる」のですが、なかには耳が遠くて,筆談が必要な方もいらっしゃいます。先日、耳が遠くて声をかけても反応が少ない患者さんにMusubiを使って生活アドバイスを行いました。すると、イラスト付きのページ(健康アドバイス)に興味をお持ちになったようで、ご自身のことをたくさん話してくださったんです。

これまで文字や声だけの説明で伝わらなかったことが、イラストだと伝わる、会話が生まれる。これは紙薬歴ではできなかったことですし、さまざまな症状を抱えた高齢者の多い佐渡には、必要なコミュニケーション手段だったと思います。

これからの薬局経営はアフターフォローが大事だと考えています。信頼してもらえるようなコミュニケーションを重ねていくことで、離島の薬局だからこそ「あの薬剤師さん、あの薬局に任せたい」と思ってもらえるような存在を目指したいです。

誰もが質の高い薬歴が書けるし、入力も楽になった

菊池さん(管理薬剤師):
導入されると聞いたときは、最初は『Musubi、ちょっといいこと言い過ぎじゃない?』って思ったんです。電子薬歴に切り替えること自体への不安はありませんでしたが、薬歴記入が単調になるのでは?と。

光谷さん:
薬剤師は「疑う」ことが仕事、ですもんね。

菊池さん(管理薬剤師):
でも実際使ってみると、たしかにタッチ入力はしやすいし、誰もが質の高い薬歴が書ける。在宅報告書や疑義照会の入力もしやすいし、情報量が多くないからか、目も疲れないですね。

あたらしいスタッフも、30分でMusubiを使いこなせた

光谷さん:
最近、一度佐渡を離れた薬剤師が島の薬局に戻ってきたり、離島に移住して薬局で働いてくれるスタッフも増えてきているのですが、どのスタッフも、すぐにMusubiを使いこなしてくれます。

菊池さん(管理薬剤師):
特に30代の若いスタッフに至っては、30分ほど使い方をレクチャーしただけで、さっそく使いこなしてくれて、驚きました。

新機能が増え、使いやすくなってきた

菊池さん(管理薬剤師):
業務で使うなかで、『もっとこんな機能があればいいな』と思うこともありますが、定期的に機能が増えるのもよいですね。最近追加された、画像機能はよかったですね。端末で写真をとって、患者さんの薬歴に保存ができる。画像で記録しておきたい場面は少なくないので、有効活用できそうです。これからもどんどん使いやすくなっていくことに期待しています。

「薬剤師が高齢化社会を支える未来」をめざして

光谷さん:
Musubi導入後から、徐々にではありますが、ヒト・モノ・カネ・情報が集まり、環境や仕組みが整ってきました。具体的には、トレーシングレポートや在宅訪問、面処方箋応需の回数が増えました。また、業務効率化で生まれた「時間」によって、医師との訪問診療同行や多職種連携、服薬期間中フォローに費やす時間が増えてきました。まだまだ道半ばではありますが、薬剤師が超高齢化社会を支える未来のカタチが見えてきたような、そんな手ごたえを感じています。

佐渡はたしかに特殊な環境です。離島であり、超高齢化社会であり、医師や看護師はつねに不足しています。だからこそ他の地域より薬剤師が活躍しなければいけない環境であり、逆にいえば、薬剤師の活躍のチャンスにあふれた場所です。

薬局経営においては、たしかに薬価差益が大事な要素です。ただ、それだけを追っていては、これからの地域の薬局は成り立たないと感じています。本当の意味で薬剤師の力が試される、チャンスの時代だと思います。だからこそ、薬局・薬剤師の存在価値を高めていきたい。

日本社会も超高齢化を迎えるなかで、ひょっとしたら佐渡は日本の地方の未来を、ちょっとだけ先取りしているのかもしれません。だからこそ、理想と現実のギャップを埋めるために、薬局業務のIT化・効率化によって、薬剤師の気力・体力・時間を生み出すことで、薬局と薬剤師が価値を発揮できるように努めたいですね。そして、その挑戦の様子を発信しつづけながら、離島で地域医療を支える薬局」の頑張る姿が他の薬局・薬剤師さんの励みとなり、薬局業界が盛り上がる一翼を担えればうれしいです。(了)



ここまでお読みいただきありがとうございました。『Musubi』の機能やメリットについて、くわしく資料にまとめました。ぜひご覧くださいませ。
更新日:2021/4/28

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