川野義光さん(代表/以下、川野):
縁あって、新千里薬局とご一緒することになったのが1年前。メタルファーマシーでは「地域の顔になる」を合言葉に、地域の方々から医療・介護従事者まで、困ったときに一番に顔を思い浮かべていただける存在を目指しています。この新千里薬局は、この地に根ざして約50年。周囲を囲む集合住宅にお住まいの皆さまを中心に、幅広い世代の患者さんにとって、文字通り“なくてはならない薬局”。私たちの目指す薬局像と重なったこともあり、「ぜひ一緒に」とお声がけしたのがきっかけです。
但田勝さん(以下、但田):
ここは、もともと私の父が開局した薬局なんです。父と私と2代にわたってこの地に根ざし、いらっしゃるのはほとんどの方が顔なじみの患者さん。私を「お兄ちゃん」と呼んで慕ってくれていた子が、今では自分の子どもを連れてきてくれるようになったりと、この街の皆さまとともに歩んできた薬局だと自負しています。うちのような薬局の良さをよく理解している社長との出会いは、まさにご縁。彼になら安心して任せられると思い、ご一緒することを決めました。
現在の処方箋枚数は1日60枚ほど。小児科、内科をはじめ最近は施設在宅にも積極的に取り組んでいます。
川野:
新体制をスタートするにあたって、これまでの紙薬歴から電子薬歴に切り替えようというのは、当初より決めていたことでした。というのも、これからの薬剤師はもっと薬局の外を向いて仕事をしていかなくてはいけない。これまでのように外来でいらっしゃる患者さんだけでなく、在宅の患者さんはもちろん、ドクターをはじめ病院の方々や介護職の方々など、地域の介護・医療に携わるあらゆる方々と積極的に接点をもち、自分たちの動きで一つずつ信頼を勝ち取っていかなくてはならないんです。そのためには、薬局の中の仕事の効率化、特に外来処方や薬歴業務の非効率な部分を改善し、薬剤師が外に出る余裕をつくる必要があると考えていました。もちろん、以前からいらっしゃる方々には新しいやり方になれていただく負担をかけてしまうなという思いはありましたが……。
但田:
そうですね。最初に「電子薬歴」と言われたときには、抵抗感がなかったわけではなかったかな。長年、紙の薬歴でやってきて、勝手知ったるものでしたから。とはいえ、まあそういう時代だなという思いもありましたし、実際にMusubiのデモを見せてもらって「これならば」という気持ちもありました。
川野:
それはよかった。多種多様な電子薬歴のなかでMusubiを選んだのは、紙からのスムーズな移行が明確にイメージできたから。画面が見やすく、操作も画面タッチが中心で、デジタルに慣れていなくても自然に使うことのできるシステムだと感じたんです。
但田:
効率が上がった実感は確かにありますね。紙で管理していたときは薬歴が溜まってしまって、お店を閉めた後に数時間かけて仕上げることも多くありました。また、書いた薬歴を他のスタッフにチェックしてもらう必要もなくなり、薬歴にかける人員も時間も減りましたね。
導入して数ヶ月になりますが、操作に迷うことはもうほとんどありません。「もっとこうなったら」と思う部分がないわけではないですが、今も新しい機能が頻繁に追加されているので、これからまた徐々に使いやすくなっていくんだろうなと思います。
Musubiの画面をお見せしながらの服薬指導も、以前からの患者さんにご好評いただいています。「新しいやり方で、良くなった」と、喜んでもらえることも多いです。
岡田雄介さん(以下、岡田):
確かに、口頭での説明だけでなく画面を通じて視覚に訴えることは、想像以上に効果的。耳が不自由な方への服薬指導の際にも有効でした。ご説明したいことはMusubiの画面に表示されるので、スムーズな服薬指導ができていると思います。
薬歴に関しては、端的に仕上がり、誰がみても分かりやすく次回の投薬に活かせる薬歴になっていると感じます。インターフェースが、薬歴を過度に長い文章で書くことが自ずとなくなるようデザインされているのが良いですね。SOAPの色分けがされていたり、文字サイズが見やすかったりと、“書くこと” 以上に “活用すること” を目的にした薬歴システムだと思います。
おかげで薬歴での引き継ぎがスムーズになりましたし、他の先生の良い書き方に気づく機会も増えました。お互いの良いところを真似しあうことで、薬剤師同士のスキルアップにもなっています。薬歴のあり方として、より本質的で、新しい形を開拓している感じがしますね。
川野:
岡田にはサポート役として新体制当初より赴任してもらっていますが、岡田自身は普段もうほとんど薬局の外で仕事をするようになっていますね。
岡田:
Musubiが患者さんごとに適切な指導内容を提示してくれるので、パートの薬剤師が不安なく投薬台に立てるようになっています。おかげで私が薬局内に常駐する必要がなくなり、そのぶん周辺地域のケアマネージャーさんとの打ち合わせなどに時間を使うことができているんです。外来は但田、それ以外を私が担当するというように、うまく役割分担できるようになりました。
川野:
薬剤師の専門性がより一層問われる時代になるなかで、街の調剤薬局のあり方もどんどん変わっていくでしょう。受け身ではなく、薬局自ら動くことがますます重要になっていくのは間違いないと思っています。そんな中で、岡田の動き方はまさに私が求めているものでもあります。これからも、地域に根ざし愛されてきた新千里薬局の良さはそのままに、薬局の外に向かって価値を届けるような活動にも力を入れていきたいですね。
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