株式会社カケハシ(本社:東京都港区、代表取締役社長:中尾 豊、代表取締役CEO: 中川 貴史、以下、当社)が手がけた、薬局における服薬指導の品質評価に関する研究が、一般社団法人日本くすりと糖尿病学会の学会誌「くすりと糖尿病(JAPANESE JOURNAL OF PHARMACEUTICAL AND DIABETES)」に原著論文として掲載されました。本研究は千葉科学大学(千葉県銚子市、学長:東 祥三)薬学部との共同研究として、カケハシが展開するクラウド型電子薬歴「Musubi」(以下、Musubi)を通じて解析した、全国約22万人の糖尿病患者への服薬指導情報をもとに、薬局における服薬指導の評価指標と、その算出プロセスを発表。電子薬歴を医療の質評価に活用した国内初の事例となります。
●背景と概要
2015年に厚生労働省「患者のための薬局ビジョン」にて提唱された薬局における対物から対人への業務シフトは、2019年の薬機法改正などを背景にさらに加速しています。2020年には厚労省を中心に「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」が発足し、これからの時代の薬剤師のあり方について議論が進んでいます。
こうした状況を踏まえ、当社では薬局における対人業務の品質を評価するための定量指標の必要性を認識し、「クオリティ・インディケーター(以下、QI)」に着目しました。QIとは、特定の医療行為について、一定のガイドラインに沿って施された処置の割合をスコア化した指標です。医療を提供する施設や個人ごとなどにおいて診療実態を明示できます。
日本でのQIの活用は2000年代より病院を中心に実施されており、現在では多数の病院が診断群分類データなどを用いて効率的にQIを算出し、その数値を広く一般に公開しています。一方、店舗ごとの多岐に渡る服薬指導情報の抽出とその活用が困難な薬局において、QIの開発は進んでいませんでした。
そこで当社は、クラウド上から服薬指導情報を匿名化して抽出できるMusubiを活用して、QIを算出するプロセスを開発・検討する研究を実施。原著論文として『くすりと糖尿病(JAPANESE JOURNAL OF PHARMACEUTICAL AND DIABETES) Vol. 13 No. 1 』(発行日:2024年6月20日)に掲載されました。
●成果と今後の展望
全国3,345店舗の薬局におけるのべ223,567人の糖尿病患者への服薬指導情報を用いて、血糖降下薬の服薬指導におけるQIの算出プロセスを検討し評価しました。具体的には、MusubiからQIを算出するためのロジックを確立し、糖尿病患者への服薬指導状況を客観的に評価しました。この結果により、Musubiの活用によって、臨床現場の作業負荷を最大限抑えながら最適な情報抽出をし、服薬指導の質評価に関する定量指標を算出できることがわかりました。
当社は、引き続き医療体験の向上に寄与するような研究活動を積極的に実施していく所存です。
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