Musubi導入事例

『Musubi』活用が可視化した、患者さんとのつながり/職員の成長/会社の変化

有限会社福元薬局(福元薬局・たいよう薬局グループ)
沼田真由美さん、石塚奈穂さん、福島知美さん

『Musubi』の導入で感じる最大の変化は、「数値を見る習慣の醸成」であり、「スタッフの連帯感の高まり」である――。そう話すのは、鹿児島県の福元薬局・たいよう薬局グループの皆さんです。2022年の導入から現在に至るまで、どのように変化を起こしたのか、経営者、管理薬剤師、薬剤師の3人にお話を伺いました。
  • 1972年、漢方卸および一般医薬品の小売業として創業
  • 2001年の法人化を経て2008年から店舗数を増やし、現在は鹿児島市と姶良市で保険薬局計7店舗を経営
  • 店名は、漢方の煎じ薬も扱う2店舗を「福元薬局」、それ以外をたいよう薬局としている
  •  従業員は約40人。今回インタビューした沼田社長は法人の代表取締役兼薬剤師、石塚さんは「たいよう薬局中山」の管理薬剤師、福島さんは福元薬局本店の薬剤師

経営者の悩み:「地域のため」を、踏み込んだ方針として伝えたい

沼田社長(写真):
私たちの薬局は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する」「地域のための薬局であり続ける」「常に自己の能力の向上と相互の研鑽に努める」の三つを経営理念として掲げています。中でも「地域のための薬局」は、経営者一人の努力では決して実現し得ません。


 一方、「地域のため」という表現は少し抽象的でもありました。経営者としてもう一歩踏み込んだ方向性を伝えられないか、と長年考えてきました。そんな中、2019年の薬機法改正で決まった地域連携薬局の認定制度の新設や服薬期間中フォローの義務化など、薬局に求められる役割が次々と変化していました。

この変化をチャンスとしなければならない。そう思い、地域連携薬局の認定を目指すことがひいては「地域のため」になること、私自身は経営者として新たな薬局の役割に向けてみんなでシフトチェンジできる環境を整える、と社員に向けて宣言しました。2022年初頭の『Musubi』導入決断は、その環境整備の一環でした。

経営者としてしたことは、たった二つだけ

沼田社長:
私が経営者として行ったことは、先ほど述べた、「目指す方向を示すこと」と「環境整備」。裏を返せばその二つしかしておらず、具体的に取り組んだのは各店舗なのです。

 弊社がどのように変わったか、なぜ変化できたか、という点に詳しいのは現場の皆さん。特に、服薬期間中フォロー推進をプロジェクトリーダーとして引っ張った石塚さん、データを共有しながら全社を盛り上げた福島さんの二人にお話しいただきたいです。

目標達成を支える「数値が一目でわかる環境」

石塚さん(写真):
 現在、私が勤務する「たいよう薬局中山」は7店舗の中で最もスタッフが多い店舗です。処方箋応需枚数は1日70~90枚ほどで、『Musubi』の服薬期間中フォロー機能の活用を先行してスタートさせた店舗のひとつです。

効率的で効果的な服薬期間中フォローのためには、まず患者さん・薬局双方にとって負担なくつながり、コミュニケーションが取れる体制づくりが必須です。その手段の一つとして『Musubi』の各種機能をフル活用するためには、まずは多くの患者さんと薬局がLINEのお友だちとしてつながっていただく必要があります。

私は先行導入店舗で、事務スタッフと薬剤師の業務フローを意識した患者さんへのお声掛け方法を構築したり、全社プロジェクトのワークショップ(勉強会)でのファシリテーター(進行や議論を引き出す役割)を務めたりしました。

福島さん(写真):
私は「福元薬局 本店」の薬剤師です。全7店舗のうち、本店ともう1店舗では漢方の煎じ薬をそろえており、刻みが出るのが特徴です。また最近では、在宅訪問にも力を入れています。


石塚さん:
ここ数年、薬剤師がやらなければならないことが次々と増えています。『Musubi』の導入はその変化で生き残るため、という話を沼田社長が全社会議で話していたのを覚えています。

福島さん:
環境整備は全店舗で進めていくこと、全店舗が参加するプロジェクトとして石塚先生がリーダーとなり、先行導入店舗の知識を後で導入していく店舗に伝えていく機会を設けることは決まっていました。ただし、具体的にどのような目標を据えるのか、そしていかに取り組むかは「各店舗ごとに自主的に話し合って考える」というスタイルでしたね。

石塚さん:
そうですね。まずは「みんなでやっていこう」という雰囲気が大切だと思い、最初のワークショップの時、各店舗ごとに目指すLINEのお友だち登録件数を宣言し合いました。その目標を達成するには「いまどれくらい活動をしているか」「目標までどのくらいか」を日々確認できるかどうかが重要でした。

『Musubi』の分析機能があれば、目標とするさまざまな数値が現場でも一目で簡単にわかります。この数字を基に、月の目標数を日ごとに割って、事務スタッフと薬剤師で、患者さんに合わせた対応をしていきました。

この際、単純に「薬局がLINEを始めた」ということを伝えるだけではありません。患者さんに関心を持っていただく流れも大切にしています。他科処方がある人には処方箋送信機能という便利な機能があるとお伝えする、お薬手帳をお忘れになった場合、デジタルで管理できるアプリ「おくすり連絡帳」をご紹介する、といった形です。


福島さん:
地域連携薬局の認定要件である他医療機関への情報提供の回数も、『Musubi』の分析機能で、トレーシングレポートの件数が自動で算出されます。数字でつかめるから、薬局のみんながやる気になり、「いかに工夫すれば目標が達成できるか」と、自然と話せるようになるのです。

 

服薬期間中フォローに寄せられる、患者さんからの喜びの声

石塚さん:
『Musubi』の服薬期間中フォロー機能を使うと、やりとり内容が患者さんの薬歴に自動的に転記されます。来局時はあまりお話しされない患者さんが生活背景について寄せてくださったメッセージが『Musubi』の薬歴画面で目に入ると「文章であればこんなにいろいろお聞かせいただけるのか」と驚くことも。服薬中だからこそ感じる不安や疑問があるのだと改めて気付けますし、薬局を頼ってくれるのが感じられて嬉しいです。

ただ、服薬指導の口頭によるコミュニケーションとは異なり、最初は「患者さんとテキストメッセージでどのようなやりとりが良いか」悩んでしまう場面もありました。そんな時は、福島先生が構築した、過去の返答事例を社内で共有するデータベースを活用しています。多くの薬剤師から「ためになる」「勉強になる」という声が次々と上がり、今では200件を超える回答事例がどの薬局からも瞬時にアクセスできる状態になっていますが、福島先生、どのようなきっかけでデータベース化しようと思ったのですか。


福島さん:
「患者さんにメッセージを送る検討時、みんなの参考になるかな」という、ふとした思い付きでした。まずは自店舗の薬剤師に返答内容を共有し始めたのですが、「全店舗で服薬期間中フォローに力を入れているのだから、個人情報を除いた回答を作ってデータベース化しよう」と動き始めました。

石塚さん:
例えば、服薬期間中に薬局から送った質問に対し「食欲がない」と回答があったものの、タイミングから副作用は否定されたケースがありました。「お薬に影響がないならそれで良い」ではなく、「何かお伝えできるアドバイスはないだろうか」と考え、データベースを参考にして、お薬に影響がない食材の選び方や調理方法の工夫などをメッセージで送りました。すると、患者さんが喜んで「参考にします」とおっしゃってくださいました。

このように、『Musubi』の導入後、患者さんとのコミュニケーションが変わり、薬剤師として今まで経験したことがなかったエピソードがいくつも生まれています。

フォローの期間中、入院したことや経過をメッセージで教えてくださった患者さんについては、かかりつけ医へトレーシングレポートで情報共有をしました。「今度はこの日に受診予定です」と教えていただくケースも増えて、巡り巡って在庫管理の適正化にもつながっています。

『Musubi』のイラスト付き「健康アドバイス」も、季節や患者さんの処方に応じた内容が選べるので便利です。冬であればヒートショックへの注意を呼び掛けたり、貧血予防対策となる食品がイラストで描かれているので、画面を示しながらお話したりします。患者さんも「なるほど」という表情で関心を持ってくださります。

『Musubi』が生んだ「スタッフの連帯感」「数字を見る習慣」「フォローの意義実感」

沼田社長:
『Musubi』導入を決意してからの約2年を改めて振り返ると、この間に3店舗が地域連携薬局の認定を受け、申請を間近に控えている店舗もあります。プロジェクト開始後の半年で、全店舗を合わせたLINEの友だち登録数は4倍以上に伸びました。ただ、具体的な成果だけではなく、会社にとって大小さまざまな変化が起きていることこそが、これからの経営において大きな意義があります。

その意義がくみ取れるのが、プロジェクトリーダーの石塚さんが実施したアンケートです。

石塚さんは毎月のLINEのお友だち登録件数を確認する他、職員へのアンケートも実施しました。ワークショップ後に社員へ取り組みを通じて感じたことについて尋ねると「スタッフの連帯感」が約65%、「数字を見る習慣」「フォローの意義実感」が約57%を占め、業務負荷や一部の業務が滞ったという声は約27%でした(複数回答)。

石塚さんは、「自発的に目標を宣言したことが、推進に好影響を与えた」と分析しています。

登録患者さんの分布も調べております。0歳から90代まで幅広く、最も多いのは60代(2023年8月現在)。年齢を問わず、地域の方々とつながっていることが実感できますし、来局患者さんの半分ほどがスマートフォンアプリの「おくすり連絡帳」を活用している薬局もあります。「地域から必要とされる薬局であるため、あり続けるために、患者さんとの関係性をしっかり作っていく」ためのデジタルのつながりは、今後の薬局運営において、必ず欠かせない土台になります。

この結果を踏まえると、『Musubi』導入を一つのきっかけとして、社内に幅広く本質的な変化が起きていると言えるでしょう。

少し違う角度から申しますと、一般的に経営者が「スタッフの連帯感」や「数字を見る習慣」を醸成したいと考えた場合、組織コンサルタントの支援を検討したり、企業向け研修プログラムを探したりするのではないでしょうか。『Musubi』という薬局向けシステム導入が、会社にとって第三者からの刺激になったのは「ひょうたんから駒が出た」が本心ですが、だからこそチャンスに変えたいのです。

創業から50年を過ぎた今、かけがえのないスタッフの連帯感や向上心を自社の強みとして、「地域のための薬局であり続ける」ために改めて取り組んでいきたいです。(了)


ここまでお読みいただきありがとうございました。
『Musubi』の機能やメリットについて、くわしく資料にまとめました。ぜひご覧くださいませ。
更新日:2024/2/22

最新の事例ストーリーを読む

イベント・セミナー情報

Musubiのことがよくわかる資料

資料1
資料2
資料3
資料4