Musubi導入事例

「経営者が『対人シフト』で目指すのは、患者さん・職員双方のエンゲージメント向上」Musubi×職員評価に込めた思い

群馬県 株式会社折り鶴
代表取締役社長 井上拓民さん
折り鶴様KV
ドミナント戦略で前橋市内に6店舗を展開する株式会社折り鶴は、2022年に『Musubi』を導入後、分析機能で「見える化」された各種データを評価指標として活用したり、服薬期間中フォローのさらなる充実に生かしたりしています。一方、社長の井上拓民さんは「データは活用するつもりになれば、活用範囲が広い。しかし、とても危険なものでもある」と力を込めます。

老舗企業は、どのような経営戦略に基づき、『Musubi』導入を決断したのでしょうか。そして、今後のビジョンをどのように描いた上で、『Musubi』の各種機能を活用しているのでしょうか。そして、薬局経営においてデータを活用する上での心得とは。井上さんにじっくりと伺いました。
  • 1919年創業。前橋市内のみで6店舗を運営する
  • 月間処方箋枚数3,000枚超の店舗からOTC販売に注力する店舗まで、店舗ごとに異なる特徴がある
  • 自家製剤の製造・販売をしてきた歴史を踏まえ、「繭石鹸」などオリジナル製品の企画・販売にも取り組む

事業の三本柱は、調剤・在宅・セルフメディケーション

ーまず、1919年創業の御社の特徴や、現在の経営計画で注力している点をお聞かせください。

井上さん:
「みんなをもっとゲンキにする」の企業理念のもと、群馬の100年企業として、時代に合わせて薬局のカタチを変えてきました。現在は調剤、在宅、セルフメディケーションを事業の3本柱とし、地域の健康のため尽力しています。

ー事業の三本柱として調剤、在宅、セルフメディケーションを据えた背景とは何でしょうか。

企業理念に照らして、昨今、国が進めている対人業務に注力する大きな流れの中、わたしたちの薬局がすべきことは何かを改めて考え、設定しました。

三つの事業に共通しているのは、働く一人ひとりの知識、コミュニケーション力に基づくアウトプット、得られるエビデンス三つを対人業務に即したものへと変化させていくことが何よりも必要だという点です。

ー変化のために必要なこととは何でしょうか。

まずは経営者として目指すゴールを職員に向けた宣言が必要です。次にそのゴールを目指す準備として、例えば、機械化の推進、事務スタッフの業務分野見直しといった組織再編、職員一人ひとりの成長を、多角的・立体的に評価・分析できる仕組みの構築といった、現状からの「リノベーション」を行います。

ゴールを明確にし、そのための仕組みを作り余裕を生み出すことで、ようやく新しい業務への気力・体力が作り出せると考えています。このように職員という人「財」を大切に、熱量を保てるよう進めていかなければ、どんなに対人業務の充実を掲げても「絵にかいた餅」になってしまう、とさえ思っています。

ー『Musubi』導入のきっかけを教えてください。

薬歴を切り替えようと考え、複数社と商談している中でカケハシと『Musubi』に出会いました。会話してみると、単純な薬歴システムのことではなく、薬局経営の課題を深掘りが話題の中心でした。「キャッチボールを大切にしている会社だな」と感じ、その将来性に魅力を感じて導入を決めました。

井上さん

薬歴活用率、顧客化コミュニケーション......『Musubi』の各種機能によって生まれた評価指標

ー職員評価において、具体的に『Musubi』の各種機能をどのように活用していますか。

井上さん:
『Musubi』で可視化される薬局運営にまつわるデータなどを店舗のKPIとします。一人ひとりがそこから目標を設定し、それに向かって日々の業務にあたり、自己評価を行う、というサイクルを半年に1回ごとに回しています。

『Musubi』の分析機能を活用している部分としては、薬剤師は薬歴活用率やトレーシングレポートの件数など、事務スタッフは、弊社で「顧客化コミュニケーション」と呼んでいる取り組みのアクション数などを指標としています。

その他、事業の三本柱において重要となるOTC販売額なども、KPIのひとつに据えています。

公正・公平で納得感のある指標設定の難しさ

ー『Musubi』導入前、人事考課においてどのような悩みがありましたか。

井上さん:
チームや店舗などの評価ができても、個々人の取り組みを数値化する、もしくは納得感のある指標を設定することはなかなか難しいです。

例えば、人材評価の指標のひとつとして取り入れている研修参加状況。種々の勉強会への参加、かかりつけ薬剤師取得支援、イーラーニング活用など、一人ひとりに教育の機会を提供し、不足しているコミュニケーションに関するコンテンツは、外部のコンサルタントの力も借りて補っています。

ただ、学んだことをどう生かせているかがすぐに見えない部分もありますから、簡単ではありません。薬局業界特有の事情まで踏まえ、公正・公平で、薬局で働く一人ひとりにとって納得感のある評価体系を構築するため、試行錯誤を繰り返しています

ー「数字で判断すればそれでいい」とは言い切れないのですね。

そうですね。一例を上げるなら、処方箋対応枚数でしょうか。比較的容易に、一人ひとりの業務の結果を数字で把握できます。しかし、とにかく早く数多く対応すればいい訳ではないのは、もはや明らかです。患者さんへの丁寧な対応によって地域で選ばれる薬局の地位を築いてきた店舗、その自負を持って業務に当たる薬剤師たちが、もしその点のみで判断されたら、納得しないでしょう。数字だけを追いかけると、せっかく築いてきた諸々が心無いものに変わりかねないことは明らかです。

ですから、トレーシングレポートなどのアウトプットを検証し「より質の高い患者フォローができているか」など、定性的な評価を大切にしてきました。『Musubi』導入前から社内の勉強会を立ち上げて取り組んでいましたが、全体の件数が増えてこそ事例が増え、検証が充実するという思いがあったので、アウトプットの数を増やしていく重要性も感じていました。

ー数値化できる要素(定量)とできない要素(定性)は、双方が影響し合うということでしょうか。

その通りです。

ですから、『Musubi』の導入時は
・薬剤師が薬歴記載の時、どの項目にどのくらいの時間をかけているか
・指導文をどのくらいの頻度で活用しているか(患者さんに丁寧な説明ができているか)
・トレーシングレポートを何枚作成しているか(医療機関との連携に取り組めているか)
という数値化できる部分、そして
・指導文や健康アドバイスなどを活用し、患者さんとのコミュニケーションを充実させる
・どの職場でも『Musubi』を活用することで、より質の高い対人業務を検証できる
という定性面のレベルアップへの期待をして、目標設定や評価制度における『Musubi』の活用を決めました。

データを基に議論して伸ばす、薬剤師の問題解決力

ー評価体系の行動KPIとして『Musubi』の分析機能でわかる数値などを活用し始めてみて、いかがですか。

井上さん:
ず、本部が担っていたデータ分析や薬局への展開が必要なくなり、薬局長が集まる毎月の会議(薬局長会議)でもデータの紹介からではなく、同じ目線で議論を始められます。『Musubi』の分析機能で得られるデータを基に議論することは、アナライズ(分析することや解析すること)が得意な薬剤師の問題解決力を高められます

そして、薬局長をはじめとしたマネジメントの立場にいる薬剤師たちが、一人ひとりの薬剤師や事務スタッフの強みと弱みを理解した上で、成長に向けたコミュニケーションを取りやすくなり、結果として納得感を得られやすくなったという声を聞きます。

例えば、地域支援体制加算2の算定を目指している薬局では、若手から「『減薬に取り組めるのではないか』という声が上がり、ではどのように取り組むか、そのために患者さんとどのようなコミュニケーションが必要か......という双方向の会話が生まれています。つまり、問題点を抽出し、具体の議論をする、という行動が、自然とできるようになっています。

地域支援体制加算の要件を満たす実績を重ねていくことは対人業務の推進とニアリーイコールだと考え、現在は新たな評価指標として、在宅訪問の報告書の作成件数によって加点評価をすると同時に、地域支援体制加算の算定要件の達成状況をチーム評価としてKPIを設定しています。在宅訪問サービスは、薬剤師が訪問している時間に外来を担う薬剤師や調剤補助などでで活躍する事務スタッフとのチームワークでようやく成り立つものです。ですから、経営者はチームワークをより高められるようなKPI設定の配慮が必要です。『Musubi』の分析機能があれば、地域支援体制加算の取得に必要な要件や件数が一瞬でわかるので、会社全体で活用しています

新たな評価指標の設定は経営者にとっては「挑戦」ですから、公正・公平な指標であるかという点にも注意を払っています。評価制度とは、職員が同じベクトルを向いて日々の業務に邁進できるための仕組みです。そのために、薬局の周辺環境や個々の事情に応じて係数を掛けて調整したり、指標そのものを修正したりすることもあります。

また、薬局長は事務スタッフと共に、患者さんの再来につなげる「顧客化コミュニケーション」として、『Musubi』の分析機能で特定の期間に来局する可能性が高いにもかかわらず来局していない患者さんを抽出しお電話することに取り組んでいます。何件架電できたかという定量面だけではなく、定性的な「継続した薬物治療の重要性をいかに伝えられているか」という点も重視しています。

ー架電に対するハードルはありましたか。

最初は薬局長会議で「患者さんから苦情が来るかもしれない」という心配の声を上げる人もいました。ただ、他の薬局から「そんなことないですよ。お電話してみると、事務スタッフから『患者さんが、心配してこのようなお電話をくださる薬局さんはなかったと喜んでいた』『患者さんからありがとう、と言っていただけた』という声が上がっていますから」という心強い事例が共有されるのです。このような後押しで、どの店舗でも取り組みが広がっています。

その他、薬局のデータには、マーケティングなどさまざまな活用の可能性があると感じています。

例えば、三本柱の一つである在宅業務へ注力するために地域連携室を立ち上げ、各薬局の営業活動などをフォローしています。在宅診療に取り組む医師と地域でつながりを持ちたいと思った際、実は既存の患者さんが外来の処方箋を持って来てくださっている、というケースがあります。『Musubi』の分析機能で、現在どの医療機関からの処方箋を応需しているかがわかりますので、医療機関とのコミュニケーションも容易になります。
 

服薬期間中フォローに求められるのは、「質の高い仕組化」

ー地域の健康のため、処方箋応需にとどまらない薬局運営に取り組んでおられますね。

井上さん:
はい。保険薬局の制度が始まるずっと前、わたしたちの薬局が担っていたのは、今で言う「セルフメディケーション」にあたることです。この地域の健康に100年以上関わる中、患者さんやお客さんの健康につながるサービスやコミュニケーションを、時代に合わせて変化させ、今に至ります。

その一環で、患者さんとつながるために携帯電話にショートメッセージを送るシステムを導入し、取り組み始めました。当初は患者さんからの返事もあり、「これはよかった」と思ったのです。しかし、患者さんとのやり取りに取り組む薬剤師とそうでない薬剤師の差が出てきてしまったり、患者さんからのお返事がだんだん少なくなってきたりしました。

ちょうど2020年9月から服薬期間中フォローが義務化され、全国でもいろいろな事例が蓄積され始める中、「服薬期間中フォローにおいて重要なのは、質と、抜けや漏れがなく実行できる仕組みではないか」という気付きを得ました。

ですから『Musubi』の導入を検討した際は、LINEでつながった患者さんに自動で質問を送れる『Pocket Musubi』の機能と連携できる点も決め手となりました。

ー導入してみて、いかがでしたか。

処方薬に応じて質問文が自動で送信されるので、薬局による対応のムラは明らかに減りましたね。患者さんにとってLINEは返信もしやすいようで、薬剤師から「継続して返信いただく患者さんと、コミュニケーションが取りやすくなった」という声も上がっています。経営者として、ツールの導入で仕組化を後押しできたのは良い判断だったと思っています。

服薬期間中フォローの体制を整えることで、お薬を渡す時だけではなく、服薬期間中の状況もエビデンスとして収集できるようになります。それらのエビデンスと知識をいかに掛け合わせて、患者さんや医師をはじめとした他職種とコミュニケーションが取れるかが、今後ますます問われていくでしょう。

豊富なデータだけあるのは「諸刃の剣」。経営者に求められることとは

ー改めて今後の薬局経営で目指したいことをお聞かせください。

井上さん:
少し違った角度からお話ししますが、「対物から対人」という大きな方向性において、薬局経営者は、患者さんのみならず、職員一人ひとりに向き合わなければならないと思っています。

薬剤師や事務スタッフたちは、コミュニケーション能力などの個性、そして知識などの専門性を兼ね備えた、薬局の重要な「タレント」です。各人の熱量を高めたり保ったりしつつ、エンゲージメント向上を目指す。それが薬局経営者に求められている重要な「対人業務」だと思い、その一環として評価制度の整備に力を入れています。

ー患者さんと職員、双方のエンゲージメントを高めることが経営者には求められている、ということですね。そのうえで、『Musubi』はどのように生かせると思いますか。

『Musubi』を導入すると、各種機能によって一人ひとりが対人業務をレベルアップさせる姿が「見える化」され、得られるエビデンスも増えました。ただ、この豊富なデータだけがある状態は、ある意味、「諸刃の剣」だとさえ思っています。

知識やコミュニケーションというのは、身に着けるだけでは不十分で、「実践で生かす」というアウトプットによって、血の通ったものになると考えています。職員が医療人として『Musubi』を使いこなし、「みんなをもっとゲンキにする」の企業理念に向かっていけたら良いと思います。(了)


ここまでお読みいただきありがとうございました。
『Musubi』の機能やメリットについて、くわしく資料にまとめました。ぜひご覧くださいませ。
更新日:2023/10/24

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