Musubi導入事例

薬剤師×管理栄養士×事務スタッフが連携し強みを伸ばす薬局の『Musubi』活用術

M’sファーマ株式会社
代表取締役社長・薬剤師 三宅学さん
くれよん薬局阪南店 薬剤師 辻沙弥華さん
全社でPDCAを回す。そんな思いで『Musubi』の各種機能を活用しているのが、大阪府南部で6店舗を運営するM’sファーマ株式会社です。全社で起きている変化や、くれよん薬局阪南店などで取り組んだ、糖尿病患者さんへの服薬期間中フォローツール紹介をきっかけとしたアドヒアランス向上施策について、社長の三宅さん(写真左)と、阪南店勤務の辻さん(写真右)のお二人に詳しく話を伺いました。
  • 2012年創業。創業直後は2店舗でスタートし、現在は大阪府堺市、岸和田市、阪南市など府南部5市で「くれよん薬局」を運営
  • 2019年以降に店舗数を増やし、社員の大半が20~40代
  • 今回取材した「くれよん薬局阪南店」は小児科・内科の門前に立地。月間処方箋枚数はおよそ1800枚程度で、管理栄養士も勤務している
  • 薬歴未記載数をはじめとした数値に基づき、本社が現場の状況を把握、必要に応じて介入するフローを構築。残業抑制など労務環境改善につながる
  • 服薬期間中フォローの意義とツールを糖尿病患者さんに案内するプロジェクトを2店舗で実行。紹介した2~3割の患者さんとLINEのつながりが生まれる
  • PDCAを本社・店舗・個人で回していく土台が生まれる

会社規模を拡大する中、『Musubi』への切り替えを決意

ーまず、御社について、そして今回お話を伺うお二人のご経歴などについてお聞かせください。

三宅さん:
わたしは製薬会社のMRを経て、独立起業を目指し、薬局薬剤師の経験を積みました。2012年にこの会社を創業し、現在は10店舗を目指して出店を拡大しています。

辻さん:
わたしは、地元である大阪南部で薬剤師として働ける点を魅力に感じ、2020年に入社しました。くれよん薬局阪南店では、近隣のクリニックや総合病院のほか、川を渡るとすぐ和歌山市の市街地なので、府外の処方箋を応需するケースもあります。

ー『Musubi』を知ったきっかけや、導入の背景をお聞かせください。

三宅さん:
『Musubi』は創業してからしばらく2店舗を運営していた時、展示会で実物に触れて存在自体は知っていて、レセコン一体型の電子薬歴とも比較してきました。その後、店舗数の拡大を検討した時には、「薬局から外へ」という業界の趨勢がますます強まっている時期でした。

「この地域に根差しながら、患者さんに寄り添った薬局運営を推進する」ということは、言葉にするより簡単ではない。経営層はもちろん、全社一丸となってPDCAを回し、業務改善に当たる必要がある。
そう思った時、目指す薬局経営に即した機能が一気通貫でそろっているのは、以前から気になっていた『Musubi』だ
と思い、切り替えを決めました。

ー具体的にはどのような点が気になっていたのですか。

三宅さん:
まずは何より、患者さんと薬局がどのようにコンタクトを取るかという視点からコンセプトが考えられている点ですね。タッチで薬歴の下書きが完成することによる業務効率化、データドリブンな経営に必須な薬局業務の「見える化」、導入時だけではなく活用時にもサポート体制があるという点も魅力でした。

「見える化」が後押しする、データドリブンな薬局経営

ー導入後、どのような変化を感じていますか。

辻さん:
画面を見せて服薬指導ができて便利ですね。薬歴記載時間も短縮できました。それまでは店舗内の情報共有が必要だと思いつつ、薬歴記載や在宅訪問業務で忙しく開催できなかった昼の定例ミーティングが開けるような余裕も生まれました

三宅さん:
たまった薬歴が、薬剤師の残業の遠因になりやすく、新しいことを始めたくてもなかなか始められない。これは経営者にとっての共通の悩みかもしれません。

『Musubi』の分析機能があれば、薬歴業務をはじめとした薬局業務にまつわるさまざまな数値について、全店舗ぱっと一覧で把握できます。本部の担当者がこの指標をチェックし、平時との違いを察知したら、チャットツールで状況を確認するというフローが、弊社では習慣になっています。

薬歴に関する数値だけではありません。集中率、後発医薬品比率、地域支援体制加算の算定要件など......薬局運営に直結するさまざまなデータが『Musubi』の分析機能でつかめるのは大変便利で、データドリブンな薬局経営を進めるためにほんとうに欠かせない存在になっています。

 

『Musubi』をつかった服薬指導で生まれた、患者さんの行動変容

辻さん:
投薬台で『Musubi』端末を活用すると、服薬指導が充実し、患者さんの心配に寄り添ったり、薬物治療に対する気持ちを高められたりする手ごたえを感じています。

コレステロールの薬を処方されている患者さんの服薬指導時のことです。それまでの服薬指導時には、話を聞いてもらえているかちょっと心配な患者さんだったのですが、「筋肉痛が気になるけれども、畑仕事のせいかもしれないし......」と本当にぽろっとお話されたのです。そこで、『Musubi』の端末を見せつつ、副作用のひとつに横紋筋融解症があることなどを伝えると、しっかりと話に耳を傾け、さらにメモまで取り出してくださいました。

いつもと明らかに異なるこの反応、「薬剤師冥利に尽きるな」と感じました。

糖尿病患者さんの継続的治療促進へ。何に取り組んだか

ー『Musubi』導入時に目指していた「患者さんに寄り添った薬局運営」が始まっているのですね。

三宅さん:
はい。「患者さんに寄り添う」には、その手前にいくつかステップがあると思っていて、まずは「薬剤師をはじめとしたスタッフが患者さんにコンタクトを取るハードルを下げる」ことから始める必要がありました。ですので、実際に『Musubi』活用によって、患者さんへのコンタクトが取りやすくなり、現場でその変化を実感し始めているのがよかったです。

一方、会社全体としてさらに『Musubi』を活用して取り組めることはまだまだある、とも思っていました。

ー具体的にはどのようなことですか。

三宅さん:
社員一人一人や各店舗がPDCAを回し、次の打ち手を自ら考えていくことです。そこで始まったのが、患者さんの継続的治療を促進するために、『Pocket Musubi』の有用性を説明し、LINEのお友だち登録をしていただく、という取り組みです。

慢性疾患にもいろいろありますが、まずはアドヒアランス不良になるケースが複数存在する糖尿病患者さんを抽出し、お声がけすることにしました。さらに自社で採用している管理栄養士による充実した栄養指導で、他薬局にはない「選ばれる薬局」に近づけるかもしれない、という仮説もありました。

辻さん:
この取り組みは、言葉にするとシンプルですよね。ただ、実際に現場で取り組むとなると、いくつかハードルがありました。

まず、事務スタッフさんが、どのように糖尿病患者さんの来局を薬剤師や管理栄養士に共有するか、オペレーションを決めなければなりません。かつ、わたしの勤務する店舗は処方箋応需枚数が増加傾向にあり、在宅対応もしているので、さらに新しい業務が増えたら現場はどうなるのかという不安もありました。また、LINEで薬局とつながるメリットについてはすでに多くの患者さんにご説明してきており、患者さんから「その説明、聞いたことがある」という反応で終わってしまうのではないか、という思いも頭をよぎりました。

 

『Pocket Musubi』を案内した2~3割の患者さんと、新たにつながりが創出

ーハードルが少なくなかったのですね。それらをどのように乗り越えたのですか。

辻さん:
まずは必要となる業務を、事前準備と患者さん来局時に分けて整理しました。

<事前準備>
大変だと思っていた対象患者さんの絞り込みの事前準備は、『Musubi』の分析機能で5〜10分あれば終わり、事務スタッフさんに対象リストと共にお願いすればあっという間に済みました。

<患者さん来局時>
患者さんが来局して受付をしたら、事務スタッフさんから薬剤師に声がかかる

薬剤師は服薬指導の流れで、管理栄養士にバトンタッチする連携を組み、そこで服薬期間中フォローと、ツール活用(Pocket Musubi)について説明する
(薬剤師が調剤をしている時間に、管理栄養士が案内をする、というパターンもある)

これらのフローを、週1回実施している店舗内ミーティングで共有してからスタートさせました。

三宅さん:
この取り組みを計4週間、2店舗で行いました。すると、ご紹介した2~3割の患者さんがLINEお友だち登録をしてくださり、『Pocket Musubi』でLINEを使ってフォローできるようになりました。

辻さん:
食事療法が必要な疾患をお持ちの患者さんへの服薬指導で「食事に気を付けて」「塩分を控えてください」などと伝えつつ、調理法や栄養に関する具体的な質問になると、その場でうまく答えられない......

そんな経験がある薬剤師さんって、けっこう多いのではないでしょうか。わたしもその一人です。

糖尿病患者さんにとって、治療と切っては切り離せない食事。その道のプロである管理栄養士から、薬局とつながる有用性を伝えてみたらどんな反応が得られるだろう。ずっと気になりつつ、なかなかできなかったことでもありました。

帰宅後の患者さんが、服薬期間中の生活の中で気になったことを文章で聞いていただければ、投薬台では踏み込んでお答えできなかったことにも『Pocket Musubi』で対応できます。何よりわたしたちの薬局の場合、専門家である管理栄養士が本領発揮できる場面とも言えます。

今回の取り組みで薬局とつながった患者さんの中には、LINEのメッセージで「栄養面についてもっと教えてほしい」と申し出てくださった方もおられました。今回アドバイスを求めてくださった方にも、管理栄養士がその専門性を発揮して、メニューや食材について、より具体的なアドバイスをお伝えすることができました。

『Musubi』は業務と意識を改革するパートナー

ー改めて、今回の取り組みを通じた変化をお聞かせください。

三宅さん:
現場から「友だち登録数を見ると、もっと多くの方々とつながれると思っていたのに」という、ある意味残念がる声が挙がっています。これこそ、学びの多い取り組みだったと思っています。

登録いただけなかった方を定性的に見ていくと、アドヒアランス不良となっている方が多く含まれていました。これを受けて、現場では「患者さんに治療を『自分ごと』と考えてもらうためには会話や流れが大事で、どのような会話の流れであれば、関係値を上げられるか」という振り返りと議論が始まっています。

服薬期間中フォローのツール紹介は、あくまでも目的ではなく手段。その先にある「薬局と患者さんとのつながりを強め、選ばれる薬局になる」ということを意識してPDCAを回しているからこそですよね。

また、『Musubi』の分析機能を使えば他の特定疾患の患者さんのリスト化も簡単ですので、今後は他店舗で同様の取り組みが広げられそうです。

辻さん:
先ほど、いくつかハードルと感じたことを上げましたが、やはり最後に大事だったのは、「店舗のみんなでやろう」という声掛けでした。以前は残った薬歴を書かなければならなかった昼の時間帯でしたが、『Musubi』の導入で余裕ができ、ミーティングの定期開催も可能になりました。これによって店舗内の意思疎通がしやすくなり、新しい業務への取り組みを後押ししているかもしれません。

ー最後に、お二人にとって、Musubiはどのような存在でしょうか。

辻さん:
薬剤師のわたしにとって、患者さんとの距離を縮めるためのツールですね。そして、店舗の運営を任される立場からすると、薬剤師、事務スタッフ、そして管理栄養士という役割を超えて新しいチャレンジをする機会もくれました。

三宅さん:
薬局の日々の運営から、その先の見通しを立てる複数薬局をドリブンするベースとなる数値が全部ここにある、という感覚です。『Musubi』の各種機能の活用は、業務の変革のみではなく、社員のみなさんの意識の変革にもつながっており、今ではなくてはならないパートナーです。

患者さんに寄り添った薬局運営にチャレンジしたい、という創業の思いを大切に、地元に根差して事業を成長させていきたいです。(了)


ここまでお読みいただきありがとうございました。
『Musubi』の各種機能やメリットについて、くわしく資料にまとめました。ぜひご覧くださいませ。
更新日:2023/09/26

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