Musubi導入事例

業務効率化ツールからパートナーへ。「再来率10%向上」を実現したMusubiの活用術

会喜地域薬局グループ:馬場さん(代表取締役)、岡本さん(取締役/管理薬剤師)
Musubi導入事例|福島県 会喜調剤薬局グループ
福島県で8店舗を営む会喜地域薬局グループは、2019年にMusubiを導入して以来、業務効率化を進めていましたが、Musubiの機能追加にあわせて「服薬期間中フォロー」や「服薬指導の質向上」など、次々にあたらしいチャレンジに取り組んでいます。その原動力には、患者さんや薬剤師の人口が減少する地域において「10年後、選ばれつづける薬局」であるための覚悟がありました。
  

2030年、わたしたちは生き残れるか

馬場さん(代表取締役):
わたしたちは、福島県の会津若松市といわき市で8店舗を経営する中小薬局です。最近、切に感じることは「10年後、いまと同じ仕事をしていたら、生き残れるのか?」という危機感です。患者さんも減る、薬剤師も減る、病院も医師も減る。薬局を取り巻く経営状況は確実に変わる。だから、アクションを起こさないといけないと考えています。やることを決め、やらないことも決めていく……。

その繰り返しのなかで目指すのは、「会喜調剤薬局グループは違うね」と患者さんからも、薬剤師からもわかるような薬局を育てていくことです。それが経営の優位性につながると考えています。
 

導入して2年。業務効率化ツールから、薬剤師のパートナーへ。

ー 前回の取材(2020年)では、Musubiを導入して約1年後にお話を伺いました。

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
もう2年経ったのですね。導入当初の目的は、薬歴残業の解消でした前回の取材では、業務効率化が実現したことについてお話させてもらいました。現在では、Musubiは薬剤師のパフォーマンスを高めるパートナーとして、多くのスタッフにとって欠かせない存在になりました。服薬期間中のフォローや処方箋送信機能、薬局経営の分析機能など、Musubiの機能も増え、できることの幅が広がりましたね。
 

第1回目の取材はこちら(Musubiを活用した業務効率化がメインテーマでした)
   
Musubi導入事例|福島県 会喜調剤薬局グループ|岡本さんと馬場さん
  

「とりあえず書く」から「薬歴/服薬指導の質」が議論の中心へ

ー2年前にはなかったMusubiの分析機能を活用して、どんな変化がありましたか?

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
店舗ごとに薬歴の記入状況が可視化され、薬歴業務おけるスピードをはじめとした処理能力よりも、薬歴の質的評価が薬局内の共通言語になりました。「とりあえず薬歴を書く」という状態から脱却できましたね。

最近では、「服薬指導時における薬剤師の判断」や「薬歴への記載内容」が適切であったかなどが議論の争点へ変わりました。各種指標を数字で見ながら議論ができるので、解決の糸口をたどりやすくなり、薬剤師同士のコミュニケーションも円滑になったと思います。
 

服薬期間中フォローで、10%の再来率向上。何を行ったか。

ー 最近ではMusubiを活用して、服薬期間中フォローに集中的に取り組んでいると伺いました。どのような効果がありましたか?

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
今回、「服薬期間中にフォローをすべき患者さんに電話を実施することで、患者さんの再来率に影響があるか」というテーマで、実証実験を行いました。結果としては、本来、再来する可能性の高いはずの患者さんで、処方日数を超えて来局間隔が遅れている方を対象に電話でアプローチした方は、しなかった方と比較して、約1ヶ月後の再来率が10%向上しました。

ー 集中的に服薬期間中にコミュニケーションを取ったことで、どんな気づきがありましたか?

Musubiの機能をつかって、電話をかけてフォローをすべき患者さんを絞り込んだ結果、服薬期間中に薬剤師からコミュニケーションを取る、その重要性を再確認することができました

実は、服薬期間中に電話をすることへの薬剤師側の不安もありました。Musubiを活用する以前は、薬剤師視点の判断で、特に必要と思われる患者さんに電話をすることはありましたが、電話をする機会自体は多くはありませんでした。

患者さんにとって迷惑ではないだろうか、必要とされないのではないか……。薬剤師って意外と、拒否される経験ってあまりないんですよね。ただ、実際に電話をしてみると、それは杞憂でした。服薬期間中にコミュニケーションをとることで患者さんの情報が増え、解像度があがります。また、会話量が増えるためか、次回来局時にちょっとした話題で盛り上がりますね。総じて、患者さんとのコミュニケーションの深さが変わったという感覚でしょうか。

 

服薬期間中の薬局からのアプローチで、患者さんが喜んでくれた

Musubi導入事例|福島県 会喜調剤薬局グループ|薬局の様子

ー患者さんからは、どんな反応がありましたか?

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
結果として、介入に対して嫌悪感を抱いた患者さんはおらず、多くの患者さんから「ありがとう」などの好意的なコメントをいただきました。たとえば、高尿酸血症の男性患者さんからは、「(通院が)先延ばしになっていたから、きっかけをもらえてありがたい」と。医療機関からも感謝の電話をいただきました。

また、「COVID-19のワクチン接種のときは、薬をやめていました」と患者さんが連絡してくださったことにより、ただしい服用方法を伝えることができたケースもありました。全体的に患者さんの脱落を防げる効果を実感できましたね。電話をかけた薬剤師も、想定よりも患者さんからの感謝があったことで、自信をもって取り組めたと聞いています。

馬場さん(代表取締役):
現在、電話以外にも、(LINEと連携した)Musubiの服薬期間中フォロー機能も活用しています。患者さんはスマホから、薬剤師はMusubiから、お互いに都合のよいタイミングでつながれることがメリットです。フォローすべき患者さんを自動スクリーニングし、通知してくれる機能も重宝しています。

 

60~70代の患者さんも、Musubiを介してつながれた

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
意外だったのは、60~70代の患者さんもLINE介したコミュニケーションを積極的に行ってくれたことでした。実は、電話での介入は薬剤師にとって「会話中に即時判断を迫られる」ため、同じ症例でも薬剤師ごとに指導内容に差が生まれることがあります。LINE経由であれば、回答するまでに思考や調査ができるので、指導内容の質を保つことができます。また、患者さんのデータが増えると、コミュニケーションも増えるという相関も見えてきました。

馬場さん(代表取締役):
最近、Musubiに追加された「処方箋送信機能」も、患者さんに好評です。患者さんの薬局体験がより気軽で負担のないものになり、それが会喜調剤薬局グループを選んでもらえる理由になるとよいなと考えています。
 

現場ではたらく薬剤師に「意義」を伝える。それが経営層の仕事

Musubi導入事例|福島県 会喜調剤薬局グループ|服薬指導をする岡本さん

ー 多忙である現場薬剤師と目線を合わせて、積極的な服薬期間中フォローなどあたらしい挑戦に取り組むことは難しい側面もあるかと思います。どういう風にプロジェクトを進めているのでしょうか。

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
まずは、リーダーである私がやってみる。という点を意識しています。例えば、服薬期間中フォローでは、患者さんに率先して電話してみる。マニュアルをつくってみる……。自分のスキルを見せつけるといった文脈ではなく、意外とかんたんであることを伝えたり、いっしょに悩んでみたり。そうやって「流れ」をつくっていくイメージでしょうか。

その際に重要なのは、率先してやると同時に「意義」を伝えることです。会喜調剤薬局グループの薬剤師は「地域の患者さんの力になりたい」と思うメンバーが多く、誇りに思っています。故に「この取り組みは、患者さんにどう寄与するのか」という点をしっかり伝えています。

 馬場さん(代表取締役):
意義を伝えることが、経営層のもっとも重要な仕事のひとつであると考えています。そして、何度も繰り返し伝えること。腹落ちするまで話し合うこと。あたらしい施策を軌道に乗せることは一筋縄ではいきませんが、確実に前進していると感じています。

 

前に向かって進む。地域で選ばれる薬局になるために

Musubi導入事例|福島県 会喜調剤薬局グループ|患者さんと話す岡本さん

ー 2030年も会津若松の健康を担う存在を目指すために、今後はどんなことに取り組んでいきますか?

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
変化への順応はとても重要ですね。薬局を取り巻く状況は、すごいスピードで変わっています。たとえば、コロナ禍を通して施設在宅や居宅へのニーズが急増しました。ただ、数年後も同じ状況かはわからない。目の前の患者さんの課題に全力で取り組みつつ、新しい変化を受け入れて、楽しみながら乗り越えていきたいですね。


馬場さん(代表取締役):
わたしたちは地方の中小薬局です。派手な出店計画などは実施できませんが、だからこそ、より地域の患者さんに根ざした薬局をめざしていきます。その評判が街にすこしずつ広がっていくようなイメージも描いています。コロナ禍に入り、処方箋枚数は減少しましたが、売上は向上しています。2022年は「調剤売上+2%」を目標においています。そのためにも、服薬期間中フォローの利用者を、Musubiを活用しながらひとつずつ実行していきたいです。

 

会喜調剤薬局グループにとって、Musubiとは?

ー 最後にお伺いします。会喜調剤薬局グループにとってMusubiとは、どういう存在ですか?

岡本さん(取締役/管理薬剤師):
Musubiとは、薬剤師の世界を広げてくれるものだと思っています。わたしは薬剤師として、会津若松の患者さんに役立っていきたい。だけど、薬局のなかで薬歴を書いて、服薬指導をして、というルーティーンだけではワクワクしない、という一人の薬剤師としての気持ちもあります。Musubiはあたらしい機能がどんどん追加されますし、使いこなすことによって、あたらしい景色が見えてくる。変わっていくことで、未来に対して希望が生まれるというか、薬剤師の世界が広がっていく感覚があるんです。そういった楽しさがあると、患者さんにもいい影響を届けられるような、そんな気がしています。

もし、Musubiの導入で悩まれている方がいたら、やはりおすすめしたいですね。間違いなく業務効率化は実現できますし、ただ、Musubiはそれだけじゃない、ってところがよいですね。


馬場さん(代表取締役):
Musubiを一言で表すのは難しいですが、4年前に導入していなかったら、いまの会喜調剤薬局ではなかったのは間違いないでしょうね。導入前、KAKEHASHI代表の中尾さんからプレゼンを受けたときは「本当に薬局が変わるのかな……?」と思っていましたが、今となっては、あのときの直感に従ってよかったなと思います。(了)

 


ここまでお読みいただきありがとうございました。
『Musubi』の機能やメリットについて、くわしく資料にまとめました。ぜひご覧くださいませ。
更新日:2021/07/30

そのほかの事例を読む

イベント・セミナー情報

Musubiのことがよくわかる資料

資料1
資料2
資料3
資料4