2003年の創業当時は、紙薬歴をつかっていました。紙薬歴の時代は、残業時間が長かった。忙しい冬場などは全スタッフが22時すぎまで働いていました。
経営者として危機感を覚え、あるメーカーのタブレット型電子薬歴を導入したものの、機能が多すぎてまったく使いこなせず、単に薬歴を入力するだけのツールに。もちろん、残業時間は減りません。お金をかけて導入したのに……そんな想いを抱えながらも、現場スタッフの負担を考えれば、電子薬歴を変更するのも大変なので、結局は10年ほど使いつづけました。
実は、Musubiへの切り替えを検討したタイミングでは、以前の電子薬歴のリース契約がかなり残っていました。
ここは、経営者として悩ましい決断でした。ただ、経費に関しては私が悩めばよい話。Musubiをいち早く導入することに決めました。
リース会社にお願いして、あたらしく組むリースに残額分を乗せてもらうなど、なるべく負担が薄まるように調整しました。結果的に、残業代を月30万円ほど抑えることができたので、コスト面の不安は杞憂に終わりましたね。
Musubi導入後、残業時間が基本的にはゼロになりました。もともとは、スタッフ1人あたり2時間程度残業をしていました。1日の残業代は、約1万2000円。月換算(25営業日)で約30万円の残業代を削減することができました。
でも、これはあくまでも副次的な効果。業務が効率化され、残業も減ってくると、従業員の満足度が上がってきたんです。これが離職率の低下につながりました。
以前は、従業員が入っては辞め、入っては辞めの繰り返し。人材紹介会社に支払う手数料は、我々にとって一番高いコストでしたし、年間4~5人採用することもあったので、手数料だけで利益が飛んでしまうこともありました。
弊社には67歳男性と50歳女性の薬剤師がいます。Musubi導入直後は、なかなか使いこなせずに苦労していました。Musubiのデータ解析機能で全スタッフの薬歴記入時間などを見ると、とくにSの記入に苦戦している様子。
カケハシに相談し、2人にはMusubiを使いこなすための学習プログラムに参加してもらうことに。
プログラムの効果はすごかった。まず、67歳の男性薬剤師の薬歴記入時間が、半分以下になりました。
そして、薬局内で彼を中心に「Musubiの使い方をレクチャーしあう文化」が生まれました。現場の自律性が高まったのは、想定外の効果でした。
レクチャーしあっているとき、プログラムに参加していないスタッフが「実はわたしも参加したかった」とポロリとこぼしたのは印象的でした。スタッフ自身がMusubiを使いこなせるようになるか、つまり自分の業務の効率化を意識してくれているのです。
50歳の女性薬剤師は、もとよりPC操作にすこし苦手意識がありましたが、それでもプログラムを通じて、薬歴業務は着実に効率化していきました。
私たちのグループは全2店舗。まだまだちいさな薬局です。コロナ禍という不確実性の高い時代においては、経営者だけでなく、薬局全体のスキルアップを図っていかなければ、地域のなかで生き残ることは難しいでしょう。
いま地域の薬局に求められる患者さんへの個別性の高い服薬指導や、服薬期間中のフォローアップの充実はもちろん、もっと広い視点を持ち、経営戦略やターゲティングを明確にすることで、「地域の一番店」を目指していきたいと考えています。
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