Musubi導入事例

調剤薬局チェーンが挑む、薬歴の標準化。サエラ薬歴プロジェクト

株式会社サエラ サエラ薬局 矢羽田和哉さん、今中直輝さん、林大佑さん、鈴木樹里さん
サエラ薬局さま本社にて
大阪に本社を構え関西・関東に68店舗を展開するサエラ薬局。全店にMusubiを導入し、薬歴のクオリティの底上げを目指した全社的な取り組みを推進されています。プロジェクトリーダーの矢羽田和哉さん、今中直輝さん、林大佑さん、鈴木樹里さんにお集まりいただき、その活動を振り返る座談会を開催しました。
  • サエラ薬局(株式会社サエラ)
  • 大阪本社ほか全国68店舗(2018年8月末現在)
  • 薬剤師数 499名(2018年3月31日現在)

全社の薬歴レベル向上に挑むプロジェクト

—— 薬歴プロジェクト発足のタイミングは?

矢羽田:
Musubiの初導入が2018年の12月でしたよね。その少し前に薬歴プロジェクトが立ち上がったと記憶しています。

—— どういった経緯で?

今中:
一つは、個別指導がきっかけだったと思います。指導に対応する中で、私たちの薬歴には足りていない部分が多いなと。電子薬歴を使うようになって、特にDO処方の薬歴が画一化していることは以前から課題視されていたこともあり、「具体的にどのような指導をすべきなのか」「その中から、どのような内容を薬歴に残すべきなのか」、全社的に考えていくべきだということになりました。

矢羽田: 
それまでは、店舗それぞれでみている部分が大きかったんですよね。私自身も、薬歴の活用と言いますか、店舗で薬歴を患者さんの対応や服薬指導に活かしていくことがうまくできていないことに課題を感じていました。もちろん患者さんに不安を与えることなくお薬をお渡しすることは常に意識していましたが、患者さんの背景まで押さえた上での服薬指導という意味では、まだまだ改善の余地があるなと。

今中:
薬歴を流れ作業的なものにしてしまうのではなく、意味のある業務に正しく転化していきましょう、というところがありましたよね。薬剤師が自分の意思で患者さんにお伝えしたことをきちんと記録に残し、さらにそれを次に繋げていく。スタッフ各自が、この“流れ”をつくっていけるようにならなくてはいけない。

薬剤師は専門職。本来、自分の仕事が流れ作業や単純作業になることを望んではいないはずなんです。専門職として最大限の力を発揮できるような業務フローを作っていきたいというのがプロジェクトメンバーの思いであり、期待されていることだと思っています。

サエラ薬局 矢羽田和哉さん
薬歴プロジェクトのリーダーを務める、矢羽田和哉さん。教育研修部に所属し、薬剤師向けの社員研修を幅広く担当。

薬歴プロジェクトの活動とは?

—— 具体的にはどのような活動を?

矢羽田:
現在は、月に3回ほど集まって各店舗の薬歴をチェックしています。月に3〜4店舗ずつピックアップし、個別指導で対応が求められる部分と、「SOAP形式で正しく薬歴が記載されているか」「毎回つながりを持った薬歴が残されているのか」を重点的にチェックして、改善点をフィードバックしています。店舗のほうから「自分たちの薬歴を見てもらいたい」という申し出があることもありますね。

林:
やはり店舗としても、自分たちの薬歴に対して不安に感じている部分が大きいのかなと感じます。そもそも何の疑問を感じることなく書いてしまっているケースもあるかもしれませんし、啓蒙というか、課題意識を呼び起こすような働きかけもプロジェクトの役割だと考えています。

矢羽田:
過去には各店舗の管理薬剤師へのレクチャーを実施したり、今も継続していることとしては、薬歴プロジェクトのメンバーが毎月Web講座を開催し、参加してもらうような活動もしています。
 

新人の即戦力化を、Musubiが促進

—— Musubiの導入によって活動に変化はありましたか?

矢羽田:
まず新入社員向けの研修が変わりました。研修は私が担当しているのですが、現在はMusubiを実際に使ってみてもらうプログラムを取り入れています。具体的には、患者サマリーを入力して初期監査を行うという一連の流れを、実践的にやってみるというもの。問診データをMusubiに入力すると監査がかけられるという点に「便利!」という反応が上がることが多いですね。

一方で、例えば併用禁忌のアラートが表示された際など、「Musubiに任せきりになるのではなく、この禁忌を自分でも見つけられるだけの知識を身につけておかなければいけない」と、各自で気を引き締めるようなシーンも見られます。

今中:
Musubiになって、新入社員が電子薬歴に慣れるのがすごく早くなりましたよね。総じて、立ち上がりが早いなと感じます。例年に比べて、業務に時間がかかっている印象が少ないんです。やはり従来の薬歴だと入力だったり操作の仕方で戸惑う部分が多く、問診の入力にかなりの時間を要していました。Musubiの場合、ほとんどの操作が画面タッチですから、入力スピードが圧倒的に速い。加えて、指導内容の部分。従来であれば自分たちでいちから考えて入力しなければならないところが、Musubiは候補を提示してくれるので、新人が勉強しながら服薬指導できるんです。OJTのスタイルに近いというか、患者さんへの指導を経験しながら、その薬歴からさらに学びを得ることができるので、従来よりもかなり早い段階で医薬品の知識を網羅的に習得できるようになっていると思います。Musubiによって、仕事のベースとなる部分が自然と身についていく、そんな印象です。

林:
たしかにMusubiは、「触ってから業務で使えるようになるまで」が圧倒的に早いですよね。だからこそ、薬歴プロジェクトとしても使う側の意識改革といいますか、業務のクオリティをより良くしていこうというモチベーションを育んでいくようなアプローチが必要になってくるだろうと考えています。新入社員だけでなく、既存のスタッフにも良い影響が出ていますよね。「健康アドバイス」を使って、よりレベルの高い投薬の組み立てが自然とできているメンバーが増えているようにも感じています。

矢羽田:
「健康アドバイス」といえば、事務職のメンバーにも良い反応がありました。研修でMusubiの説明をした際、薬局が単に薬を受け取るところではなく、患者さんの健康促進に貢献する場所なんだというポジティブなイメージを持ってもらえたんじゃないかなと。

サエラ薬局 今中直輝さん
今中直輝さん。エリアマネージャーとして9店舗を担当するとともに、在宅に関する営業活動や社内支援にも携わる。

なぜMusubiで薬歴の質が上がるのか?

—— プロジェクトの目的である薬歴の質の底上げという観点で、Musubiにどんなメリットを感じていますか?

今中:
まず、満たさなければならない項目を自然と押さえることができるのが一番のメリットかなと思います。従来の薬歴システムでは、確認項目一つとっても自分でタイピングしないと反映されませんから、結果的に店舗によって仕上がりがまちまちになっていました。Musubiなら業務の流れに沿って確認を進めていけば、自然とSOAP形式の薬歴になっていく。一定のレベルが担保されるようになっています。

林:
「健康アドバイス」の活用が、薬歴の充実につながるのも助かります。あとは在宅も。薬歴から在宅報告書までワンストップで終わらせることができるので役立っています。

それと、過去のものに比べたら薬歴のチェックが随分やりやすくなったなと感じます。

今中:
課題がクリアになったんですよね。今までの薬歴は、情報の整理がされておらず、文字で埋もれて見にくかったんですよ。それがMusubiになってからは、確認項目は確認項目でまとめられ、SOAPはSOAPできちんと整理されてアウトプットされる。チェックする側としても、どこに課題があるのか一目でわかります。

—— Musubiを使った薬歴の底上げという意味では、ある程度の成果をあげられたと感じますか?

矢羽田:
どうでしょう……まだまだこれから、ですね。スタッフ各自の認識という点でも、薬歴の記載項目に対する理解が全体で揃い切ったとは言えません。細かく見ていくと、患者さんに説明した内容が、画面タッチが漏れていて薬歴に反映されていないようなこともあるかと思います。患者さんに説明しながらタッチする、これをもっと業務に落とし込んでいかなくてはいけない。みんな、投薬の前にどう服薬指導を進めていくか組み立てていると思うのですが、そのレベルにまだまだ個人差があるんですよね。

今中:
もちろん慣れの部分もあるとは思いますが、Musubiを使った服薬指導の進め方として、「画面タッチ」の徹底を方針として打ち出したり、マニュアル化したりすることも必要だと思っています。

林:
たしかに現状、店舗によって徹底の度合いが違っているのが正直なところだと思います。薬歴プロジェクトとして解決したい課題の一つですね。
 

サエラ薬局 林大佑さん
林大佑さん。関東エリアでエリアマネージャーと在宅推進を兼務。サエラ薬局で初めてのMusubi導入をリードした経験も。

Musubiのデータを店長教育に。その先に店舗の活性化を見据えて

—— 各メンバーの薬歴の記載時間が「S」「O」「A」「P」それぞれで見える化されるなど、Musubiで実際の業務を定量的に測定することができるようになっています。そうした定量データをどのように活用されていますか?

鈴木:
私は店長教育に活用していますね。一緒にデータのレポートを見ながら、「完了時間がこれだけ長くなっているということは、Musubiの機能をうまく使えていないんじゃない?」と分析して対策を考えていったり。スタッフごとの健康アドバイスの使用率もわかりますよね。業務でうまく活用できているスタッフの使用率を共有して、店舗の意識向上を促すようなこともやっています。やはり、リアルな数値があるとメンバーの“食いつき”が違います。「こんなに(時間が)かかってるんだ」「遅いとは思ってたけど…」と、そのデータを見ながら自分の仕事を振り返ることができる。感覚ではなく客観的な数字をもとに改善を図っていくことがいかに重要か、強く実感しています。

サエラ薬局 鈴木樹里さん
鈴木樹里さん。関西で3店舗を管理するシニア店長。他店舗のMusubi導入・利活用を支援するミッションも担っている。

矢羽田:
Musubiの指導文の活用率や健康アドバイスの活用率の向上が、薬歴プロジェクトで今後追いかける明確な指標になっていくんでしょうね。その指標を上げることが、服薬指導や薬歴の質ということになるのだろうと思います。

今中:
こうしたデータが、店舗内のコミュニケーションの活性化にもつながっていく可能性も感じます。データを見れば、店舗のなかで誰がMusubiをうまく使えているのか、明確にわかるじゃないですか。Musubi導入の際に、中尾さん(カケハシ代表)が「店舗のなかでMusubiの伝道師になってください」とおっしゃっていたのがすごく印象に残っていて。うまく使えているスタッフが、まさに伝道師となって、店舗内のさまざまなメンバーにレクチャーしていくような動きが出てくると良いですよね。全社的な取り組みだけでなく、店舗ごとに改善のサイクルが回ってくると、業務の質はますます上がってくるだろうと確信しています。
 

更新日:2021/4/6

そのほかの事例を読む

イベント・セミナー情報

Musubiのことがよくわかる資料

資料1
資料2
資料3
資料4