鈴木:
株式会社エムシードは『健康』を軸に医療分野に関わるソリューションを提供するため、薬局事業を中心に変革に取り組んでおります。薬局事業は現在、ふたば薬局と千歳調剤薬局の2店舗を展開。千歳調剤はもともと24年続いている薬局でして、前のオーナーからスタッフの方々を含めて私たちが受け継いだ形になります。
お隣の内科医院からの患者さんがほとんどで、薬局開業から勤めているベテランの薬剤師を中心に、薬剤師5名、事務スタッフ4名の計9名で運営しています。
昔からの患者さんは80代90代とご年配の方が多いのですが、ここ数年で周辺地域の宅地化が進んだこともあり、小さなお子様のいる若い世代の患者さんも増えています。
鈴木:
エムシード社の薬局事業として掲げているのが、「地域を健康にする薬局」というビジョンです。何より地域の方のお役に立つこと、処方箋がなくても気軽に相談に来ていただける薬局を目指そうという思いから、「健康」という言葉を使っています。身体と心、双方の健康をサポートする役割を、ということですね。
この千歳調剤がまさにそれを体現している店舗と言えるのかなと思っています。私がみていても、やはり多くの患者さんが涌井や岸本といった薬剤師の“人柄”についてきているなと感じますし、そもそも薬剤師が長年いらっしゃっている患者さんのパーソナリティを全て把握している。この姿が、地域の薬局としてのあるべき姿なのかなと思っています。
涌井:
門前の内科だけでなく、「ここに来ればいろいろ説明してくれるから」と、心療内科や眼科、皮膚科などさまざまな処方箋をまとめてお持ちいただく患者さんもいらっしゃいます。
鈴木:
地域に若い世帯が増えていることもあり、千歳調剤ではキャッシュレスなど新しいシステムの導入を積極的に進めていました。そのなかで一つ課題となっていたのが、患者さんへの指導。例えばハイリスク薬の扱いについて、マニュアルを作ったり研修したりということが、本部としてもなかなかやり切るのが難しい。根本的な解決策が見つからず悩んでいた矢先にMusubiと出会ったんです。
まず、指導文と健康アドバイスですよね。患者さん一人ひとりにあわせて、適切な内容を提示してくれる。この患者さんにはこれとこれをお伝えしなければならない、というのをMusubiが自動的にサポートしてくれるわけです。これをそのつど自分たちで調べなければならないとしたら、いくら時間があっても足りませんよ。
時間という意味ではもう一つ、労務改善も大きな課題でした。端的に言うと薬歴。コロナ禍以前の最も厳しいときには、1日180枚近くの処方箋を、夕方わずか2名体制で対応しなければならないことも。これを全部消化したとしても、翌朝また40〜50枚やってくるわけです。
涌井:
営業時間が終わったあとに薬歴を書いて、残ったぶんは翌朝早出して書いて。大変でしたね。とはいえ、これまでの経験から「こういうものなのかな」と思ってしまっていて、とにかく頑張ってやっていました。
鈴木:
本部から見ていても、これはまずいだろうと。当時は本当に過酷だったと思います。
鈴木:
Musubiの「画面タッチで薬歴がほとんど完結する」というのは大きなポイントでした。私自身、薬歴はSOAP形式でいちから書いていくのが当たり前だと思っていたので、これは画期的だと。「もうこういう時代なんだな」という感動がありましたし、これなら同じ感動を現場のスタッフにも感じてもらえるはずだと思いました。
涌井:
確かに「変わるだろうなぁ」と思うと同時に、新しいシステムに切り替える作業への不安もありました。また患者情報をいちから入力していかなければいけないのかと。
岸本:
ただ、近隣でMusubiを使っておられる薬局を見学させていただき、Musubiを使った業務の流れを見たら一気にイメージが湧いたんです。服薬指導をしながら薬歴を終わらせるというのが、実際の様子を見て初めて理解できたんですね。こんなに短い時間で、患者さんの薬歴まで終わらせることができるんだと感動して、「これならいけるんじゃない?」と。ラクになるのであれば、ぜひ使ってみたいという気持ちに変わっていきましたね。
鈴木:
たしかに、Musubiがどうかという以前に、システムを切り替えることに対する現場の不満はありました。レセコンを変えて1年も経っていなかったので、当然といえば当然ですよね(笑)。「今のシステムのリース期間が終わるのを待つのが普通では?」という声もありました。でも私は、待つことで生じるデメリットのほうが圧倒的に大きいと考えていました。次の切り替えタイミングまで約5年。今の環境が5年も続いたら、おそらくみんな辞めてしまうでしょう。1年2年待ったところで処方箋が落ち着くわけでもありませんし、だったら多少の切り替えコストが発生するとしても、今やったほうが絶対にいい。薬剤師には「Musubiで時代が変わりますよ」と話し、強い意思を持って導入に踏み切りました。
鈴木:
週1回30分のオンライン研修を複数回行なうという研修スタイルは非常に満足度が高いです。何より時間を確保しやすいのが一番。当社としても研修は業務時間内に終わらせるのが絶対だと考えていましたので、営業時間中に交代でプログラムを受講できるのがとてもよかったですね。
涌井:
毎週少しずつ進めていけたので、質問もしやすかったですね。毎回「次はこれについて聞いてみよう」と事前に考えて臨むことができて、私たちにはとても合っていたと思います。研修後に薬剤師同士で自然と話し合うようになって、分かる人が分からない人に教えながらみんなで復習を。この研修のおかげでスタッフ間の会話が増えたというか、話し合いたいと思うことが増えた気がします。例えば「吸入指導はこういうふうにしよう」など、店舗でのルールもできてきました。今まではそれぞれでやっていて、なかなか指導の内容を統一できていなかったんです。
岸本:
ベテランの薬剤師も、全く問題なく使いこなしています。今までのやり方にこだわっていた部分もあったんですが、いつの間にかラクになっていて。
鈴木:
労働環境は圧倒的に変わりましたよね。薬歴で残業することはほぼなく、繁忙期で残ったとしても数枚程度。わずかな時間で終わらせることができます。そういうルーチンが、もうできあがっているんです。有給休暇も、以前は話題にも出なかったレベルでしたが、今ではすべてのスタッフが取得できるようになりました。毎月一人は休みをとっていますよね。これまでの苦労の日々を思うと、あるべき姿に近づいてきたことにホッとします。
涌井:
みんな家庭のあるスタッフばかりなので、子供のことや家のことに時間を使えるようになって助かっています。今までは薬歴に追われるというか外来に追われるというか、常に何かに追われているような感覚があったんですけど、それがなくなって少し肩の荷が降りたように感じています。
岸本:
これまで何度となく「在宅をお願いしたい」と顔なじみの患者さんからご相談いただいていたんですが、経験はないし何より忙しくて、お断りしていたんです。お断りしながらも、「いつか在宅を」という思いがずっと、本当にずっとありました。それがMusubiを入れたことで業務に余裕が生まれ、それで初めてお一人、居宅の患者さんの在宅対応をお引き受けすることができたんです。薬剤師人生で「いつかは」と思い続けてきたことをついに叶えることができました。ずっとこの薬局で私たちがみてきた患者さんたちなんです。ようやく薬剤師として自分のやりたいことができてきたというか。改めて今、仕事が楽しいと感じています。
在宅報告書や計画書の作成が大変というイメージもあったんですが、いざやってみたらMusubiのサポートもあって案外スムーズに。在宅に詳しいカケハシのスタッフの方にもいろいろと教えていただき助かりました。今は週2回の訪問で報告書を月に4回つくっていますが、特に困ることもありません。
鈴木:
実は居宅訪問したことで、その患者さんの蜂窩織炎の重症化を未然に防ぐこともできたんです。訪問した際に患部を拝見して「これはちょっとおかしいぞ」と。写真を撮りすぐに報告書を作ってドクターに提出すると、「放っておいたら入院になっていたかもしれない」と。すぐに薬を出してもらって事なきを得たのですが、今後心配だからとその後ドクターの往診もスタートしました。Musubi一つで、薬局はもちろん、治療にも患者さんにも変化が生まれるんだなということを改めて感じましたね。新たに近隣の施設から在宅のご相談も入っており、私たちとしても手応えを感じているところです。
岸本:
最近、Musubiのアラート機能(※併用不可等の処方があった場合に自動的に注意を促す機能)が強化されましたよね。つい先日、そのおかげで処方の重複に気づくことができたんです。そのまま急いでドクターに報告したところ、「ありがとう」「助かったよ」と。私たちも次から次に患者さん対応をしているなかですので、アラートがなかったら見落としていたかもしれません。
涌井:
Musubiのトレーシングレポートを使ったり、うちの場合は直接お話することもありますが、ドクターに報告する機会はすごく増えましたよね。そもそも、患者さんから得られる情報量が増えています。例えば糖尿病の患者さんで、Musubiの患者サマリ(患者情報)を一緒に見ながら間食の話題を出したりすると、「実は寝る前にちょっと食べちゃってるんだよね」とか「果物が大好きで」とか。それを踏まえて患者さんにアドバイスもしますし、ドクターにフィードバックして診察時に配慮していただいたりもしています。
岸本:
Musubiの画面を一緒に見ながらの指導で、患者さんとのやり取りは本当に変わりました。すごく印象に残っている出来事があって、長年みているご年配の患者さんで耳の不自由な方がいらっしゃるんです。いつも筆談で、といってもDO処方なので「特にお変わりありませんか?」というような内容がほとんどだったんですね。それがMusubiが入って画面をお見せできるようになり、改めて出ている薬を一つずつ指導文をお見せしながらご説明したんですよ。私としては今までお伝えしていたことの振り返り程度のつもりだったんですが、「このお薬は便秘の副作用が……」とお伝えしたときに、患者さんがハッと目を見開いて、「これこれ!」と画面のその部分を指差されたんです。そして、「今までずっと便秘で苦しんでいたんですが、この薬のせいだったんでしょうか?」と……。分かってよかった、安心しましたと感謝されたんですが、ずっといらしている患者さんじゃないですか。今まで何度もお話してきたはずなのに、まだまだやるべきことがあったんだなと強く反省しました。そういう意味でも、私自身がMusubiを使ってスキルアップさせてもらっているんだなと身をもって実感しています。
鈴木:
たしかに、薬剤師がより自信をもって患者さんに向き合えるようになるのは大きいですよね。実はMusubiの導入前後で2名の薬剤師を採用しているんですが、どちらも調剤薬局は初めてという方なんです。導入前には長年ドラッグストアにいらした60代の方、導入後には、つい先日内定を出したばかりで病院勤務の30代。どちらも薬剤師として患者さんと接する仕事がしたいという強い思いを持っていらしたんですが、SOAPの書き方など業務のノウハウがないことに不安があると。そこでもMusubiですよね。特に導入後は、そんなに不安にならなくてもサポートしてくれるシステムがあるので大丈夫ですよ、とMusubiを見せたらものすごく感動されて。当社としても、今後ビジョンに共感していただける良いメンバーと出会えるかどうか確信が持てないなかで、Musubiが立ち上がりを強力にサポートしてくれるのは、採用という観点でも一つ大きなポイントだと思っています。
岸本:
私たちの世代は、SOAPを大学で学んでいないし、SOAPを正しく習得する機会がなかった世代なんです。うちのスタッフはほとんどそう。でも、Musubiならそれが簡単にできるじゃないですか。流れに沿って進めていけば、自然と漏れのない薬歴ができる。しかも常に最新の情報にあわせてアップデートしてくれる。私たち世代の薬剤師にとっても、すごく良いと思います。
涌井:
Musubiは、管理者が薬剤師ごとの薬歴数や作成にかかっている時間を見ることができますよね。店舗内の業務バランスをチェックできるようになったので助かっています。「あの人に偏りすぎてるな」とか、パートのスタッフが時間内に仕事を終わらせられるよう「ちょっと後ろに下がって薬歴を書いてね」とか、全体をみてスムーズに指示出しできるようになりました。
鈴木:
これまではどうしても、管理者自ら請け負っている業務の割合が多かったんだと思います。他の人に負担がかかるくらいなら自分たちでと、感覚的に判断してしまっているのがよくなかった。管理者も含めた労務改善ができるようになったのは、経営的にも大きなメリットです。
鈴木:
やはりMusubiが自動的に吐き出してくれるデータのおかげで、全体的な可視化はスムーズですね。今までは診療報酬のデータを吸い上げてExcelでゴリゴリやっていましたが、その手間が省けたのがまず一つ。またデータも数字の羅列ではなくグラフや表で見やすく表示されるので、それもポイントです。本社会議や管理薬剤師会議になんとか間に合わせようとデータをかき集めて作業していたのが、今ではWeb上で完結します。画面を見せながら「新患が増えた」「近くの医院が廃業して処方が流れている」などすぐに報告ができる。ただの集計ではなく、分析ができるようになってきた手応えはありますね。今までは集計だけでタイムオーバーになっていたところから解放されて、データの裏側にある要因というか、「なぜこのような数字になっているのか?」を考えることに頭と時間を使うことができるようになってきたと思います。
鈴木:
今後、より注視していかなければならないと考えているのが、患者さんの「再来率」です。Musubiがデータを出してくれるようになったことで、「なぜ再来率が100%にならないのか」と考えるようになりました。いらしていない患者さんは治癒したのか、それとも治療から脱落してしまっているのか、どちらなんだろうと。もしかしたら、今この瞬間にも正しく薬が飲まれていないのかもしれないという、その不安に改めて気づかされたんです。
そこで全て数字に落とし込んで、改めて管理薬剤師に「実はコロナ以降これだけの患者さんが脱落している可能性がある」と伝えました。具体的なデータを目の当たりにして現場もショックだったようで、まずハイリスク薬を処方されている患者さんから分析したり、最近いらしていないと思われる患者さんお一人ずつ状況を追跡することで、患者さん一人ひとりのお顔が見えるところまで辿りつきました。今後はその範囲をハイリスク薬からさらに広げていき、この動きを継続していくことが大事だと考えています。服薬期間中フォローにも本格的に着手していきたいですね。
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