プレスリリース
2024/10/9

カケハシ、国際医療福祉大学と行ったスルホニル尿素薬の処方実態に関する研究がアジア糖尿病学会誌に原著掲載
電子薬歴「Musubi」に蓄積された実臨床データの価値を示唆

株式会社カケハシ(本社:東京都港区、代表取締役社長:中尾 豊、代表取締役CEO: 中川 貴史、以下、当社)が国際医療福祉大学(坂本 昌也 教授)と行った、スルホニル尿素薬の処方実態に関する研究が、アジア糖尿病学会誌「Journal of Diabetes Investigation」に原著論文として掲載されました。本研究は、当社のクラウド型電子薬歴「Musubi」(以下、Musubi)に蓄積された実臨床データを用いた実態調査です。リアルワールドデータ(以下、RWD)の具体的な活用事例として、今後のデータ活用の可能性を示唆するものであると考えています。

 ●背景
当社が展開するクラウド型電子薬歴・服薬指導システム「Musubi」には、導入薬局との連携により膨大な実臨床データが蓄積されています。このRWDを適切な薬物療法の推進や医療資源の最適化に活かすべく、当社は研究に賛同したユーザー薬局のデータを用いて実態調査・研究を推進してまいりました。

その一つとして、本研究では「スルホニル尿素薬の処方パターン」に注目しました。同薬剤はその血糖降下作用機序から、とくに高齢者における低血糖リスクに注意が必要であり、2023年の高齢者糖尿病診療ガイドライン¹では慎重な使用が促されています。特に「グリクラジド」は最大40mg、「グリメピリド」は最大1mgまでの使用が推奨されるほか、「グリベンクラミド」の高齢者への使用は避けるべきとされています。
こうした背景を踏まえ、Musubiの実臨床データから国内の2型糖尿病患者における「スルホニル尿素薬の処方パターン」を年齢別に抽出・解析し、診療ガイドラインと比較した処方実態の把握、さらには適切な糖尿病管理戦略の策定に寄与することを目的に、本研究を実施しました。
 

¹一般社団法人日本老年医学会「高齢者糖尿病診療ガイドライン2023」
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/diabetes_treatment_guideline.html

 ●概要
・デザイン:後ろ向きの観察研究
・対象:国内でスルホニル尿素薬の処方を受けた20歳以上の2型糖尿病患者
・分析対象期間:2022年11月~2023年10月
・評価項目:スルホニル尿素薬の種類、投与量、併用薬剤など
・解析方法:記述統計

学術誌への掲載情報
▽論文名
「Sulfonylurea prescription patterns in elderly patients with type 2 diabetes mellitus: A comprehensive analysis of real-world data from pharmacies in Japan」

詳細:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.14302

▽著者(共著)
氏名(所属)
・山崎 路子²,³
・竹部  亨³
・細川 雅矢³
・雜賀 智也³
・中尾  豊³
・池田 俊也²
・坂本 昌也²

²国際医療福祉大学³
³株式会社カケハシ

▽掲載誌   
「Journal of Diabetes Investigation」(発行日:2024年9月3日)

●成果と今後の展望
Musubiに蓄積された実臨床データを解析してスルホニル尿素薬の処方パターンを調査した結果、「高齢の2型糖尿病患者におけるグリメピリドの過剰投与」や、本来であれば非推奨である「高齢者へのグリベンクラミドの使用」が確認されました。

本研究の結果は、実臨床における高齢者糖尿病診療の課題を浮き彫りにしただけでなく、糖尿病薬の適切な使用を啓発することの重要性を改めて明示するものでもあります。今後も当社はユーザー薬局の皆さまとともに、実臨床における薬剤の使用実態の解明や適正使用の推進、そのための環境整備などを継続し、医療従事者と患者さん双方にとってより良い医療の実現を目指します。

イベント・セミナー情報

Musubiのことがよくわかる資料

資料1
資料2
資料3
資料4